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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
皇都編

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第百六話 初めての魔導列車と車掌さんの悩み



──天才錬金術師は常識を知らない


帝国地方都市アルデナ。


巨大な駅のホーム。


そこに停車していたのは、帝都ヴァルゼリア行きの特急魔導列車だった。


銀色の車体。


青く輝く魔導結晶。


何両も連なる巨大な車両。


「おぉぉぉ!」


アルマの目がきらきら輝く。


「長い!」


「すごい!」


「かっこいい!」


ルナも興奮していた。


「私、列車って初めて!」


シエルもぴょんぴょん跳ねる。


「乗る乗る!」


フィーネは苦笑する。


「まるで子供じゃの」


エリシアも小さく笑った。


「まあ、私も久しぶりだから少し楽しみだけど」


ミルはきゅるの荷台の中から顔を出した。


「……おおきい」


ギガルドも興味深そうに列車を見ている。


グル……


すると。


駅長が頭を下げた。


「特別室をご用意しました」


「どうぞごゆっくりお過ごしください」


アルマ。


「特別!」


「すごい!」


「ありがとう!」



車内。


「わぁぁ!」


「ふかふか!」


アルマは座席に飛び込んだ。


ルナも感動している。


「椅子が柔らかい……」


シエルは窓際。


「景色見える!」


フィーネは紅茶を飲みながらくつろいでいた。


「悪くないの」


エリシアも座る。


「やっと休めるわ……」


ミル。


「……すぅ」


早くも眠り始める。


きゅる。


「きゅー♪」


荷台を揺らしながら嬉しそう。


ギガルドも丸くなった。


そして。


ピーッ!


列車が発車する。


ゴトン。


ゴトン。


「動いた!」


アルマが大興奮。


「すごい!」


「走ってる!」


「景色が動いてる!」


ルナ。


「それはそうだよ!?」


シエル。


「ははは!」


「アルマちゃん楽しそう!」



数時間後。


平和な旅。


のはずだった。


「大変です!」


突然。


若い車掌が特別室へ飛び込んできた。


「え?」


ルナが驚く。


エリシアも立ち上がる。


「何?」


車掌は青ざめていた。


「実は……」


「食堂車が……」


「食堂車?」


アルマが首を傾げる。


車掌は泣きそうだった。


「料理長が寝込んでしまって!」


「え?」


「しかも副料理長は腰を痛めて!」


「残りの料理人も全員食材の確認で降りたまま列車が出発してしまいまして!」


全員。


「「「えぇ!?」」」


フィーネ。


「間抜けじゃな」


ルナ。


「どうするの!?」


シエル。


「ご飯ないの!?」


車掌は涙目。


「乗客三百人分の食事がありません!」


「このままでは暴動になります!」


エリシア。


「いや暴動は大袈裟……」


その瞬間。


車内放送。


『お食事の提供が遅れております』


『誠に申し訳ありません』


すると。


別の車両から。


「腹減った!」


「まだか!」


「どうなってる!」


「説明しろ!」


「子供がお腹空かせてるんだぞ!」


ざわざわ。


車掌。


「うわぁぁぁ……」


アルマ。


「なるほど!」


「ご飯作ればいいんだね!」


全員。


「「あ」」


フィーネ。


「嫌な予感」


エリシア。


「ものすごく嫌な予感」


ルナ。


「でも確かに……」


シエル。


「アルマちゃん料理できるもんね!」


車掌。


「え?」


「お嬢さん?」


「料理できるんですか?」


アルマ。


「うん!」


「錬金術で!」


車掌。


「……え?」



十分後。


食堂車。


「わぁ……」


車掌は呆然としていた。


大量の鍋。


大量の野菜。


大量の肉。


そして。


アルマ。


「よーし!」


「開始!」


光る錬成陣。


フィーネ。


「相変わらず規模がおかしい」


ルナ。


「いつ見てもすごい……」


シエル。


「頑張れー!」


エリシア。


「もう感覚が麻痺してきた」


次々と完成する料理。


シチュー。


サンドイッチ。


焼き肉。


スープ。


パスタ。


サラダ。


デザート。


「完成!」


車掌。


「早っ!?」


二十分後。


三百人分。


完成。


「「「えぇぇぇ!?」」」


食堂スタッフ全員が固まった。


「普通三時間かかりますよ!?」


アルマ。


「そうなの?」


「楽しかった!」



そして。


料理を食べた乗客たち。


「うまい!」


「なんだこれ!」


「最高だ!」


「このシチューすごい!」


「料理長変わったのか!?」


大絶賛。


車掌は泣いていた。


「助かりました……」


「本当にありがとうございます!」


すると。


食堂車の奥。


老人が立っていた。


白髪。


立派な髭。


鋭い目。


しかし。


どこか優しい雰囲気。


「ほう……」


「面白い娘じゃ」


フィーネが目を細める。


「む?」


エリシアも振り向く。


「誰?」


老人は静かに笑った。


「ただの乗客じゃよ」


「しかし」


「久しぶりに面白いものを見せてもらった」


アルマ。


「おじいちゃん!」


「ご飯食べた?」


老人。


「うむ」


「とても美味かった」


「ありがとう」


その瞬間。


近くの車掌たちが青ざめた。


「え?」


「な、なんであのお方が……」


「まさか……!」


「いや、そんなはず……!」


老人は意味深な笑みを浮かべる。


「ふむ」


「帝都に着くのが楽しみになった」


そして。


誰も知らなかった。


この老人が。


帝国の運命を左右するほどの大人物であることを。


そして。


彼とアルマの出会いが。


帝国全土を揺るがす大騒動の始まりになることを。


まだ。


誰も知らなかったのである。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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