表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
帝国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
92/121

第九十一話 蒼雷獣ギガルドを救え



──天才錬金術師は常識を知らない


雷鳴の森。


空を覆う黒雲。


絶え間なく轟く雷鳴。


そして。


災害級魔獣。


蒼雷獣ギガルド。


巨大な獣は怒りと苦しみに満ちた咆哮を上げながら、アルマたちへと突進してきた。


ドゴォォォォォン!!


地面が砕ける。


木々が吹き飛ぶ。


圧倒的な質量。


圧倒的な速度。


ルナが息を呑む。


「速い!!」


シエルも驚愕した。


「大きいのに!?」


エリシアの赤い瞳が鋭くなる。


「この速度……!」


普通の冒険者なら反応する間もなく轢き潰される。


しかし。


「ふむ」


フィーネが一歩前へ出る。


黄金の炎が全身を包んだ。


「不死鳥を甘く見るでない」


ブワァァァァ!!


炎の翼が広がる。


そして。


ドォォン!!


フィーネの炎とギガルドの突進が激突した。


凄まじい衝撃波。


森の木々が何本も吹き飛んでいく。


ルナたちの髪が風圧で激しく揺れた。


ギガルドは一瞬足を止めた。


フィーネはそのまま空へ舞い上がる。


「アルマ!」


「今じゃ!」


アルマが元気よく返事する。


「うん!」


その隣。


ぷるぷる震える小さなスライム。


ミルが飛び跳ねた。


「……ミルも!」


「……頑張る!」


アルマが笑顔になる。


「うん!」


「一緒に助けよう!」


ミルは嬉しそうにぷるぷる震えた。


その時。


ギガルドの角が輝く。


バチバチバチバチ!!


空から無数の雷撃が降り注いだ。


「きゃっ!?」


ルナが光の障壁を展開する。


シエルも剣を構えた。


エリシアは素早く後方へ飛ぶ。


ドドドドドド!!


大地が次々と爆発する。


「すごい……!」


シエルが顔を引きつらせる。


「森が消える!」


フィーネが叫ぶ。


「ルナ!」


「できるか!」


ルナは両手を胸の前で組む。


「やってみます!」


吸血鬼族特有の膨大な魔力。


変異型である彼女の才能。


雷と光。


二つの属性が共鳴する。


「光よ!」


「守って!」


巨大な光の結界が広がった。


ドドドドドド!!


雷が結界に直撃する。


激しい衝撃。


しかし。


結界は耐えた。


ルナが驚く。


「できた……!」


フィーネが笑う。


「うむ!」


「成長しておる!」


一方。


シエルは木々を駆けていた。


銀髪を揺らしながら一気にギガルドへ接近する。


「はぁっ!!」


斬撃。


ガキィン!!


しかし。


蒼い毛皮に弾かれた。


「硬い!?」


エリシアも飛び出す。


腰の剣を抜く。


「なら!」


ヒュン!!


鋭い一閃。


ガギィィン!!


こちらも弾かれる。


「なっ……!」


フィーネが目を細める。


「ほう」


「なかなかやるではないか」


エリシアは内心驚いていた。


本気ではない。


だが。


普通の冒険者など遥かに超える一撃。


それが通じない。


さすが災害級。


その時。


ギガルドの瞳が赤黒く染まる。


「グォォォォォ!!」


苦しそうな咆哮。


アルマは胸が痛くなった。


「苦しいんだ……」


すると。


肩の上のミルがぷるぷる震える。


「……アルマ」


「……あれ」


「……嫌な感じ」


アルマも頷く。


「うん」


「黒いの」


ミルの身体が光り始めた。


「……ミル」


「……変わる」


フィーネが振り返る。


「おお?」


メタモルスライム。


擬態と変身を得意とする特殊種。


ミルは身体をぐにゃりと変形させた。


そして。


ポン。


小柄な少女の姿になる。


苔色の髪。


緑色の瞳。


ふわふわした雰囲気。


相変わらず眠そうである。


「……ん」


ルナが微笑む。


「ミルちゃん!」


シエルも笑顔になる。


「かわいい!」


エリシアは目を丸くした。


「人に……?」


フィーネが胸を張る。


「我らの仲間じゃ」


ミルはアルマの服を掴む。


「……アルマ」


「……助けよう」


「……かわいそう」


アルマは優しく笑った。


「うん!」


「絶対助ける!」


その瞬間。


ギガルドが巨大な口を開く。


そして。


ブォォォォ!!


雷のブレス。


青白い光が一直線に放たれる。


「危ない!」


エリシアが叫ぶ。


しかし。


アルマは慌てない。


「錬成!」


地面に魔法陣。


ゴゴゴゴゴ!!


巨大な壁が生まれる。


ブレスと激突。


ドォォォォォン!!


爆煙。


轟音。


周囲の木々が吹き飛ぶ。


そして。


煙が晴れる。


そこにいたのは。


無傷のアルマたち。


エリシアの目が大きく見開かれた。


「……え?」


「今のを防いだ?」


フィーネが笑う。


「これでもほんの一部じゃ」


「お主が驚くのはまだ早い」


エリシアは思う。


やはり。


この少女は。


異常だ。


そして。


アルマはギガルドを見つめていた。


黒い結晶。


胸元に埋まる小さな呪い。


「あれを取れば……」


「助けられる」


ミルも同じ方向を見る。


「……取る」


「……ミルも手伝う」


ルナが頷く。


「私も!」


シエルが剣を構える。


「みんなでやろう!」


フィーネの炎が燃え上がる。


「うむ!」


そして。


エリシア。


彼女もまた。


気付けば剣を構えていた。


任務でも。


調査でもない。


ただ。


この不思議な少女たちと共に。


巨大な魔獣を救いたい。


そんな気持ちが生まれていた。


だが。


その時。


ギガルドの身体から。


ドクン。


黒い魔力が脈打った。


「!?」


フィーネの表情が変わる。


「まずい!」


黒い結晶が異様な輝きを放つ。


そして。


ギガルドの背中。


そこから。


ゴキゴキゴキゴキ……


新たな角が。


黒い結晶のような角が。


何本も生え始めた。


エリシアが青ざめる。


「何……あれ……」


ルナも震える。


シエルも息を呑む。


そして。


フィーネですら。


険しい表情になった。


「ただの呪いではない……」


「何者かが……さらに何かを仕込んでおる!」


黒い雷が空を走る。


蒼雷獣ギガルド。


その暴走は。


今まさに。


さらに危険な段階へと進もうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