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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
皇都編

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第百十七話 千年前の災厄と最後の番人


──天才錬金術師は常識を知らない


ドクン。


ドクン。


ドクン。


世界核の少女がアルマの後ろに隠れた瞬間。


第三層のさらに奥。


誰も足を踏み入れたことのない最深部から。


別の鼓動が響き始めた。


その音は。


世界核のものとは違う。


もっと重く。


もっと禍々しく。


もっと古い。


ゴゴゴゴゴ……


地面が揺れる。


天井から瓦礫が落ちる。


「きゃっ!」


ルナが悲鳴を上げる。


シエル。


「揺れてる!」


ミル。


「……こわい」


きゅる。


「きゅぅ!」


ギガルド。


グルルルル……


レイナ。


「何だ今のは!?」


ゼクト。


「魔力反応が急上昇しています!」


バルト魔導師長。


「馬鹿な!」


「世界核以上だと!?」


そして。


フィーネが珍しく険しい顔になった。


「……嫌な記憶が蘇るの」


ガイゼル。


「知っておるのか?」


「うむ」


「じゃが」


「あり得ぬ」


「確かに封印されたはずじゃ」


その時。


世界核の少女が震え始めた。


「……いや」


「……起きちゃだめ」


「……起きちゃだめなの」


アルマ。


「?」


「知ってるの?」


少女は泣きそうな顔で頷く。


「……あの子」


「……怖い子」


「……みんなを壊しちゃう」


全員。


「!?」



一方。


新帝国。


黄金の仮面の導師。


「……何?」


彼も異変に気づいていた。


赤い仮面。


「導師様!」


「最深部から未知の反応が!」


「何だと?」


青い仮面。


「我々の記録にありません!」


導師。


「馬鹿な!」


「世界核以外は全て調査済みのはず!」


その時。


世界核の少女。


「……知らない」


「……誰も知らない」


「……あの子だけは」


「……みんな忘れた」


「……忘れようとした」


フィーネ。


「まさか……!」


「そうか!」


「思い出したぞ!」


全員。


「?」


「世界核計画」


「その前段階」


「最初の実験!」


バルト。


「実験?」


「うむ」


「人々は最初から世界核を作ったわけではない」


「その前に」


「一つの命を作った」


「しかし」


「失敗した」


「だから封印した」


ルナ。


「失敗?」


シエル。


「どんな子?」


フィーネ。


「……覚えておらぬ」


「記録ごと消された」


「名前すら」


その瞬間。


最深部。


巨大な扉が。


ゆっくりと開いた。


ギギギギ……


そして。


現れた。


全長十メートル。


白銀の装甲。


六枚の翼。


無数の魔導陣。


そして。


真紅の瞳。


「……」


誰も言葉を失った。


機械。


しかし。


生物。


竜。


しかし。


人。


まるで。


全てを混ぜ合わせた存在。


ゼクト。


「なんだ……」


レイナ。


「これは……!」


バルト。


「あり得ん!」


「神代の兵器……!」


ガイゼル。


「違う」


「兵器ではない」


「生き物じゃ」


その存在。


真紅の瞳が。


ゆっくりと動く。


そして。


真っ直ぐ。


世界核の少女を見る。


少女。


「……お兄ちゃん」


全員。


「え?」


「……お兄ちゃん」


白銀の存在。


「…………」


そして。


初めて。


口が開く。


『……妹』


アルマ。


「兄妹!?」


ルナ。


「えぇぇ!?」


シエル。


「お兄ちゃん!?」


ミル。


「……家族」


きゅる。


「きゅ?」



だが。


次の瞬間。


白銀の存在の体から。


黒い鎖が無数に伸びていた。


体中を縛り付ける鎖。


そして。


苦しそうな声。


『……逃げろ』


少女。


「!」


『……近づくな』


『……壊してしまう』


『……また』


『……みんなを』


フィーネ。


「封印の鎖……!」


「そうか」


「暴走を抑えておるのか!」


導師。


「素晴らしい!」


「素晴らしいぞ!」


「神代兵器!」


「世界核!」


「全て我らのものだ!」


すると。


白銀の存在。


真紅の瞳が導師を見た。


『……邪魔』


導師。


「ん?」


バチィィィ!!


一瞬。


本当に一瞬だった。


導師の後ろ。


巨大な岩山。


数百メートルの壁。


それが。


跡形もなく消えた。


「……」


沈黙。


赤い仮面。


「……え?」


青い仮面。


「……今」


ゼクト。


「消えた……?」


レイナ。


「斬った?」


バルト。


「違う!」


「消滅じゃ!」


「存在そのものを!」


導師。


「……」


初めて。


黄金の仮面の男が。


恐怖した。



『……逃げろ』


『……妹』


『……人間たち』


『……もう』


『……限界だ』


体中の鎖が砕け始める。


パキン。


パキン。


パキパキパキ……


少女。


「いや!」


「お兄ちゃん!」


『……すまない』


『……また』


『……壊す』


涙。


真紅の瞳から。


涙が零れる。


『……怖い』


『……一人は嫌だ』


『……でも』


『……止まれない』


その姿を見て。


アルマ。


「うーん」


全員。


「「うーんじゃない!」」


アルマ。


「かわいそう」


ガイゼル。


「そこか」


フィーネ。


「うむ」


エリシア。


「アルマらしいわ」


ルナ。


「お姉ちゃん?」


アルマ。


「大丈夫!」


にっこり笑う。


「お兄ちゃんも!」


「友達になればいいんだよ!」


全員。


「「無理でしょ!?」」


だが。


白銀の存在は。


その言葉に。


ぴたりと動きを止めた。


『……友達?』


「うん!」


『……私と?』


「うん!」


『……怖くない?』


「全然!」


『……壊すかもしれない』


「その時は一緒に考える!」


『……』


長い沈黙。


そして。


白銀の存在の瞳から。


再び涙が零れた。


『……温かい』


『……久しぶり』


しかし。


その直後。


最深部。


さらに奥。


誰も感知できなかった場所から。


『■■■■■■』


何かが。


笑った。


その瞬間。


フィーネの顔色が。


初めて。


完全に青ざめた。


「……嘘じゃろ」


「まだおったのか」


そして。


千年以上生きる不死鳥である彼女が。


震える声で呟いた。


「本物の災厄が」


「目を覚ました」

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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