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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
皇都編

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第百五話 魔導列車と迷子の駅員さん



──天才錬金術師は常識を知らない


ヴァルゼリオン帝国。


世界最大の国家。


王国とは比較にならないほど広大な領土と発展した魔導技術を持つ大国。


アルマたちは、帝国へと続く大街道を進んでいた。


「わぁぁ……!」


アルマの目は輝いていた。


「すごい!」


「すごいよ!」


「空飛んでる!」


上空では巨大な魔導飛行船がゆっくりと進んでいる。


「うわぁ……」


ルナも見上げる。


「本当に飛んでる……」


シエルも興奮していた。


「大きい!」


エリシアは少しだけ誇らしげだった。


「帝国の飛行船技術は世界一だから」


フィーネも頷く。


「うむ」


「まぁ、それだけで帝国が成り立っているわけではないがの」


その時。


ゴオオオオオオッ!!


「ひゃっ!?」


ルナが驚く。


大地を揺らしながら、銀色の長い乗り物が走り抜けていった。


「えっ?」


「なに今!?」


アルマは目を輝かせた。


「長い!」


「すごい!」


「いっぱい繋がってる!」


シエルも飛び跳ねる。


「何あれ!?」


エリシアが答える。


「魔導列車よ」


「帝国中を結んでる交通機関」


フィーネも感心する。


「わしが寝ておった時代にはなかったの」


「便利な世になったものじゃ」


「乗りたい!」


アルマが元気よく言った。


「乗りたい!」


全員。


「「分かる」」



数時間後。


アルマたちは帝国の地方都市、アルデナへ到着していた。


そこには巨大な駅が存在していた。


多くの人々。


荷物を運ぶ魔導ゴーレム。


商人。


冒険者。


そして。


次々と出入りする魔導列車。


「おぉぉ……!」


アルマの目がキラキラする。


「すごい!」


「街の中に線路!」


「駅!」


「電光掲示板!」


ルナも驚いていた。


「王国と全然違う……」


シエルもきょろきょろしている。


「迷いそう!」


「実際迷うぞ」


エリシアが苦笑する。


「帝国の駅は広いから」


その時。


「うわぁぁぁ!!」


悲鳴が響いた。


「?」


アルマたちが振り向く。


そこには。


若い女性の駅員が泣きそうになっていた。


「どうしよう……」


「どうしよう……」


「迷っちゃった……」


全員。


「「「え?」」」


ルナが固まる。


「駅員さん?」


シエルも目をぱちぱちさせる。


「迷子?」


フィーネが呆れる。


「自分の職場で迷うとは器用じゃの」


エリシアも思わず吹き出した。


「そんなことある!?」


アルマはすぐ駆け寄った。


「大丈夫?」


「ふぇ?」


女性は涙目だった。


「私……」


「今日から配属されたんですけど……」


「駅が広すぎて……」


「自分の事務室に戻れなくなっちゃって……」


「迷子です……」


シエル。


「かわいい!」


ルナ。


「でも大変そう……」


すると。


きゅる。


「きゅー!」


生きる荷車が近づく。


「え?」


駅員さん。


「荷車……?」


「動いた!?」


「しゃべったぁぁ!?」


驚いて転びそうになる。


ミル。


「……大丈夫」


「……落ち着く」


「スライム!?」


さらに混乱。


ギガルド。


グル♪


「狼!?」


フィーネ。


「フェニックスじゃ」


「え?」


シエル。


「吸血鬼!」


「え?」


エリシア。


「普通の人間」


「いや普通じゃない人ばっかり!!」


駅員さんは完全に混乱していた。


アルマは笑顔。


「大丈夫!」


「一緒に探そう!」



十分後。


「違う……」


二十分後。


「ここじゃない……」


三十分後。


「迷った……」


全員。


「「「迷ったぁ!?」」」


ルナが叫ぶ。


「増えてる!」


シエルが笑い転げる。


「ははは!」


「迷子が増えた!」


エリシアが頭を抱える。


「何してるのよ!」


フィーネはため息を吐く。


「予想通りじゃ」


しかし。


アルマだけは楽しそうだった。


「知らない場所って面白い!」


「こっち何かな?」


「わぁ!」


「食堂!」


「売店!」


「お土産!」


ルナ。


「遊んでる……」


その頃。


駅長室。


「大変です!」


「新入りのリリアが迷子になりました!」


「またか!」


「探せ!」


「いや待て!」


「今度は妙な一行と一緒に迷子になったそうです!」


「妙な一行?」


「狼!」


「スライム!」


「荷車!」


「銀髪の少女!」


「黒髪の少女!」


「赤毛の女性!」


駅長。


「情報量が多い!!」



その頃。


アルマたちは。


「わぁ!」


「展望デッキ!」


「高い!」


「綺麗!」


ルナ。


「絶対違う場所だよね?」


シエル。


「うん!」


エリシア。


「完全に迷子」


フィーネ。


「どうするんじゃ」


その時。


「きゅ?」


きゅるが突然止まった。


「きゅー!」


そして。


コロコロコロ!


走り出した。


「あっ!」


「きゅるちゃん?」


その後を追う一同。


すると。


そこには。


「リリアー!」


「どこだー!」


「新入りー!」


駅員たち。


「「いたぁぁぁ!!」」


リリア。


「駅長さーん!」


大号泣。


「うわぁぁぁん!」


駅長も泣いていた。


「心配したぞ!」


「ごめんなさいー!」


感動の再会。


ルナ。


「よかったぁ」


シエル。


「きゅるちゃん偉い!」


エリシア。


「まさか一番頼りになるのが荷車とは……」


フィーネ。


「もはや驚かん」


アルマ。


「よかったね!」


きゅる。


「きゅー♪」


すると。


駅長が頭を下げた。


「ありがとうございました!」


「お礼をさせてください!」


アルマ。


「お礼?」


駅長は微笑んだ。


「はい」


「ちょうど帝都ヴァルゼリア行きの特急列車が出ます」


「ぜひ乗っていってください」


全員。


「「「特急列車!?」」」


アルマの目が輝く。


「乗る!」


「乗りたい!」


フィーネ。


「子供か」


ルナ。


「私も!」


シエル。


「乗る!」


ミル。


「……のる」


きゅる。


「きゅ!」


グル♪


ギガルド。


そして。


帝都ヴァルゼリア。


皇帝ガイゼル。


仮面の男。


帝国の闇。


その中心へ向かう旅は。


思わぬ形で。


魔導列車の旅として始まろうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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