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天才錬金術師は常識を知らない〜神に選ばれた少女は、世界の価値を再定義する〜  作者: れんP
皇都編

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第百四話 帝国最古の門番と大渋滞



──天才錬金術師は常識を知らない


「グォォォ♪」


帝国最古の守護獣。


聖獣ガルドガメは、嬉しそうに巨大な尻尾を振っていた。


そのたびに地面が揺れる。


ドシン。


ドシン。


アルマは笑顔で甲羅を撫でている。


「わぁ!」


「硬い~!」


「すごいね!」


「グォォ♪」


ぺろぺろ。


巨大な舌で頭を舐められる。


「きゃはは!」


「くすぐったいよ~!」


ルナは呆然としていた。


「懐いちゃった……」


シエルも乾いた笑みを浮かべる。


「まただね」


エリシアは額を押さえた。


「帝国最古の守護獣よ?」


「なんで数分で懐くのよ……」


フィーネはため息をつく。


「わしも知りたい」


「むしろ教えてほしい」


その頃。


帝国兵たちは。


「起きた!」


「ガルドガメ様が起きた!」


「二週間ぶりだ!」


「万歳!」


「門が通れるぞ!」


と歓喜していた。


しかし。


当のガルドガメ。


「グォ♪」


ごろん。


門の前で寝転がった。


全員。


「「「あ」」」


隊長。


「ガルドガメ様ぁぁぁ!?」


再び門が塞がれた。



「なんでぇぇぇ!?」


隊長は頭を抱えた。


「せっかく起きたのに!」


「なんでまた寝るんですか!」


兵士たちも絶望していた。


「通れない……」


「また渋滞だ……」


「商人さんたち怒るぞ……」


後方には。


数百人の行列。


馬車。


商人。


冒険者。


旅人。


完全に大渋滞になっていた。


アルマは不思議そうに首を傾げる。


「眠いのかな?」


フィーネ。


「そうじゃろうな」


ルナ。


「いや、そういう問題かな?」


すると。


「グォ?」


ガルドガメがアルマを見る。


そして。


ゆっくりと顔を近づける。


「どうしたの?」


「グォォ」


さらに。


くいっ。


巨大な鼻でアルマを持ち上げる。


「わぁ!?」


「高い!」


そのまま。


ぽん。


アルマを甲羅の上へ乗せた。


「ふえ?」


ガルドガメ。


「グォォ♪」


尻尾ぶんぶん。


シエル。


「お姫様扱い!?」


エリシア。


「完全に気に入られてる……」


フィーネ。


「親子か?」


ミル。


「……大きい」


「……暖かそう」


きゅる。


「きゅー!」


ギガルド。


グルル……


蒼い狼は少し面白くなさそうだった。


「ふふ」


ルナが笑う。


「ギガルドさん、やきもち?」


グル!?


慌てるギガルド。


その様子にシエルが吹き出した。


「かわいい!」



しかし。


問題は解決していない。


隊長は涙目だった。


「どうしよう……」


「また一週間くらいここで寝るかもしれない……」


エリシアがため息をつく。


「帝国って意外と適当ね……」


「仕方ないんです!」


隊長が泣きそうになる。


「ガルドガメ様は皇帝陛下でも無理なんです!」


「誰の命令も聞かなくて!」


「だから起きてくれただけでも奇跡で!」


その時。


アルマ。


「うーん」


「ガルドガメちゃん?」


「グォ?」


「門番さんなんだよね?」


「グォォ」


「お仕事しないと駄目だよ?」


「グォ?」


「みんな困ってるよ?」


ガルドガメは後ろを見る。


そこには。


困っている人々。


待ちくたびれた商人。


泣きそうな隊長。


そして。


「早く通りたいよー!」


子供たち。


「グォ……」


巨大な瞳が瞬く。


「お仕事終わったら、一緒に遊ぼう?」


「グォ!?」


「約束!」


「グォォォォ!!」


次の瞬間。


ドォン!


ガルドガメが立ち上がった。


全員。


「「「立ったぁぁぁ!!」」」


そのまま。


のっし。


のっし。


門の横へ移動する。


そして。


門の隣で座った。


「グォォ♪」


隊長。


「道が開いた……」


兵士。


「開いた!」


商人。


「通れる!」


大歓声が上がる。


「うおおおお!」


「ありがとう!」


「聖女様だ!」


「救世主!」


アルマ。


「?」


「なんで?」


フィーネ。


「いや」


「お主じゃ」


エリシア。


「間違いなく」


ルナ。


「うん」


シエル。


「アルマちゃんだね」



そして。


ようやく。


巨大な門が開く。


ギギギギ……


帝国。


ヴァルゼリオン。


その広大な大地が姿を現した。


巨大な街道。


遥か遠くに見える都市群。


空を飛ぶ魔導飛行船。


線路の上を走る魔導列車。


王国とは比べ物にならない発展。


「わぁぁぁ!!」


アルマの目が輝く。


「すごい!」


「空飛んでる!」


「列車!」


「街!」


ルナも驚く。


「大きい……」


シエルも目を丸くした。


「こんな国初めて!」


エリシアは少し懐かしそうに笑う。


「これがヴァルゼリオン帝国」


フィーネも頷く。


「世界最大の国」


「そして」


「最も厄介な国じゃ」


その時。


「グォォ!」


ガルドガメが鳴いた。


振り返るアルマ。


「また遊ぼうね!」


「グォォォ♪」


巨大な門番は嬉しそうに尻尾を振る。


兵士たちは目を丸くしていた。


「笑ってる……」


「ガルドガメ様が笑ってる……」


隊長は遠い目をした。


「数百年見たことないぞ……」


こうして。


アルマたちはついに。


ヴァルゼリオン帝国の地へ足を踏み入れた。


しかし。


帝都ヴァルゼリアへ向かう長い街道の先。


黒い仮面をつけた男が、静かに笑っていた。


「来たか」


「天才錬金術師アルマ」


「予定よりずっと早くな」


そして。


誰も知らない。


彼女たちの旅が。


帝国全土を巻き込む大騒動へと発展していくことを。


まだ。


誰一人として知らなかった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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