No.6疑似・浄化
こんにちは。タルトです。
この作品に出合っていただいて、そして読もうと考えてくださってありがとうございます。
いい作品に出合えたと思ってもらえるよう頑張って書いたつもりです。楽しんでいってください。
「はい。クエスト報酬ですね。銀貨10枚です。お疲れ様でした。」
ギルドにて報酬をもらう。これでクエストは4つ目のクリア。今までやったクエストは薬草捜し、迷子の捜索、荷物運び、落し物の捜索だ。
え、バイト?いやまあ、初心者冒険者である僕はもちろん魔物と戦うことはできないから、しょうがないといえばしょうがないのだが。
とはいえ、金は集まった。これからすることは決まっている。
そう。浄化だ。いろいろ考えた結果、あの蒸留を使うことにした。浄化魔法を習得するなども考えたが、まあ無理だろう。もし、習得が出来ても王都からくる神聖魔法使いに並ぶことは現実的ではないだろう。
それはともかく、昨日、メーティスと話していて引っかかることがあった。水は混ざり合い、溶け合う。というところだ。そもそも僕は汚染について大きく勘違いしているのかもしれない。僕は水という物質に魔法という介入をすることによって汚染水に変化させる、作り変える。という風に考えていた。しかし、もしかしたら水を溶媒とし、汚染能力のある物質を溶質として汚染水を作るということなのかもしれない。ここには大きな違いがある。前者は魔法によって作り替えられている、ならば、対応する方法は魔法ぐらいしかないだろう。しかし、後者のように魔法で作った汚染物質が溶けているとするならば、魔法でなくても分離をすることで解決はできるかもしれない。実際、僕はギルドの水ではお腹を壊した。しかし、蒸留した水でお腹を壊すことはなかった。
だから、今回のケースは後者であると考えられる。
これによる仮説は2つ。一つ目は汚染のもとになる物質が水と沸点が違い、そのことによって分離できる。(つまり蒸留)というもの。二つ目は汚染物質が細菌やウイルスなどの生物由来であって、煮沸によって死滅した。というもの。
このうち、どちらかであるかを確認する方法はいくつかあるが、まあ、オーソドックスにいこう。この世にも流石に質量保存の法則というものがあるはずだ。ならば、水を温め、そこから出た水蒸気が逃げないように蓋をする。その水を冷やして飲んだ時、何も変わらなければ前者の仮説。もし汚染能力が変れば汚染は生物由来であり、その生物が死滅したことによる浄化と言え、仮設でいうと後者になるはずだ。
しかし、これにはまだ不確定な要素がある。一つ目は僕が汚染水とそうでない水の違いを正しく判別できない可能性があるということだ。蒸留水は美味しかったし、お腹を壊すことがなかったのだから、汚染を取り除いたといえるのでは?って?いいや、違うね。例えばプラシーボ効果でおいしく感じてしまう可能性がある。プラシーボ効果とはまあ、自分で作った料理はおいしく感じるというあれだ。また、他にも自分に耐性が出来た。水の中に混ざっていた不味かった成分が飛んだだけ。(これだとお腹を壊さない理由が不明になってしまうが。)など様々な可能性がある。
このプラシーボ効果を消すことは難しい。地球ではどんなに丁寧にしてもプラシーボ効果はなくすことはできない。ランダム化比較試験や、ダブルブラインドテスト、クロスオーバー試験をして、統計で有意差を示しても、それでもなお、0とは言えない。(だからと言って信用できないというわけではないが)
しかし、それは地球の話だ。ここは異世界。鑑定スキルをもってすれば、データとして違いが出るのではないか。というのが僕の考えだ。例えば鑑定した水の名前が《汚染水》となっていたり、品質が''粗悪,,となっていたりすれば、それで証明になるはずなのだ。これは明らかに地球にはない利点である。
と、言うことで今からすることのフローチャートを作ってみよう。
1.前提データの確保(鑑定)
作った蒸留水と、新しく汲んできた汚染水とで鑑定に差があるかを確認する。
2.密閉加熱実験
新しく汲んできた汚染水を容器に入れ、蓋をし加熱する。その水を鑑定し、表記を確認する。
Ⅰ.表記が熱する前と変らない → 3に
Ⅱ.表記が変り、安全である水になる →終了
3.新しく汲んできた汚染水を容器に入れ、蓋をせず、加熱する。その水を鑑定し、表記を確認する。
これによって少なくとも飲んでも美味しいお腹を壊さない水が出来るはずなのだ。(僕が作った蒸留水は汚染されたままで、僕が勘違いしているだけということでなければ。)
さて、ならばまずは鑑定をしてみよう!!
まずは作成した蒸留水から。
《川の水》
品質:並
ほう。ただの水とな。
ここで新たに考えられることは三つ。一つ目は汚染が抜けてきれいになっているから、その情報がない。二つ目は鑑定のレベルが足りないことで汚染されているがその情報を読み取れない。三つ目はレベルなどには関係なくそもそも鑑定ではそのような情報を読み取ることが出来ない。二つ目と三つ目であればお手上げなのだが、とりあえずは汚染水を鑑定することを優先しよう。
情報が変らなかったらその時に考えればいいのだ。
さて、では失礼して汚染された水を鑑定しよう。
《川の水》
品質:粗悪
効果:毒(微弱)、腐食(微弱)
はい。勝ちました。いやあ、さすが異世界。便利なツールがあるじゃあないか。じゃあもう、僕の水は安全じゃん。
ただ、毒と腐食か。なんか危なそう。たぶん王都の優秀な術師が居なければ毒(強)、腐食(強)となっていたのかもしれない。そら危ないわな。
さて、ではフローチャートに則って原因を同定することとしよう。
***
結果からいえば、汚染は蒸留によって解決することができた。つまり生物由来ではなかった。
ただ、何が溶けているかまでは分からなかった。
これを応用すれば王都の術師に頼らなくてもよくなるはずだし、結果としては上々である。しかしなんかあっさりだなあ。相場呪いとか闇魔法とかじゃないのか?なんかワクワクしない。
いや、不謹慎か。正確な数は不明だが、相当な人数が亡くなったはずだ。
心の中で不幸にも亡くなった人たちへ手を合わせる。
次は原因物質の特定だ。分離に比べて骨が折れる作業であるが、頑張ろう。
さあ、化学の知識で世界を救おうじゃないか!!!
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