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異世界がピンチらしいので元大学生理学部が救ってみる。~化学で世界を救うなんて?!~  作者: タルト


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7/17

No.7実験は甘え

こんにちは。タルトです。

この作品に出合っていただいて、そして読もうと考えてくださってありがとうございます。

いい作品に出合えたと思ってもらえるよう頑張って書いたつもりです。楽しんでいってください。

 「実験とは甘えである。」

 僕がもし偉業を成し遂げて、格言を求められたらそう残すだろう。

 なぜこんな脈絡もないことを言ったのかにはちゃんと理由がある。

 それは、成分特定が難しすぎるということだ。

 考えてもみてほしい。水の中に何かが溶けています。それを特定してね♪なんて無理強いもいいとこだろう。その物質の状態(固体・液体・気体)が何かもわからない、単体(Feなどの一つの元素で表せるもの)なのか、化合物(FeOなどの二つ以上の元素で表せるもの)なのかもわからない、原因物質が複数ある場合だってあるだろう。というか科学の思考をしているが地球とこの世界とで同じ法則なのかもわからない。

 最悪の場合、炭素(C)と同じ性質をもつものを見つけても、中性子が6で陽子が6ではないかもしれない。なんならこの世界では地球でいう同素体が主に存在するかもしれない……。いや、そもそも中性子や陽子で構成されてすらないかもしれない。

 今までの単純な方法では太刀打ちできない上に、学んだ化学知識が通用するとは限らないわけだ。

 つまり、今まで通りに楽に特定できるわけではないのだ。高校時代は楽だったなあ。蒸留、抽出、再結晶……。それで終いだった。水気を飛ばしたら結晶が出てきたり、温度を下げると溶解度によって結晶が出てきたり……。先生ありがとう。自分でできる甘えた実験大好きでした。

 うーん。本当にどうしよう。さすがに無理すぎるか。しかし、ここですべてを投げ捨てることはできない。できることを考えてみよう。

 この世界の法則を見つける。さすがに漠然としすぎているか。本屋にでも行ってみるか。もしかしたら科学の本があるかもしれない。他には……。そうだな人体に有害な水溶性のものの特定方法を片っ端からやってみる?いや無理じゃね。人体に有毒な水溶性物質だなんていくつあると思ってるのだ。

 いや、条件が圧倒的に足りない。これでは無理だ。うーむ。もっと条件を絞ってみるか。

 えーっと。まず水に溶ける。人体に有害。そして……無色透明。あとは……そうか!蒸留して集めた水蒸気の中に入らないのであれば、その物体は沸点が水より高いはず。

 いや?おかしいな。そうであれば底に結晶か液体が残るはず。おかしい。矛盾がある?もしかして熱を加えた時点で効力が?いや、それは実験で確認したはず。蓋をして熱した方は変わらず汚染されていた、だから違うはず。


 ……!あ、違うわ。僕レポートとかなかったから普通に蒸留の時すべての水を集めてないわ。少し残った分は普通に捨てたな。


 …………てへぺろ♪

 




 と、言うことで戻ってきました、実験場(土)。次はしっかりすべての水気を飛ばす。しかも今回は何かが底に残ったときのためにガラス瓶を持ってきた。これは店に牛乳っぽいものが瓶詰めされて売っていたので買ってきた物だ。もちろん中はゆすいで乾燥させてきている。瓶の中に微量に成分が残っていると正しい結果にならないので科学的洗浄をする必要があるのだが、今回はしっかり洗うことで良しとしよう。だって科学的洗浄なんて今はできないしな。仕方がない。




 「……あー。やっぱ実験って何回もするべきだわ。再現性を失った結果なんて科学じゃないもんな。やっぱり基本って大事だよな。」

 なんで今そんなことを言うのかって?だって水気をすべて飛ばしたら白い物体が出てきたんだもん♪




 さて、僕は条件を一つ見落としていたようだ。どうやら、溶けていた溶質は水が気体になる温度・圧力においては白い個体として存在するらしい。

 いやあ、ごめんごめん。こんなところ見られたら「めっ!!!」って怒られそうだ。


 というところで、僕は安心をした。それは、汚染水の過熱において、蓋をつけたままだと汚染水のままで、蓋を開けておくと汚染水ではなくなるという点に説明がつくからだ。これはとても大きい。なぜなら、もし、説明がつかなければ、()()()()()()()()()()()()()()なんていう理由で納得せざるを得ない。それは問題からの逃避になってしまう。その可能性がなくなったことは素直に安心である。

