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異世界がピンチらしいので元大学生理学部が救ってみる。~化学で世界を救うなんて?!~  作者: タルト


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No.13ロマンは儚い。

こんにちは。タルトです。

この作品に出合っていただいて、そして読もうと考えてくださってありがとうございます。

いい作品に出合えたと思ってもらえるよう頑張って書いたつもりです。楽しんでいってください。

 「浄化!!!!!」

 そのような声掛けとともに水面に大きな魔法陣が生まれ、水が淡く光る。

 「ふう。これで10日は持つと思います。では次の川に行きましょう。」

 額に少し脂汗を浮かべながら、聡明そうな魔法使いはそう言った……。




***




 ジャスさんへの説明を終えた後、僕らは根本の解決が出来ていないことに気がついていったん解散をした。

 そしてそのあと、僕は大量のシアンを無毒化する方法を考えていたのだが、全く出てこず、もはや汚染の元凶である魔王軍の手先に殴り込みをかけた方がマシなんじゃないかとまで考えていた。無謀だろと思うかもしれないが、逆にいえばそれぐらいしか出てこなかったのだ。

 そうやって思い悩んでいた時、ジャスさんが訪ねてきたのだ。王都から術師が来るから見てみないかと.…。


 と、言うところでその提案をありがたく承諾して、現在に至るわけだ。


 「――と、そこの冒険者さんは何か分かりましたか?」

 「……………。」

 「えーっと?冒険者さん?」

 「……………。」

 全く、誰だよ。無視してやるなよ、かわいそうに。この人僕らのために遠くから来てくれたんだろ?全く……誰だよ……。


 「(……おい!サトシさん!あんただよ!高名な術師で簡単には会えないからっていってあんたはこの街の凄腕冒険者ってことになってるんだろ!あんたは魔法に詳しい冒険者で、今は王都からの術師を守る役なんだろ!!)」


 隣に立っているジャスさんがひそひそと話してくる。

 そうでしたそうでした。今日のこの瞬間だけは王都の術師を護衛する凄腕冒険者なのだった。

 「――!!!はい!冒険者です!!!」

 「よかった。無視されたのかと思いました。それで、何か分かりましたか?魔法はお詳しいんですよね?」

 「そうですね……魔法に詳しい自分から言わせてもらうと……。」

 ふーむ。分かったことなんてないよ。だって人生初魔法だし。キラキラしててきれいだなってぐらいしか感想ないよ。まああとはお姉さんのおっぱ……。

 まあ、そうねえ。気になったことを聞いておくか。

 「なんかこう、魔法唱えるときって浄化!みたいな感じなんですね。もっとこう、詠唱が必要だと思ってました。」

 「?本当にあなたは魔法を使いこなす冒険者なのですか?まあ、詠唱なしも珍しいですもんね。説明しましょう。歩きながらでもいいですか?」

 コクコクとうなずき、歩を進める。

 「そもそも、魔法って何だと思いますか?魔法って、不思議じゃありません?例えば火をつける、水を出すといった基本から雷を呼んだり突風を起こせたりするんですよ?どうしてそんなことが出来るのでしょうか。」

 へえ。この世界の人もそのような認識なのか。この世界に生まれ育った人であれば、魔法はずっと身近のはずで、当たり前のはず。なのに、不思議、なんて思うのか。それこそ、人間が言葉をしゃべって二足歩行ができるように、当たり前に魔法を使えるはずなのに。

 「不思議、ですか。まあ、不思議。ですよね……。」

 「――ッ!!!あなたもそう思うのですか?!」

 近い近い!!!!!そして可愛い可愛い!!!どこか幼げが残るかわいらしい顔を近づけられたことで少しドギマギしてしまう……。

 違う!そうじゃなくて……。なんだなんだ!地雷を踏んだか?!

 「いや!普通は不思議だなんて思わないのですよ!幼いころから近くにあって、それこそ当たり前に使う人を見かけますから……。だって、普通、私たちがしゃべることに対して疑問を持つことはないでしょう?」

 コクコクと頷く。

 あ、やっぱそうなんだ。この人が魔法を不思議と思うのがおかしいのよね。というか、この人ヤバい匂いがするんだよねえ。なんかこう、めんどくさいオタクな気が……。というか最初の魔法とはっていう問いに辿りつくまでにすごい時間を要しそう……。


 「――でも、気になりませんか?そもそも言葉って何なのでしょう。なぜ、水は水と言うのでしょう?なぜ木は木と言うのでしょう?なぜ、私たちは人間と言うのでしょう?誰が名付けたんでしょう?言葉とは、だれが作ったのでしょう?最初に生まれた人間でしょうか?それとも、人外なるものが教え、伝えたのでしょうか?――そもそも、人間とは何でしょう?」

