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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
共和国編

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第七十九話 創世の錬金術



──天才錬金術師は常識を知らない


空の果て。


雲海の上。


巨大な古代竜と、それを蝕む超巨大呪核。


そしてその前に立つ小さな少女。


アルマは静かに右手を伸ばしていた。


「分解するよ」


その言葉と同時に。


空を覆うほど巨大な錬成陣が輝く。


ゴォォォォォォォォォォォォッ!!


世界そのものが震えた。


王都ソリティア。


市民たちは空を見上げていた。


誰もが言葉を失う。


巨大な光の輪。


雲を押し退けるほどの魔力。


魔術師たちは震えていた。


「あれが……人間の力なのか……?」


「ありえない……」


「神話の存在ではないのか……?」


城壁の上ではレオニス王も空を見上げていた。


隣のエルドも青ざめている。


「陛下」


「なんだ」


「もう驚き疲れました」


「奇遇だな」


王も同じだった。


空の上。


フィーネはアルマの横顔を見る。


その表情は真剣だった。


いつもの呑気な顔ではない。


誰かを助ける時の顔。


フィーネは小さく笑う。


「まったく」


「どうしたの?」


「なんでもない」


その時だった。


巨大呪核が反応する。


ドクンッ!!


黒い腕が一斉に伸びた。


数百。


数千。


数万。


まるで黒い海。


アルマを飲み込もうと襲い掛かる。


ルナが叫ぶ。


「アルマお姉ちゃん!」


だが。


アルマは動かなかった。


「分解」


たった一言。


瞬間。


黒い腕が崩れた。


サラサラと。


砂のように。


塵のように。


消えていく。


フィーネが思わず呟く。


「相変わらず無茶苦茶じゃな」


シエルも頷く。


「うん」


「敵がかわいそうになる」


実際かわいそうだった。


呪核は必死に抵抗している。


だが。


アルマの分解が強すぎる。


どれだけ呪いを放っても。


どれだけ侵食しようとしても。


全て分解される。


まるで相性が最悪だった。


その時。


巨大呪核の内部から声が響いた。


『■■■■■■■■』


言葉にならない声。


叫び。


怒り。


憎しみ。


絶望。


あらゆる負の感情が混ざり合っている。


ルナが耳を塞いだ。


「うぅ……!」


シエルも顔をしかめる。


フィーネは炎を纏う。


「精神干渉か」


「厄介じゃな」


だが。


アルマだけは平気だった。


「悲しいんだね」


ぽつりと呟く。


フィーネが振り返る。


「何がじゃ」


「この呪い」


アルマは呪核を見る。


そこには無数の顔。


苦しみ続ける魂。


長い年月。


閉じ込められた存在たち。


怒っているのではない。


苦しんでいるのだ。


アルマは一歩前へ出る。


「もう大丈夫」


優しい声だった。


その瞬間。


呪核が震えた。


ドクン。


ドクン。


脈動が乱れる。


まるで戸惑っているようだった。


フィーネが目を見開く。


「まさか……」


アルマはさらに言う。


「みんな助けるから」


光が溢れた。


超巨大錬成陣が回転を始める。


空一面に広がる金色の光。


そして。


呪核の表面が崩れ始めた。


バキッ。


小さな亀裂。


続いて。


バキバキバキバキッ!!


無数の亀裂。


巨大な呪核全体へ広がっていく。


古代竜が目を見開いた。


『……っ!』


黒く染まっていた身体。


その一部から黒い霧が抜けていく。


フィーネが驚く。


「成功しておる……」


「本当に分解しておるぞ」


普通ならありえない。


呪核は破壊できても。


浄化できても。


ここまで巨大なものを完全分解するなど聞いたことがない。


だが。


アルマはやっている。


当然のように。


その時だった。


裂け目の向こう。


もう一体の古代竜が呟く。


『……なるほど』


その声には驚きが混じっていた。


『これが……』


『創世の錬金術師』


アルマは聞こえていない。


ただ必死だった。


助けるために。


その時。


巨大呪核の中心部。


最も深い場所。


そこに何かが見えた。


アルマが目を見開く。


「……あ」


フィーネも気付く。


「なんじゃと?」


ルナも見る。


シエルも見る。


そこにいた。


巨大呪核の中心。


黒い結晶の奥。


小さな少女が眠っていた。


銀色の髪。


黒いドレス。


まるで人形のような姿。


呪核の中心に閉じ込められている。


アルマが呟く。


「人?」


フィーネの顔が険しくなる。


「違う」


「人ではない」


「では何なの?」


フィーネは静かに答えた。


「呪核の核じゃ」


静寂。


ルナが息を呑む。


シエルも驚く。


呪核の核。


つまり。


全ての呪いの中心。


あの少女こそが。


この超巨大呪核を生み出している存在。


だが。


アルマにはそう見えなかった。


ただ。


泣いているように見えた。


眠ったまま。


ずっと。


助けを求めているように。


その瞬間。


少女の瞳がゆっくり開く。


真紅の瞳。


そして。


アルマと目が合った。


『……みつけた』


小さな声。


だが確かに聞こえた。


『やっと……』


『見つけてくれた』


その言葉と共に。


巨大呪核全体が眩い光に包まれ始める。


そしてフィーネは悟った。


この戦いはまだ終わっていない。


本当の問題は。


今目覚めたあの少女なのだと。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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