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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP


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第十八話 王の視線


──天才錬金術師は常識を知らない


王都ソリティアの大通り。


人の流れの中を、アルマたちはのんびりと歩いていた。


「ねぇフィーネ、次はどこ行く?」


アルマが楽しそうに辺りを見回す。


露店には色とりどりの品が並び、行き交う人々の声が賑やかに響いている。


「まずは生活に必要な物を揃えるべきだろう」


フィーネが冷静に答える。


「食料、衣服、それと……」


ちらりとルナを見る。


「この子のための物もな」


「そっか!」


アルマはぱっと笑顔になる。


「ルナの服も買わなきゃ!」


ルナは少し驚いたように目を瞬いた。


「……わたしの?」


「うん!」


アルマは当然のように頷く。


「今の服だと動きにくそうだし」


ルナは自分の服を見下ろす。


確かに、どこか傷んでいた。


「……ありがとう」


小さな声。


フィーネはその様子を静かに見守る。


「それと」


続けて言う。


「長居はせんほうが良いだろう」


「どうして?」


アルマが首をかしげる。


「長居すれば、もしバレた時、危険だからだ。前も話したであろう? 王や権力者に取り込まれるやもしれん」


「そっか……」


アルマは少しだけ考え、こくりと頷いた。


「じゃあ、必要なもの買ったらすぐ出る感じだね!」


「うむ。それが賢明だ」


三人は店を覗きながら、ゆっくりと街を進んでいく。


まだ知らないものばかり。


それでも、どこか安心できる空気。


だが──


その裏で、確実に“噂”は広がっていた。


「見たか?あの宝石」

「すごい値段で売れたらしいぞ」

「ダンジョン産って話だが……」


小さな声が、街の中を巡る。


そしてそれは、やがて一つの場所へと辿り着く。


──ソリティア城。


その中心にそびえる、王の間。


重厚な石の壁に囲まれた空間で、一人の男が静かに言葉を発した。


「それはまことか?」


玉座に座るのは、この国を治める王──レオニス=ヴァルディオス・ソリティア。


鋭い眼光と威厳を兼ね備えた男だった。


その前で、兵士が片膝をつく。


「はっ! たしかに、質の良い宝石を大量に売っているところを市民が目撃しております」


顔を上げ、続ける。


「聞いていた客によると、“ダンジョンで見つけた”とのこと」


玉座の間に、わずかな静寂が落ちる。


レオニスは指先で肘掛けを軽く叩いた。


「……ダンジョン、か」


低い声。


だがその瞳は、すでに何かを見抜いていた。


「その量と質は?」


「報告によれば、いずれも極めて高純度。加工済みに近い均一な輝きだったと」


「……ほう」


王の口元がわずかに歪む。


「ダンジョン産にしては、出来すぎているな」


兵士は黙ったまま頭を下げる。


王はゆっくりと立ち上がった。


「その者の特徴は?」


「はい。小柄な少女で、もう一人、赤髪の少女と共に行動していたと」


「少女……」


一瞬の間。


「……子供か?」


「はっ。しかし、その振る舞いは落ち着いており、ただの子供とは思えぬと」


王は窓の外へ視線を向ける。


王都の街並みが広がっていた。


「……面白い」


ぽつりと呟く。


「さらに、その場にいた者の証言では……」


兵士が続ける。


「“宝石がまるで最初から完成していたようだった”と」


その言葉に、空気がわずかに張り詰めた。


王の目が細くなる。


「……なるほど」


静かな確信。


「錬金術師、か」


兵士がわずかに顔を上げる。


「やはり、そうお考えで?」


王はゆっくりと振り返る。


その瞳には、明確な意志が宿っていた。


「あぁ」


短く答える。


「この世界において、あのような品を生み出せるのは限られている」


一歩、歩み出る。


「そして、その中でも“あの規模”となれば……まず間違いない」


兵士はごくりと息を呑む。


王は静かに命じた。


「探せ」


その一言に、空気が張り詰める。


「だが、決して刺激するな。相手は錬金術師だ」


「はっ!」


「見つけ次第、丁重に“招待”せよ」


わずかに、笑みが浮かぶ。


「我が国に迎え入れる」


玉座の間に、重い静寂が戻る。


──その頃。


「これかわいい!」


アルマは露店で服を手に取っていた。


「ルナ、これどう?」


「……いいと思う」


少し照れながら答えるルナ。


フィーネは周囲を警戒するように視線を巡らせている。


何も知らず、楽しそうに笑うアルマ。


だがそのすぐ背後まで──


王の視線は、確実に迫り始めていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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