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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
皇都編

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第百十八話 始原の災厄と忘れられた名前



──天才錬金術師は常識を知らない


「本物の災厄が目を覚ました」


フィーネの震える声。


その言葉に。


ガイゼル。


レイナ。


ゼクト。


バルト。


誰もが息を呑んだ。


フィーネ。


「あり得ぬ……」


「確かに封じられたはずじゃ」


「妾も」


「竜王も」


「海神も」


「精霊王も」


「皆で封印したはず……」


バルト。


「フィーネ殿」


「それは一体……」


「知らぬ」


「いや」


「名前を思い出せぬ」


「思い出そうとすると」


「頭が痛む」


全員。


「?」


その時。


『■■■■■■』


再び。


声。


いや。


笑い声。


だが。


誰にも意味は分からない。


しかし。


その瞬間。


白銀の存在。


世界核の少女の兄。


その真紅の瞳が大きく見開かれた。


『……逃げろ』


少女。


「お兄ちゃん?」


『……来る』


『……あれは駄目だ』


『……絶対に』


『……会わせてはいけない』


ガイゼル。


「何者じゃ!」


すると。


白銀の存在。


その巨体が震え始めた。


『……私は』


『……番人』


『……妹を守るために作られた』


『……そして』


『……あれを』


『……封じるために』


全員。


「!」



最深部。


さらに奥。


そこには。


巨大な空間。


そして。


無数の鎖。


数え切れない魔法陣。


古代文字。


神代文字。


竜文字。


精霊文字。


あらゆる封印。


その中心。


黒い球体。


直径数百メートル。


そして。


そこから。


ヒビ。


ピシッ。


ピシピシ……


フィーネ。


「まずい!」


「封印が!」


ゴゴゴゴゴ!!!


鎖が砕ける。


魔法陣が消える。


そして。


黒い球体の表面。


そこから。


一本の手が。


現れた。


人間の手。


小さな。


少女の手。


ルナ。


「え?」


シエル。


「女の子?」


エリシア。


「嘘……」


ミル。


「……ちいさい」


きゅる。


「きゅ?」


パリン。


球体が砕けた。


そして。


現れた。


黒髪。


赤い瞳。


十歳ほどの少女。


裸足。


黒いワンピース。


どこにでもいそうな。


普通の女の子。


「……あ」


少女は目をぱちぱちさせる。


「……起きた」


「……久しぶり」


全員。


「……」


沈黙。


レイナ。


「……え?」


バルト。


「……これが?」


ゼクト。


「……災厄?」


ガイゼル。


「……ただの子供にしか見えぬ」


しかし。


フィーネだけが。


全身から汗を流していた。


「嘘じゃ……」


「あり得ぬ」


「何故」


「何故」


「人型なんじゃ……!」


少女。


「?」


「誰?」


「知らない人いっぱい」


そして。


世界核の少女を見る。


「!」


ぱあっと。


笑顔になる。


「妹!」


全員。


「妹!?」


世界核の少女。


「……え?」


黒髪の少女。


「会いたかった!」


「寂しかった!」


「ずっと待ってた!」


そして。


次に。


白銀の存在を見る。


「お兄ちゃん!」


『……!』


「元気?」


『……来るな』


「え?」


『……近づくな!』


『……お願いだ!』


『……私を見ないでくれ!』


少女。


「?」


「変なお兄ちゃん」


アルマ。


「仲良し?」


全員。


「「そこ!?」」


少女。


「うん!」


「家族!」


「みーんな家族!」


にこにこ。


満面の笑み。


ルナ。


「なんか」


「悪い子に見えない……」


シエル。


「可愛い!」


ミル。


「……かわいい」


きゅる。


「きゅー♪」


しかし。


フィーネ。


「騙されるな!」


珍しく。


怒鳴った。


全員。


「!?」


「そやつは!」


「世界が滅びかけた原因じゃ!」


少女。


「?」


「滅び?」


「何それ?」


フィーネ。


「覚えておらぬのか!」


「自分が何をしたか!」


少女。


「うーん?」


首を傾げる。


「知らない!」


全員。


「……」


「忘れた!」


ガイゼル。


「なんというか」


「アルマと似ておるの」


アルマ。


「?」


「私?」


その瞬間。


少女。


「!」


「お姉ちゃん!」


全員。


「えええ!?」


そして。


一直線。


アルマに抱きついた。


「お姉ちゃん!」


「好き!」


「初めて会ったのに好き!」


アルマ。


「わー!」


「かわいい!」


抱きしめる。


フィーネ。


「離れろ!」


ガイゼル。


「危険じゃ!」


ゼクト。


「アルマ!」


しかし。


何も起きない。


少女。


「えへへ」


「暖かい」


「嬉しい」


「初めて」


「誰かに抱きしめてもらった」


アルマ。


「いい子だね!」


「名前は?」


少女。


「名前?」


「ない!」


「忘れちゃった!」


ルナ。


「この子も?」


シエル。


「名前ないの?」


世界核の少女。


「……私も」


「……ない」


白銀の存在。


『……私も』


全員。


「全員!?」


すると。


アルマ。


「じゃあ!」


「名前つけよう!」


フィーネ。


「待つのじゃ!」


しかし。


遅かった。


アルマは満面の笑み。


「みんな友達!」


「家族!」


「名前がないと寂しいもん!」


その時。


新帝国の導師。


黄金の仮面が。


初めて。


恐怖ではなく。


狂喜に震え始めていた。


「素晴らしい」


「素晴らしいぞ!」


「始原の災厄!」


「世界核!」


「最後の番人!」


「全て揃った!」


「ついに!」


「ついに!」


「千年の理想が!」


「完成する!」


しかし。


誰も気付いていなかった。


黒髪の少女。


彼女の足元。


影の中で。


無数の世界が。


生まれては消え。


消えては生まれていることに。


そして。


少女本人も。


自分がどれほど恐ろしい存在なのか。


全く理解していないことに。


その笑顔は。


あまりにも無邪気で。


あまりにも純粋だったのである。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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