 ほーらもーめんどくさいじゃーん。ええ?哲学かよお。まあ誰もが思う疑問だよなあ。地球でもそんなものは大事に追究されてたって……。

 こと日本では人外なるもの、つまり神がいる。なんて話はあまり馴染みがない。もちろん、日本には八百万の神がいることはみんなどこかで学ぶし、ゲームなんかでは北欧神話などに交じって日本神話がある。しかし、実際にそれを本気にしている人はいるだろうか。すでにもう形骸化して、米粒を残さないようにするような効力しかもっていないような気がする。まあ、日本はなぜか複数の宗教のイベントをこなす稀有な人種だし……。

 しかし、この世界にきて僕は神に対して考えを変えた改めた。神は100%いる。まず間違いなく。メーティスもいるし、ロキとやらもいる。地球では、神の存在を確認することはできなかった。神と人とでは真に''次元,,が違う。

 しかし、この世界には必ず神はいる。僕は会ったことがある、話したことがあるのだから。

 まあ、そんなことは置いておいて。一旦話を続けよう。


 「――哲学ですか?僕苦手なんですよね……、その手の類。」

 「哲学?とは何でしょうか?」

 あーこの世界にはまだない言葉なんだ。

 まあそういう答えのない問答を考えてそれに答えを持たせるものが哲学というのだし、まあ、まだこの世界には早いのかもしれない。

 少なくとも地球でいう哲学も紀元前何百年の話。哲学という学問も地球では生まれて3000年ほどのはず。人類の20万年という歴史の中ではまだまだ生まれたての概念だ。


 「哲学とは、ですか。それこそ哲学的問いになってしまいますが……。哲学とは、人間の根底、つまり、人間とは何か、生まれたこの世界とは何か、なぜ生まれてきたのか、といったような問いを追求する学問のことです。」

 「ほう!!!!興味深い!!!それはどこで学べるのですか?!?!」

 学べません。だって地球のものだもん。もしかしたらこの世界にも同じようなものがあるかもしれないが、あいにく、知らないのでな。

 「学べないと思います。ある意味僕しか知らないので。」

 「ええ?!ちょっと、ずるいです!教えてくださいよ!!!もう!!!」

 あーめんどくせえーーーー!!!!!!というか最初のキャラはどうした。おまえいかにも聡明で冷静な感じだったろうが!!!というか鼻息をフーフー荒くして近づかないでほしい。せっかくの美少女魔法使いとの会話が台無しだ。

 チッ。仕方ない。ここは適当に……。

 「我思う。故に我ありですよ。僕らのように、思い悩むこと、それこそが人間である証拠なんですよ。」

 「おぉ!!!!かっこいい!!!」

 目の前のいかにも高位の魔法使いさんはキラキラした目をしている。

 デカルトさんありがとう。あなたのおかげで僕は魔法使いに感謝をされています。

 おかげで美少女魔法使いと良いムードで会話できてます。このままいけば友好度がマックスになってもうそろそろデートイベントが見えてきます。ありがとうございます、デカルトさん。


 ……別に話盛ってなんかないよ?


 「そんなことは置いておいて、魔法についてもう少し教えてくださいよ!魔法ってそもそも何なんですか?」

 「あ、そうでしたね。魔法について、我はこう思う。」

 「ふへっ。我思うってかっこいいね。」

 だあああああああ!!!!!!!可愛いなあ!!!!!おい!!!!




 「魔法ってさ、実はそこまで万能なものじゃないんだよ。現に私はまだこの街の水を完全に浄化はできていない。あくまで、ちょっとしたお助けなんだよ。」

 「ふーん?というと?」

 相手が敬語をなくしたからこっちもタメにしたが、なんか違和感がある。というか王都の魔法使いなのだろう?相当高位のはずなんだが……。

 敬語をなくした事で怒られないかとビクビクしている僕をそっちのけで魔法使いさんは続ける。

 「いや、才能があるって言われて、こんな役職してるけどさ、本当はもう限界が見えてるんだよね。魔法って火が出たり水が出たりするじゃない?だからなんでもできそうな気がしてたんだけどね……。」

