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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
皇都編

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第百十六話 目覚めた少女と千年の孤独



──天才錬金術師は常識を知らない


地下第三層。


巨大な黒い結晶。


その内部。


長い黒髪の少女が。


ゆっくりと瞳を開いた。


透き通るような銀色の瞳。


まるで夜空の星を閉じ込めたような、美しい輝き。


しかし。


その瞳には。


喜びよりも。


深い不安と悲しみが宿っていた。


「……」


少女は静かに周囲を見回した。


そして。


一番最初に。


アルマを見つめた。


「……あ」


その小さな声。


次の瞬間。


ポロポロと涙が零れ落ちる。


「……来てくれた」


「……本当に」


「来てくれた」


アルマ。


「うん!」


「来たよ!」


にこにこ笑う。


全員。


「いやいやいや!?」


ルナ。


「初対面だよね!?」


シエル。


「何で知り合いみたいなの!?」


エリシア。


「話が早すぎるわよ!」


しかし。


少女はアルマから目を離さない。


「……寂しかった」


「……怖かった」


「……苦しかった」


「……一人だった」


その言葉に。


ルナの顔が曇る。


「千年間……?」


フィーネ。


「そうじゃろうな」


「長い長い孤独じゃ」


すると。


黄金の仮面。


新帝国の導師が両腕を広げた。


「美しい!」


「素晴らしい!」


「世界核!」


「我らの希望!」


「新たな神!」


「千年の悲願!」


レイナ。


「貴様!」


ゼクト。


「やはり貴様らの目的は!」


導師は笑う。


「当然だ」


「滅びゆく世界を救う」


「新たな秩序を作る」


「古き国も」


「古き種族も」


「争いも」


「全て終わらせる!」


「完全なる世界!」


「完全なる平和!」


「それこそ我ら新帝国の願い!」


ガイゼル。


「狂っておる」


導師。


「狂っている?」


「違う!」


「理想だ!」


「千年前、人類は愚かだった!」


「だから滅びかけた!」


「ならば」


「完璧な管理者が必要だ!」


「世界核こそ!」


「新たな神となる!」


その時。


少女が。


びくりと震えた。


「……やだ」


全員。


「?」


「……神なんて」


「……なりたくない」


導師。


「なに?」


少女はさらに震える。


「……怖い」


「……知らない人ばっかり」


「……嫌」


「……嫌だ」


導師の顔が歪む。


「馬鹿な!」


「貴様は!」


「世界を導く存在だ!」


「我らの希望だ!」


しかし。


少女は小さく首を振る。


「……嫌」


「……怖い」


「……一人にしないで」


そして。


再び。


アルマを見る。


「……お願い」


「……一人にしないで」


アルマ。


「うん!」


全員。


「早い!」


「もちろん!」


「友達になる?」


少女。


「……友達?」


「うん!」


「友達!」


「一人じゃなくなるよ!」


その瞬間。


少女の目から。


大量の涙が溢れた。


「……ともだち」


「……私」


「……友達」


「……初めて」


「……できた」


ボロボロ泣き始める。


千年。


誰もいなかった。


誰とも話せなかった。


ただ一人。


永遠の時間を過ごしてきた少女。


そんな彼女に。


アルマは何の迷いもなく。


「友達!」


と言った。


フィーネ。


「相変わらずじゃな」


エリシア。


「本当に常識がないわ」


ルナ。


「でも」


「アルマお姉ちゃんらしい」


シエル。


「うん!」


ミル。


「……友達」


きゅる。


「きゅー♪」


しかし。


導師の怒号が響く。


「黙れぇ!!」


ゴォォォ!!


膨大な魔力。


「千年!」


「千年待ったのだ!」


「それを!」


「それを!」


「友達などという下らぬ言葉で!」


「奪われてたまるか!」


赤い仮面。


青い仮面。


黒いローブの集団。


一斉に武器を構える。


レイナ。


「来るぞ!」


ゼクト。


「迎撃!」


近衛騎士たち。


魔導師団。


戦闘開始。


轟音。


爆発。


剣戟。


地下第三層が戦場へ変わる。


そして。


導師は狂気の目で少女へ手を伸ばした。


「世界核!」


「我らと共に来い!」


しかし。


少女は怯えた顔で。


アルマの後ろに隠れた。


「……いや」


「……怖い」


「……アルマ」


「……助けて」


アルマ。


「うん!」


「大丈夫!」


「この子は」


「私の友達だから!」


その瞬間。


世界核の少女。


その瞳が優しく輝いた。


ドクン。


巨大な結晶。


第三層。


古代装置。


全てが共鳴する。


バルト魔導師長。


「まずい!」


「共鳴反応!」


フィーネ。


「違う」


「これは」


「暴走ではない」


「喜んでおる」


ガイゼル。


「なんじゃと?」


少女。


「……嬉しい」


「……嬉しい」


「……初めて」


「……温かい」


その小さな笑顔。


だが。


誰も気付いていなかった。


導師の背後。


さらに奥。


第三層の最深部。


そこで。


本当の何かが。


静かに。


目を開き始めていた。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


それは。


世界核ですら知らない。


千年前の人類が。


最後に残した。


本当の『災厄』だった。

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