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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
共和国編

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第四十三話 天才錬金術師と温泉街の新名物



──天才錬金術師は常識を知らない


温泉施設“白鷲の湯”地下。


熱気が渦巻く中、巨大な熱鉱獣が低い唸り声を上げていた。


岩石のような身体。


隙間から流れる赤熱した光。


一歩動くだけで地面が揺れる。


「グルルルル……!」


管理人は腰を抜かしていた。


「ひ、ひぃぃ……!!」


ルナも少し怯えたようにフィーネの後ろへ隠れる。


「おっきい……」


だが。


アルマだけは。


「すごい……!」


目を輝かせていた。


フィーネが呆れる。


「普通そこは怖がるところだ」


「だって見たことないもん!」


熱鉱獣がアルマを睨む。


ゴォォッ!!


灼熱の炎が吹き出した。


だがフィーネが軽く前へ出る。


「鬱陶しい」


パチン。


指を鳴らした瞬間、炎が霧散した。


管理人が固まる。


「い、今何を……」


フィーネは無視した。


熱鉱獣は警戒するように後退る。


本能で理解したのだ。


目の前の赤髪の少女が危険だと。


だがアルマは熱鉱獣をじーっと観察していた。


「へぇ〜……」


杖を向ける。


するとウィンドウが浮かび上がる。


「種族:熱鉱獣 説明:高熱地帯に生息する鉱石型魔物。高純度魔力鉱石を体内生成する」


アルマの目がさらに輝いた。


「鉱石生成するの!?」


フィーネが嫌な予感を覚える。


「……おい」


アルマは熱鉱獣へ近づいていく。


「大丈夫だよ〜」


「お主の大丈夫は信用ならん」


熱鉱獣が唸る。


しかしアルマは全く怯えない。


「ねぇねぇ」


「グル……?」


「それ、痛くない?」


アルマは熱鉱獣の身体から突き出た赤熱鉱石を指差した。


熱鉱獣が少しだけ身体を震わせる。


フィーネが目を細めた。


「……なるほど」


アルマはさらに観察する。


「魔力が詰まりすぎてるんだ」


「詰まり?」


「うん」


アルマは嬉しそうに言った。


「この子、温泉の魔力を吸いすぎちゃったんだよ!」


管理人がぽかんとする。


「そ、そんなことあるんですか……?」


「あるみたい!」


フィーネはため息をついた。


「もう驚かんぞ……」


アルマは熱鉱獣の身体をぺたぺた触る。


熱鉱獣は最初こそ警戒していたが、逃げなかった。


むしろ困惑しているようだった。


「熱いねぇ」


「グル……」


「ちょっと楽にしてあげる!」


管理人が青ざめる。


「え!?た、倒すんじゃなくて!?」


「かわいそうだもん」


アルマは杖を掲げた。


淡い光が広がる。


「循環整理、魔力分解、圧縮調整……」


熱鉱獣の身体が輝いた。


すると。


ゴボッ!!


身体から巨大な鉱石が飛び出した。


「グォォ!?」


熱鉱獣が驚いた声を上げる。


だが次の瞬間。


「グル……!」


明らかに表情が楽そうになった。


管理人が目を剥く。


「な、治した……?」


アルマは拾った鉱石を見る。


真っ赤に輝く巨大鉱石。


「わぁ〜!」


フィーネが呟く。


「高純度熱魔鉱石か……」


「レアなの?」


「国家級素材だ」


管理人が震え始めた。


「こ、国家級……」


アルマは熱鉱獣へ笑いかける。


「もう苦しくない?」


熱鉱獣はしばらくアルマを見つめ。


「グル!」


嬉しそうに鳴いた。


そのままアルマへ頭を擦り付ける。


「わぁっ!?」


フィーネが呆れ顔になる。


「懐かれたな」


ルナが笑う。


「かわいい」


「でっかい犬みたい!」


「犬ではない」


だが熱鉱獣は完全にアルマへ懐いていた。


その時。


地下の奥からさらにゴゴゴ……と音が響く。


管理人が顔を青くする。


「ま、まさかまだ!?」


アルマが首を傾げる。


「ん?」


すると。


ぞろぞろ。


小型の熱鉱獣たちが現れた。


「グルル!」


「グル!」


「グル!」


管理人が絶叫する。


「増えたぁぁぁ!?」


フィーネは察した。


「……親を追ってきたか」


アルマは目を輝かせる。


「ちっちゃい!」


ルナも嬉しそうだった。


「かわいい……!」


小型熱鉱獣たちはアルマの周囲をちょこちょこ歩き回る。


どうやら親玉を助けたことで警戒を解いたらしい。


アルマはしゃがみ込む。


「ふわふわしてる」


「岩だぞそいつら」


フィーネのツッコミも虚しい。


その後。


熱鉱獣たちは地下奥の火山地帯へ帰っていった。


去り際。


親玉が巨大な鉱石を置いていく。


「え?」


「グル!」


まるでお礼だった。


アルマは嬉しそうに抱えた。


「プレゼントだ!」


フィーネは頭を抱えた。


「魔物と友好関係を築くな」


温泉施設は完全復活。


むしろ以前より湯量も温度も安定した。


管理人は涙目だった。


「本当にありがとうございました……!!」


アルマは照れ笑いする。


「えへへ」


その日の夜。


白鷲の湯は大繁盛していた。


「温泉が復活したぞ!」


「しかも前よりすごい!」


「熱鉱獣を鎮めた救世主がいるらしい!」


噂は瞬く間に広がっていく。


そしていつの間にか。


温泉施設の入口には、新しい看板が立てられていた。


『熱鉱獣も認めた名湯!』


アルマはきょとんとする。


「なんか増えてる」


フィーネは遠い目をした。


「お主が原因だ」


ルナがくすっと笑う。


夜空には湯気が立ち上っていた。


その平和な景色の裏で。


また一つ、アルマは世界の常識を塗り替えていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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