 「それってすごいことじゃないの?水を浄化するってのも大変なことなんだろ?」

 「いや、たぶんそこまですごくはない、と思う。というのも、魔法はイメージを具現化する力。私の才能というのは言わば超リアルな想像力。」

 ''想像,,力ねえ、''創造,,力じゃないんだ。僕らが思い描く魔法とはどちらかというと創造力を思うのだけど……。

 「――リアルな想像力……。つまり……。」

 「今から君の服は燃える。炎は揺らぎ、風の力を得て、どんどん燃え広がる。君のその黒い服はどんどんと赤に発光して……。とまあ、想像したとしよう。」 

 「はあ。」

 「でも、燃えない。だって想像なんだから。だけど、私の魔力を使ってファイアーとでも叫べば、その服はもれなく灰になる。」

 「はあ。」

 「まあだから、魔法とはイメージなんだよ。」

 おい、こいつ言語化へったくそだぞ。こいつ多分あれだよ、才能だけでその地位まで上がっただけだから人に説明したりとか魔法を教わったりしたことはないんだろ。

 仕方ない。自分の頭で整理するか。

 魔法とは想像力ねえ。だから基本は僕らが思い描く漫画とかの魔法でいいのだろう。想像したことを現実にする。ってことだろ?だけど、創造じゃない。

 んー?想像力ねえ。

 「じゃあつまり、例えば僕がこの森をすべて焼き尽くすような炎を想像して、それが現実に起こったのと同じぐらい正しく想像できていれば燃えるのか?」

 「まあ、理屈はね。普通に魔力が足りなくてできないと思うけどね。」

 なるほど。分かってきた。想像したことを現実にしたい。でもなにもしないと起こりうるわけがない。その想像を現実にするために世界に干渉する何かしらの力が魔力ってこと?

 思い描いたことを魔力が代行してくれるのだ。だから、そもそも正しく思い描けてなかったら魔力もそれを現実にできないし、あまりにも思い描くことが大きいと、限界を超えてしまう。

 だから、この人は水がきれいになるという想像をリアルにすることが出来る。それ故に魔法で浄化が出来るってことね。

 「ふーん。なるほどね。だから浄化!なんて淡白でも魔法が起こるわけね。」

 「いや、普通は無理。だってイメージが足りない。汚染されている水をきれいにするなんて方法普通は思いつかない。君だって、この水をきれいにする方法は思いつかないだろ?だから、普通の人にはできない。私だってきれいにする方法は分からない。だけど、水が魔王の力から解放されるような、きれいになっていく過程はイメージできる。だからできる。」

 いや、僕は水を浄化できるのだが……。普通のただの一般人が一般的な教養の化学できれいにできたのだが……。

 「――すごいんだな。」

 「ふへっ。私ってすごい才能があるからね!」

 あーめんどくせ。胸を張るな。……お姉さんのおっぱいが……より強調されて……。ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!

 違う。そうじゃなくて。

 「はいはい、すごいですね。じゃあさ、なんで詠唱がいる人といらない人がいるの?詠唱なしって珍しいんでしょ?」

 「ふへっ。そう、詠唱なしでこの規模の浄化をできるのは数少ない。じゃあ、詠唱について説明をしようか。」

 「そもそも、詠唱に意味はないよ。」

 「えぇえええええええええええええ?!?!?!?!?!?!?!」

 あのかっこいい、詠唱に、意味が、ない、だと?!

 燃やし尽くせ我が炎よ!だの、清き水よ!だの、貫け(いかづち)よ!だのには意味がないのか?

 まあ今僕が適当に考えた詠唱なので本当に意味はないと思うが。

 「うっ、うん……。意味はないよ。」

 若干お姉さんが僕の叫び声にひるんでいる。

 「どっ、どう言うことだよ!詠唱に意味がないなんて……僕の、僕たちの……ロマンが……。」


 「ろまんって何?まあいいや、うん。詠唱に意味はないよ。」

 「うーん。意味ないは言い過ぎたかもしれないね。うーん。本質じゃない、かな。」

 「魔法はイメージって言ったでしょ?だから本来イメージできればそれでいいの。詠唱はあくまでもそのお助けなだけ。口に出すことでより思い描きやすい、っていうだけ。燃える様をイメージするより、燃えよ!って口に出したほうがイメージしやすいでしょ?」

 「あとは、例えばその魔法が使える人がいたとして、その人の詠唱を真似するわけ。そしたらその人が魔法を使ってる場面が思い描けるでしょ?それをイメージとするの。」

 「魔法そのものをイメージすることが難しいなら、魔法を使っている人をイメージすればいいっていう話ね。」

 「だから、魔法に関しては育った環境とか師匠によって詠唱は様々なんだよ?」


 「はぁ……。」

 溜息なのか感嘆なのかわからない声が僕の口から出る。詠唱に意味がないなんて普通にショック……。かっこいい詠唱をしながら魔法使いたかったなあ。

 まあ、とりあえず。今回の説明は腑に落ちた。さっきの説明とは段違いだ。


 ん?じゃあ僕は汚染の原因もわかっているし、その過程をバッチリイメージできるんだけどこれ僕も魔法使えたりする?


皆様が読んだ感想を教えてくださると嬉しいです。

ダメだしや、誤字脱字などでも、教えてくださいね。


皆様の感想は全て読ませて頂き、今後に活かしたいと思います。

ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました。

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