誰しも得手不得手があるというものです
※ゆるふわな気持ちでお読みください。
結論から言うと、サスペンションはお父さまにぶん投げた。
設計とかのんびり考えてる余裕なかったんよ……!
授与式が一ヶ月後で、マナーやダンスのレッスンがみっちり詰まってた……。
子供の頃に程々のレッスンは受けてたんだけど、別に社交界とか出るつもりなかったから、本当に最低限。
この国、学校は一応あるけど、義務ではないので行かなかったんだよね。
だって歴史はともかく、魔術関連は独学で子供の頃に済ませちゃったし、数学なんかはレベルが低くて日本の学校教育万歳状態だったからさ。
セオくんは次期当主だから他家との顔繋ぎもあるってんで、通ってるけどね。
学校行って勉強して、休みの日にも勉強して、数学は私の方が先生より出来るって聞きに来て、なんて真面目ないい子なんだろうか。
そんな感じで、マナーが最低限レベルなので、その状態で王様の前に立たせるのは心配だと、お父さまとお母さまが教師を手配してくれてました……。
いや、ありがたいよ……。
私だって冷静に考えて、こらやべえって思ったもん……。
非公式では何度もお会いしてるし、気のいいオジ様なんだけど、授与式となると、他の貴族の皆さんがいる。
他の貴族の皆さんの前で、王様こんにちわー! とかやれるわけがないし、やらないけどやったら不敬罪だ。
そこまでのことはやらかさないにしても、今のマナー習熟度だと確実にお父さまの顔に泥を塗ることになる。
そんなわけで、私はレッスンに打ち込んで、サスペンションはなんとなくの構造説明をお父さまにして、お父さまから工房の方に設計をお願いする形になった。
私の頭脳的に、後回しにしたらきっと忘れると思うんだよね。
マナーレッスンで頭はいっぱいいっぱいだし……。
ついでにダンスレッスンで足もぱんぱんです……。
「結構、様になってきたねぇ。始めはぎこちなさ過ぎてどうなることかと思ったけど」
「度々レッスンに付き合ってくれてありがとぉ……」
通しで一曲踊り終わって、レオンが笑う。
授与式が決まってから、ちょいちょいやって来てはダンスの相手役をしてくれてる。
授与式のエスコート役はセオくんに決まって、一曲目はエスコート役と踊るのが通例だから本当はセオくんと練習するのがいいんだけど、セオくんは学校があるのであまり一緒に練習出来ないんだよね……。
始めのうちはルディも手伝ってくれてたんだけど、国に帰らなきゃってことらしく、あとはずっとレオンが付き合ってくれてた。
「あとは、本番で緊張して相手の足を踏んだりっていうのがなければ、問題ないんじゃないかな?」
「ぴぇ…………がんばる…………」
何度もレオンの足を踏んだのは私です……。
ただでさえヒールのある靴は苦手なんだけど、ダンスのおかげでより苦手になりそうです……。
何度踏まれても笑顔で許してくれたレオンは本当に懐が広いし、後光が差して見えたよ。
レオン「ルディが国に帰ってくれて、心穏やかだよ」
カレン「そんな仲悪いの?」
レオン「いや? 別に仲が悪いわけではないけどね、ルディがうちの国にいると色々とやきもきするんだよぉ」
カレン「ああ、国家間的ななんやかんや的なやつね」
レオン「そう、なんやかんや的なやつね」




