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異世界がピンチらしいので元大学生理学部が救ってみる。~化学で世界を救うなんて?!~  作者: タルト


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No.11.5(番外編)火を熱く語る。

こんにちは。タルトです。

この作品に出合っていただいて、そして読もうと考えてくださってありがとうございます。

いい作品に出合えたと思ってもらえるよう頑張って書いたつもりです。楽しんでいってください。

 サトシの思考~火とは~




 さて、少し思考をしてみよう。

 火力を上げるってどうする?というか火力ってなんだ?

 火の強さ?まあ、正しい。


 では、火とは?

 哲学か?と思ったかもしれないが違う。答えはある。さて、皆さんは自分なりの答えが出ただろうか。

 

 火というものを知るためには、ものが燃えること(燃焼)が何かを知らなければいけない。

 え?火でものを燃やすことが燃焼なのではって?

 逆だよ。

 

 燃焼とは、''物質が光や熱を出しながら酸素(O₂)と結びつくこと,,である。

 光や熱?酸素?分からなくなってきたかもしれない。大丈夫。

 僕らが目にする火の正体は、光と熱だ。つまり、光と熱を出す現象に人間は火と名付けた。ただそれだけ。


 つまり、''火,,とは燃焼の副産物であり、ただの現象、ということになる。火が付くから燃えるのではない。燃えるから、火が出るんだ。


 では、最初の質問に戻ろう。火力を上げるには、どうするか。答えは、燃焼反応を強める。つまり、酸素が結びつく反応を強めればいい。


 酸素が結びつく反応を強めるためには主に二つの方向性がある。一つは酸素が結びつきやすくしてあげる。もう一つは酸素を増やしてあげる。というものだ。

 わかりやすい例を挙げるなら、ダーツだ。ダーツの的が燃える物質。酸素がダーツの矢だとしよう。ならば的に矢が刺さることが燃焼ということになる。ではこの例でいけば、沢山刺せば、燃焼を加速することになる。なら、たくさん刺すにはどうすればいい?ダーツの的が刺さりやすくなるか、一度にたくさん投げればいいだろ?そういうことだ。


 だから、酸素が結び付きやすくするために僕は木炭を使い、酸素の数を増やすために風の魔法札を使ったのだ。

 まだちょっと飛躍しているか。もっと砕こう。

 酸素が結び付きやすいのは炭素(C)という物質だ。木にはこれが多く含まれている。だから燃える。ならば、さらに多く炭素(C)が含まれている木炭に変えればどうなるだろうか。そう、燃焼加速が出来る。だから、木から木炭に変えた。

 また、酸素は空気中にたくさんある。したがって、空気にたくさん触れさせることで、結果的に酸素の数を増やすことに繋がる。だから、風の札を使って空気を常に火に送るようにした。

 さて、僕が木炭と風の札を使った理由が分かったかな?


 じゃあ、火力をさらに上げるには炭素が木炭よりも多く含まれるものに変えて、より空気を送ればいいじゃないって?

 鋭い。その通り。

 しかし、そう簡単にはいかないことが面白いところなのだ。

 まず、炭素がより含まれるようにすればいい。という点に関して、これは難しい。そもそも木炭は炭素が80~90%ほどを占めている。これを100%に近づけることは難しいし、そもそも100%の高濃度炭素がこの世界にあるとは思えない。

 そして、風をもっと送ればいい。という点に関しても、難しい。風が吹くと涼しく感じる。これはなぜか。風が吹くと、体の熱を奪うのだ。だから涼しく感じる。

 これが難しいポイントなのだ。風を送ると酸素を増やすことが出来、燃焼反応の助けになる。しかし、同時に風で熱を奪ってしまうのだ。だから、風をもっと送ってあげたとしても、残念ながら火力は上がらない。というか多分、火力は落ちる。

 ちなみに、空気は酸素が1/4を占めている。なので、酸素濃度を100%に近づけた風を送れば、まず間違いなく火力は伸びる。まあ、さすがに難易度が高すぎるが。

 

 さて、手詰まり感が出てきてしまった。

 皆さんであればどうする?

 燃焼反応をこれ上げることは難しい。つまり、火力をこれ以上上げることは難しい。


 じゃあ魔法を使う?