 そしてその白い物体を鑑定してみると、


《汚染の塊》

品質:並

効果:毒(微弱)、腐食(微弱)


 はい。特定完了っと。

 でも汚染水と毒、腐食効果の度合いが汚染水と同じなことには疑問を持つ。抽出をしたのだからその度合いは高まりそうなものだが。

 これの理屈を考えてみよう。

 ああ。なるほど。わかった。考えてみればそりゃそう案件である。だってこの物質は毒(微弱)、腐食(微弱)の水から取り出したのだ。水に効果が何もない以上、その効果はそのまま引き継がれるはずである。まあなんだ。食塩10gが溶けた水を1L飲むことと、食塩10gを食べることは成分的には一緒。みたいな話である。

 で、あれば少ししたいことがある。それはこの分離した白い物質をまた汚染水に入れて、それをまた分離する。そして出てきた物質をまた汚染水に入れて……。ということを繰り返したとき、この物質は大きくなるのかということだ。まあ、理屈が正しければ多分そうなるはずなのだが。




***




 結果から言えば、大きくなった。もともとがほんの小さな塊だったものが、今は米粒ほどになっている。また、これは偶然の産物なのだが、この世界にも溶解度はあるらしい、ということが分かった。明らかに終盤には水がなくなるより前に結晶が出現していた。これは水という溶媒が少なすぎると汚染の塊という溶質が溶け切らないという現象で、溶解度で説明がつくし、そして同時に飽和があることも理解をした。


 また、米粒ほどの汚染の塊を鑑定をしてみると


《汚染の塊》

品質:並

効果:毒(並)、腐食(並)


 と出た。

 ふむ。またここで思考タイムだ。

 なぜ効果が上がったのだろうか。これは理屈的にいえばおかしい。例えば塩があったとして、それは1gでも100gでも変わらず塩のはずだ。単位当たりの効能が上がるわけではない。

 単位当たりの効能……。なるほど、分かった。

 この世界の鑑定は多分だが濃度を示すのではなく総量で決まっているのではないだろうか。先の例で言えば、確かに1gの食塩も100gの食塩も単位当たりの効果は変わらない。1gの食塩も、100gの内の1gの食塩も舐めたら同じである。しかし、そうではなく、総量で考えてみよう。1gの食塩を摂取したときと100gの食塩を摂取したときでは明らかにしょっぱいと感じる度合いが異なるはずだ。つまり1gの食塩はしょっぱさ(微量)、100gの食塩のしょっぱさ(強)となるはずだ。

 パラケルススの格言を思い出す。曰く、「すべての物質は毒であり、毒でないものは有り得ず、まさに用量が毒と薬を区別する。」まあつまり、毒の脅威はその量が決める。って話だ。

 まあ、そんなことはともかくとして、もし、そういうことなのであれば……

 米粒ほどの大きさの結晶を砕き、最初の小さい結晶ほどの大きさにして、鑑定してみると、


《汚染の塊》

品質:並

効果:毒(微弱)、腐食(微弱)


 「うん。ビンゴ。」

 なるほど、この世界の法則が少しずつ分かってきた。

 今までに分かっていたことは、

 1.溶媒と溶質から溶液ができ、そしてそれは蒸留などの手法で分離できる。

 2.蓋をした汚染水の実験結果から、質量保存の法則が成り立つ。

 ということだ。

 また、これに加え、

 3.溶解度や飽和があること。

 4.鑑定による効果の程度の決定は絶対量に依存する。

 ということだ。

 いや、上々すぎやしないか。


 さて、そうしたら白い個体である、という新しい条件と以上の発見を基に物質の特定をしていこうか!!!


皆様が読んだ感想を教えてくださると嬉しいです。

ダメだしや、誤字脱字などでも、教えてくださいね。


皆様の感想は全て読ませて頂き、今後に活かしたいと思います。

ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました。

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