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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
共和国編

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第六十六話 賑やかな朝と銀竜の少女



──天才錬金術師は常識を知らない


ソリティア共和国王都近郊。


アルマたちが借りている家には、今日も朝日が差し込んでいた。


「ふわぁぁ〜……」


アルマが机に突っ伏したまま目を覚ます。


ぼさぼさの髪。


半分閉じた目。


完全に寝起きである。


すると。


「アルマお姉ちゃん、朝」


ルナが小さなお盆を持ってやってきた。


「ん〜……ありがと〜……」


アルマはそのまま机に顔を押し付けながら返事をする。


その様子を見ていたシエルが不思議そうに首を傾げた。


「……朝って、こんな感じなの?」


「うむ、アルマだけだ」


フィーネが呆れたようにお茶を飲む。


今のフィーネは赤髪の少女姿だ。


窓際に座りながら、どこか優雅に朝を過ごしている。


「普通はもっとしゃきっと起きる」


「ふぇぇ〜……」


アルマが情けない声を出した。


その時。


「あるまぁぁぁ!!」


どたどたどたっ!!


勢いよく飛び込んできたのは、緑髪の少女。


メタモルスライムのミルだった。


「朝ごはん!!」


「ミル、元気だねぇ……」


「おなかすいた!!」


「それしか言っておらん気がするのだが」


フィーネがため息を吐く。


ミルは机へぴょこんと乗ると、アルマの頬をむにむに引っ張った。


「おきる!」


「ふみゃぁ!?」


アルマが飛び起きる。


その瞬間。


ぐぅぅぅ〜〜。


盛大に腹が鳴った。


全員が静かにアルマを見る。


アルマは真顔になった。


「……朝ごはんにしよう」


「最初からそうしておけ」


フィーネのツッコミが飛ぶ。


朝食はパンとスープ。


それだけの簡単なもの。


……のはずだった。


「わぁ〜♪」


アルマはキラキラした目で机を見る。


そこには普通のパンではなく。


七色に輝くパン。


謎に発光するスープ。


湯気から星みたいな粒が飛んでいる。


シエルが固まった。


「……なにこれ」


ルナもこくりと頷く。


「きれい」


「いや、そうではない」


フィーネが頭を抱える。


「アルマ、お主また余計なものを入れたな?」


「え?」


アルマは不思議そうに瞬きをした。


「美味しくなるかなって、“虹色キノコ”と“星彩草”をちょっと……」


「ちょっとではない!!」


フィーネが机を叩いた。


「その二つ、普通は高級魔力薬の素材だぞ!?」


「えっ」


「えっ、ではない!!」


シエルが恐る恐るパンを見つめる。


「……食べても、大丈夫?」


「もちろん!」


アルマは元気よく答える。


「昨日ちゃんと爆発しなかったし!」


「基準がおかしいのだが!?」


フィーネのツッコミが響いた。


ミルは既に食べていた。


「あむあむ……おいしい!」


「ほんと?」


アルマが嬉しそうに笑う。


シエルは少し迷ったあと、小さくパンを口へ運んだ。


そして。


「……っ!」


赤い瞳が見開かれる。


身体の奥へ、優しい魔力が流れ込んできた。


疲労が消える。


傷んでいた魔力回路まで癒されていく。


シエルが呆然とアルマを見る。


「これ……高位回復薬より凄い……」


「へ?」


アルマはきょとんとしていた。


フィーネが頭を抱える。


「料理感覚で超級魔力食を作るな……」


グランですら引き気味だった。


外で伏せていた巨大狼がぼそりと呟く。


「この娘、本当に何者だ……」


朝食後。


アルマたちは街へ向かっていた。


「今日は何するの?」


シエルが尋ねる。


アルマは元気よく答えた。


「素材探し!」


「またか」


フィーネが即座に返す。


「えぇ〜?だって楽しいよ?」


「お主の“楽しい”は毎回事件になる」


「そんなことないよ〜」


「ある」


全員一致だった。


ルナまで頷いている。


アルマは少ししょんぼりした。


王都の通りは今日も賑やかだった。


そんな中。


シエルは周囲を興味深そうに見ている。


「……すごい」


「ん?」


「こんな風に、普通に歩いたことなかった」


アルマは立ち止まった。


シエルは少し俯く。


「ずっと閉じ込められてたから……」


その言葉に、少し空気が静かになる。


だが。


アルマはにぱっと笑った。


「じゃあ、いっぱい見よう!」


「え?」


「楽しいこといっぱいあるよ!」


ルナも小さく頷く。


「お祭りもある」


ミルがぴょんと跳ねた。


「おいしいものも!」


フィーネはふっと笑う。


「まぁ、退屈だけはせぬな」


シエルは呆然と皆を見る。


それから。


小さく笑った。


「……うん」


その時だった。


「きゃあああっ!!」


通りの奥から悲鳴が響いた。


人々が慌てて逃げてくる。


アルマたちは目を見開いた。


「なに!?」


フィーネの目が鋭くなる。


「……魔力暴走?」


次の瞬間。


ドゴォォォン!!


建物の奥から巨大な煙が上がった。


そして。


「ギャオオオオオオ!!」


巨大な魔物の咆哮が王都へ響き渡った。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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