 ちっちっちっ。まだ、やりようはある。


 火力を上げることなく、温度を上げる。そんなことが出来たとしたら……。


 は?と思った人も多いだろう。無理だろうと。

 温度を上げるためには火力を上げる必要があって、それなしに温度を上げることはできないだろうって。

 

 いいや、できる。

 さて、もう一度深く思考しよう。


 先ず始めに言っておきたいのが、温度を上げることと火力を上げることは別である。

 そもそも、温度とは、ただの指標である。区切られた数字に過ぎない。だからそこまで意味がある値ではないんだ。では、何の指標なのか。


 それは、熱エネルギーの保有量である。

 だから、温度を上げるには熱エネルギーの保有量を上げてあげればよい。


 そもそも、熱エネルギーってなに?という疑問が出てきそうである。熱エネルギーとは、物体を構成する原子や分子の熱運動によるエネルギーである。

 ともかく、だ、熱エネルギーの保有量が上がることが、温度を上げることと同義なのだ。

 

 では、熱エネルギーを増やすにはどうすればいいだろうか。火力を上げる。というのももちろん正解だ。火力を上げると物体に熱エネルギーを渡す量が増える。だから、高火力で物体を燃やせば常に物体に多くの熱エネルギーが渡るため、保有数は増える。つまり温度も上がる。


 あれ?と思った人はいるだろうか。じゃあ、高火力を維持して、物体を燃やせば、熱エネルギーの保有量がどんどん増えていき、結果的に温度は上がるのでは?と。

 もちろん。正しい。だが、そう簡単にはいかない。保有した熱エネルギーは周りに奪われていく。なにも難しいことじゃあない。熱が温かいところから冷たいところに移動するというだけの話だ。(熱平衡という考え方)だって、注いだ味噌汁だって放置をすれば冷えるだろ?

 

 これでもまだ疑問は残る。

 先ほどの実験では、火を維持して、ものを燃やすことをした。すると、温度はどんどん上がっていき、次第に上がらなくなった。だから、温度をさらに上げたいというわけだ。しかし、おかしくないか?最初は温度は上がり続け、あるところから温度が上がらなくなったことの説明がつかないからだ。


 詳しく言おう。

 ものを燃やすときに、物体は常に空気に触れており、それが熱を奪うことは説明した。理解も容易のはずだ。そのうえで、物体の温度が上がっていくということは、物体に渡される熱エネルギーの方が、空気が奪っていく熱エネルギーよりも多いということだ。ならば、ずっと温めておけば、エネルギーが多少奪われるけど、エネルギー保有量は上がっていくはずだ、と。しかも、温める環境はずっと変わらない。なら、奪っていく速度も変わらないはずでは?と。


 この考え方は正しい。しかし、ここに大きな落とし穴がある。環境が変わらなければ、エネルギーが移動する速度も変わらない。ということが間違いなのだ。

 熱の温度が高ければ高いほど、熱平衡は活発に起こる。この説明に関しては、難易度が段違いすぎるので、ここでは割愛しよう。

 温度の上昇が止まってしまう理由に関しては、どんどん熱エネルギーを奪う速度が速くなっていくので、いつかは、与えられる熱エネルギーと、失われるエネルギーが等しくなってしまう。という説明で納得を頂きたい。


 長くなったが、温度を上げる、つまり、熱エネルギーの保有量を増やすということは、与えられる熱エネルギーの方が奪われる熱エネルギーより多くなくてはいけないということだ。

 

 今の話を聞いて、諦めるのはまだ早い。まだ、やりようはある。


 今までの話は全て、熱エネルギーをより多く与える方法であった。

 それに限界が来たのであれば、熱エネルギーを奪わせなくすればいいという話なのだ。


 と、言うところで行うのがピット炉と言われるものだ。

 簡単にいえば空気に触れさせる面を限りなく少なくして、熱を奪われにくくしようというものだ。




***

本編に続く。 

 


皆様が読んだ感想を教えてくださると嬉しいです。

ダメだしや、誤字脱字などでも、教えてくださいね。


皆様の感想は全て読ませて頂き、今後に活かしたいと思います。

ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました。

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