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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
共和国編

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第四十九話 天才錬金術師と眠らない魔導街灯



──天才錬金術師は常識を知らない


王都ソリティア。


夕暮れ。


赤く染まった空の下、街には少しずつ灯りがともり始めていた。


「わぁ〜……」


アルマが目を輝かせる。


石畳の道沿いに並ぶ魔導街灯。


淡い金色の光が、王都を優しく照らしていた。


「きれい……」


ルナも見上げながら呟く。


フィーネは静かに周囲を見渡していた。


「夜でも明るいのは便利なものだな」


アルマは街灯へ近づく。


「これって魔道具?」


「うむ。内部の魔石を使って光を出しておる」


アルマの目が輝いた。


完全に研究モードである。


フィーネが即座に察した。


「やめておけ」


「まだ何もしてないよ!?」


「その顔の時点で信用ならん」


ルナが小さく笑う。


「アルマお姉ちゃん、また何か思いついたの?」


「う〜ん」


アルマは街灯を見上げる。


「もっと明るくできないかなって」


フィーネが頭を抱えた。


「だからやめろと言っておる」


その時だった。


「うわぁぁぁ!!消えた!!」


遠くで悲鳴が上がる。


続いて。


「こっちもだ!」


「街灯が消えてるぞ!?」


周囲がざわつき始める。


一つ。


また一つと。


王都の街灯が消えていった。


夜の街に、不穏な暗闇が広がる。


ルナが不安そうにアルマの袖を掴む。


「暗い……」


フィーネが目を細めた。


「……魔力切れではないな」


すると、慌てた様子の男たちが街を走っていく。


どうやら管理担当らしい。


「急げ!」


「中央区画まで消え始めてる!」


アルマはきょとんとする。


「故障?」


フィーネは街灯を見上げた。


「いや……魔力供給が不安定になっておる」


「へぇ〜」


アルマは興味津々だった。


そして当然。


近づいた。


フィーネが止める。


「おい」


「見るだけ!」


「毎回それを言う」


アルマは街灯へ手を触れる。


すると。


ウィンドウが浮かんだ。


「王都式魔導街灯 状態:魔力循環不全・経年劣化」


「なるほど〜」


フィーネがため息を吐く。


「もう慣れてきた自分が嫌だ」


アルマは内部を覗き込む。


「魔力の流れがぐちゃぐちゃだ」


「修理できるのか?」


「うん!」


即答だった。


フィーネは空を仰いだ。


「また始まるぞ……」


アルマは杖を取り出す。


周囲の人々がざわついた。


「あの子何してる?」


「危ないぞ!」


だがアルマは気にしない。


「えっと〜」


「流れ整理して〜」


「ここをこうして〜」


指先から淡い光が広がる。


魔力回路が再構築されていく。


次の瞬間。


パァァァァッ!!


街灯が輝いた。


しかも。


先程までとは比較にならないほど明るい。


「うおっ!?」


「なんだこの光!?」


王都の通行人たちが驚く。


まるで昼のようだった。


アルマは感心していた。


「わぁ、成功した!」


フィーネが真顔になる。


「明るすぎる」


実際。


光量が凄まじかった。


広場一帯が昼間レベルで照らされている。


ルナが目をぱちぱちさせる。


「すごい……」


すると。


その光に反応するように。


他の街灯も次々と点灯し始めた。


パッ。


パァッ。


パァァァッ!!


王都全体が一気に明るくなる。


しかも。


全部。


異様に明るい。


「まぶしぃぃぃ!?」


「夜が消えた!?」


「なんだこの光量!!」


王都中が大騒ぎになる。


アルマは慌てた。


「あれ!?」


フィーネが額を押さえる。


「連動回路まで強化したのかお主は……」


アルマは青ざめた。


「し、知らなかった!」


「毎回それだ」


すると。


街灯管理の責任者らしき老人が駆け寄ってきた。


「な、何が起きたんじゃ!?」


そして。


王都中を照らす光を見上げ。


固まる。


「……美しい」


ぽつりと呟いた。


アルマがきょとんとする。


「怒らないの?」


老人は震えていた。


「いや……長年夢見ていた理想の明るさじゃ……」


「え?」


「夜でも安全に歩ける街……!」


感動していた。


周囲の人々もざわつく。


「確かに歩きやすい……」


「暗くないって便利だな」


「夜の店も営業しやすいぞ!」


フィーネが遠い目をする。


「また常識が変わったな……」


アルマは照れ笑いした。


「えへへ」


だが。


その様子を遠くから見ている者たちがいた。


黒い外套。


ヴァルゼリオン帝国の密偵たち。


女密偵が引きつった顔で言う。


「……街灯まで改良したわよあの子」


男密偵も頭を抱えていた。


「報告書が追いつかん」


「『料理革命』『自動清掃』『高性能魔導玩具』の次は『王都照明改革』?」


「帝王陛下が笑うぞ……」


女は真剣な顔になる。


「でも、危険」


「……あぁ」


男も頷く。


「本人は善意でやっている」


「だからこそ止まらない」


普通の人間なら。


権力を恐れる。


常識を気にする。


だがアルマは違う。


面白そうだからやる。


困っている人がいるから直す。


その結果。


世界が変わる。


女密偵が小さく呟いた。


「この子……本当に世界を変えるかもしれない」


その頃。


ソリティア城。


レオニス=ヴァルディオス・ソリティアは、窓の外を見ていた。


夜の王都。


本来なら暗いはずの景色。


だが今夜は違う。


街全体が黄金色に輝いていた。


側近が呆然と呟く。


「……昼のようです」


王は静かに笑った。


「またあの娘か」


その声には呆れと。


どこか楽しげな響きが混じっていた。


「まったく」


王は夜景を見つめる。


「どこまで常識を壊す気なのだ、あの錬金術師は……」

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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