表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
帝国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
98/121

第九十七話 旅路の朝と新しい仲間


──天才錬金術師は常識を知らない


翌朝。


雷鳴の森の近く。


アルマたちは野営地で朝を迎えていた。


昨日までの激しい戦いが嘘のように、空は青く晴れ渡っている。


木々の間から差し込む朝日。


小鳥のさえずり。


風に揺れる草花。


かつて災害級魔獣の暴走によって荒れていた森も、少しずつ本来の姿を取り戻し始めていた。


そんな中。


「ふぁ~……よく寝たぁ~」


アルマが元気よく起き上がる。


その隣では。


ぷに。


「……むにゅ」


ミルがスライム状態でアルマの腕にくっついていた。


「おはよう、ミルちゃん」


「……おはよう」


さらに。


モフッ。


アルマの足元には丸くなって眠る蒼い獣。


元・災害級魔獣。


蒼雷獣ギガルド。


「ふふ」


「ギガルドさんもおはよう」


グルル……


ギガルドは目を開くと、嬉しそうに尻尾を振った。


シエルが起きてくる。


「ん~……朝?」


「わっ!」


「ギガルドくん、おはよー!」


グル♪


どうやらすっかり懐いているらしい。


その光景を見たルナが微笑む。


「ふふ」


「本当に犬みたい」


すると。


「誰が犬じゃ」


フィーネが呆れた顔で起きてきた。


「仮にも神獣級の存在じゃぞ」


「そこらの犬と一緒にするでない」


アルマが首を傾げる。


「でもかわいいよ?」


「うむ」


「それは否定せぬ」


ルナとシエルは思わず吹き出した。


その頃。


少し離れた場所。


エリシアは一人で剣の手入れをしていた。


「……」


帝国。


任務。


監視。


調査。


それが自分の役目だった。


しかし。


気付けば。


こうして一緒に朝を迎えている。


不思議な感覚だった。


「おーい!」


アルマが手を振る。


「エリシアちゃん!」


「朝ごはんだよ!」


エリシアは目を瞬かせる。


「私の分も?」


「当然!」


アルマは笑う。


「仲間だもん!」


「……仲間」


エリシアは小さく呟いた。


その言葉は。


なぜか胸の奥に暖かく響いた。



しばらくして。


朝食の時間。


シチュー。


焼きパン。


果物。


そして。


アルマ特製。


「魔力回復きのこスープ!」


フィーネが青ざめる。


「待て」


「その名前からして嫌な予感しかしない」


ルナも少し不安そう。


「大丈夫?」


アルマは胸を張る。


「大丈夫!」


「昨日取ったきのこ!」


シエルがスプーンを持つ。


「いただきまーす!」


ぱく。


「おいしい!」


ルナも食べる。


「ほんとだ!」


エリシアも驚く。


「……美味しい」


フィーネは恐る恐る口に入れる。


「……む」


「悪くない」


ミルも人型でスプーンを持つ。


「……おいしい」


すると。


ギガルド。


グルル♪


アルマが笑う。


「ギガルドさんも?」


グル!


「はい!」


大きなお皿を置く。


しかし。


ギガルドは食べない。


くんくん。


そして。


ぺろ。


アルマの頭を舐めた。


「きゃはは!」


「くすぐったい!」


フィーネが呆れる。


「完全に懐かれておる」



食後。


一行は旅の準備を始める。


「さて」


フィーネが羽を整える。


「今日はソリティアに戻るぞ」


「その後、帝国へ向かう準備じゃ」


ルナが頷く。


「うん!」


シエルも元気いっぱい。


「楽しみ!」


エリシアは少し複雑そうだった。


帝国。


自分の故郷。


そして。


アルマを狙う者たちがいる国。


「……」


その表情に気付いたアルマ。


「エリシアちゃん?」


「どうしたの?」


「え?」


「いや……なんでもない」


アルマは笑う。


「そっか!」


「じゃあ元気出して!」


「はい!」


エリシアの頭に花冠が乗せられた。


「……え?」


「元気になる花冠!」


「昨日作った!」


ルナが笑い出す。


「いつの間に!」


シエルも吹き出す。


「かわいい!」


ミルも真似をする。


「……ミルも」


ぷにぷに。


スライムの身体から花冠を作る。


「……どうぞ」


フィーネは腹を抱えて笑った。


「くくく!」


「似合っておるぞ!」


「……」


エリシアは真っ赤になった。


「な、何を……!」


だが。


不思議と悪い気はしなかった。


むしろ。


少し嬉しかった。


「変な人たち」


小さく呟く。


すると。


アルマが笑顔で言う。


「変じゃないよ!」


「みんな仲良し!」


「……そうかもね」


エリシアは初めて自然に笑った。



その頃。


遥か遠く。


ヴァルゼリオン帝国。


皇城。


玉座の間。


「黒呪竜」


「蒼雷獣ギガルド」


「どちらも失敗か」


低い声。


玉座に座る男。


ヴァルゼリオン帝国皇帝。


ガイゼル=ヴァルゼリオン。


その前に跪く仮面の男。


「申し訳ありません」


「ですが」


「やはり間違いありません」


「彼女です」


皇帝の黄金の瞳が細くなる。


「凄腕の錬金術師」


「アルマ」


「全属性」


「規格外の魔力量」


「未知の錬金術」


「そして……」


「呪いを浄化する力」


静寂。


そして。


「面白い」


皇帝は立ち上がった。


「殺すには惜しい」


「手に入れたい」


「我が帝国のためにな」


仮面の男が笑う。


「ええ」


「彼女は世界を変える存在です」


皇帝は窓の外を見る。


「来るのだろう?」


「帝国へ」


「歓迎しよう」


「天才錬金術師」


その瞳には。


野心と興味が宿っていた。


そして。


何も知らないアルマたちは。


新たな旅路へ向けて歩き始める。


帝国。


ヴァルゼリオン。


そこで待ち受ける運命を。


まだ誰も知らなかった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