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鬼神王覚醒  作者: 森豆太郎
97/109

第97話 ◇寄り道◇ 01/27

◇寄り道◇ 01/27


 第1師団会議室にて、会議と言う名の説得が始まった。


 先手、第1師団大場陸将


 「さて、十三桜陸将わざわざ北海道から来訪されたのは、コーヒーを飲みに来たわけではありませんよね。ご用件を承り(うけたまわり)ましょうか。」


 後手、第2師団十三桜陸将


 「コホン、今日来た訳は、先ほども少し話したが、第1師団の駐屯地に居る自衛隊員と避難住民たちに北海道へ”安全に”避難するという了承を得るために訪問した。兎山君も馬頭君にも補足してもらうために同席していただいた。」


 先手、第1師団大場陸将


 「安全にと言うが、一体どうして避難住民が安全に避難できるというのかね。先ほどみたいに見えない敵が、うろうろして居るのだろう。」


 後手、第2師団十三桜陸将


 「それについては、早矢刺さんが、安全に駐屯地ごと矢臼別演習場まで、転移させてくれるから問題ない。」


 先手、第1師団大場陸将


 「転移とは、どういう事ですか。」


 後手、第2師団十三桜陸将


 「例えば、この練馬駐屯地であれば、この駐屯地の敷地・施設毎矢臼別演習場まで一瞬で転移させてくれるという事だ。」


 先手、第1師団大場陸将


 「ほぉーう、そうですか。そんなことが出来るなら結構でしょう。どうぞやって下さい。」


 後手、第2師団十三桜陸将


 「信じてませんね。」


 先手、第1師団大場陸将


 「そんなことが信じられるわけないじゃないですか。」


 後手、第2師団十三桜陸将


 「わかりました。本当にやって良いんですね。」


 先手、第1師団大場陸将


 「どうぞ、どうぞ。」


 後手、第2師団十三桜陸将


 「それでは、相薗さん、お宅の第1普通科連隊から司令部前に50名に武器を携帯させて集めてくれ。」


 「大場師団長、宜しいのですか?」


 「十三桜陸将の言う通りにしてやれ。」


 「了解しました。」




 これで、一応、転移について了承されたと思っていいんだよね。だったら


 「横から失礼します。こちらの第1師団で現在も連絡可能な駐屯地ですが、どこが残っていますか?と言うか、現存している駐屯地があれば、教えてください。」


 「一般人に答える必要はない。」


 「十三桜さ~ん。帰って良いですか。」


 「早矢仕さん。待ってくれ。

 大場陸将。早矢仕さんが確認したいのは、どこの駐屯地を転移させる必要があるのか、把握するためだから、素直に答えて欲しい。

 頼む m(__)m」


 「う~~む。大宮と朝霞だ。習志野、木更津、立川は、ヘリで八丈島に避難し武山は海自さんの船で、同じく八丈島に避難している。」


 「そうですか。それは良かった。そうするとここが終わったら残り2か所ですね。」


 「ちょっと待ってくれ。市ヶ谷に誰か残っているかもしれんから確認だけでも出来ないだろうか。」


 「えぇーー。それって見に行かないと駄目ですか?十三桜さん。」


 「出来たら頼む。」


 「しょうがないですね。じゃあ貸し一つという事で、市ヶ谷で顔が利く人って誰ですか?」


 「それなら馬頭陸将だな。陸幕監理部長だったからな。」


 「それじゃぁ馬頭さん一緒にお願いできますか。」


 「了解した。」


 「それじゃあ、獄卒たちはいつものように隊員さん達の保護と監視を頼む。それから、隊員さんの使っている小銃弾は、5.56mmでSTANAG マガジンですよね。後のことは十三桜さんにおまかせしますんで、よろしく。」


 と言って【無限蔵】から、[感知眼鏡]50個と装填済み30発用STANAG マガジンを150個取り出してテーブルに並べた。


 「それは、一体どこから出したんだね。」と大場さん


 「これは、隠しポケットから出しました。この弾なら奴らを殺せますから隊員さん達に配ってください。死体の処理は、獄卒たちが行いますから、忘れずに死体の処理をお願いしますね。

 それじゃ、馬頭さん市ヶ谷にって、行ったことないんですけど、釣り堀の近所でしたよね。」


 「ちょっと離れてるけど、市ヶ谷駅の釣り堀ならそんなにかからないね。」


 「わかりました。それじゃ釣り堀から歩いていきましょ。」


 と馬頭さんの腕を持って【鬼動】で転移した。




 その後、会議室では大場さんが、「人が消えた。なぜ、どうした、なんだ、どういうことだ」と十三桜さんと兎山さんを捕まえて聞きまくって居たという事を後から聞いた。





 釣り堀に着いた馬頭さんと俺は、二人でのんびり歩いて市ヶ谷駐屯地に向かって歩いていくと、途中そこかしこに死体が放置されたままで、駐屯地の正面ゲートも無残に破壊されて周りに自衛隊員の死体が、そのままで、異様な匂いだった。


 市ヶ谷駐屯地周辺に向けて【思念伝達】で『市ヶ谷駐屯地の皆さん救助に来ました。誰かいませんか』と呼びかけながら、死体を踏まないように駐屯地内の庁舎を回りながら【思考分析】で、人の気配を探って歩くが、反応が返ってこない。


 そもそも、各庁舎ともガラスが割れたり死体がそこいらじゅうに散乱していて、惨憺たる状況で、建屋内なんかに入りたくもない。


 死体をよく見ると、屋外には食いちぎられた死体だが、庁舎の死体は、銃撃された死体が見受けられるので、同士討ちが起こったみたいだ。


 「馬頭さん、この周辺で人の気配を探ってみましたが、反応がありませんね」


 「こんな状況では、致し方ないが、最後に2か所だけ確認してもらえないだろうか。」


 「良いですけど、どこですか?」


 「食料がある厚生棟と大本営地下壕跡なんだ。」


 「それじゃぁ、どっちが近いんですか。」


 「まずは、厚生棟からだね。」


 と二人で、厚生棟という建物に向かって歩いていきながら、【思念伝達】で呼びかけて【思考分析】で、人の気配を探るが反応が無い。


 「ダメですね。呼びかけに対して何も反応がありません。」


 「そうですか。最後に地下壕を見て帰りましょう。」


 とテクテクと歩きながら【思念伝達】で呼びかけて【思考分析】で、人の気配を探っていくと前方から微かな反応が返って来た。


 「馬頭さん、反応だ!」


 と反応にめがけて走り出すと馬頭さんも後からついてきてくれた。


 反応が返ってきている周りがコンクリートで固められている鉄の扉の前で立ち止まると馬頭さんから


 「早矢仕さん。ここが大本営地下壕入口だ。」


 扉を開けようとするが、びくともしないので、


 「馬頭さん。扉ごと後ろに【瞬間移動】して、壊しますから、横にずれてもらえますか。」


 と断ってから扉を壊して中に入っていくと中は、真っ暗なので、光を出した[陽石]を【念動力】で進行方向上方に固定して声を出しながら奥に進んでいくと複数の人が、固まっていた。


 「助けに来ました。動けますか?」


 「み、みずぅーー」


 と言うので、


 「何か入れ物ありますか?」


 と聞くと中身が空になったペットボトルを差し出されたので、中に水を満たして渡すと、一口ずつ飲んでは、次の人に回して無くなりそうになったので、もう一度、水を満たしてあげたら、笑顔になって再びペットボトルを飲み回し始めた。

 人数を数えると14人だった。

 ひと通りのみ終わって落ち着いたのか


 「ありがとうございます。」


 と制服を着た女性自衛官からお礼をされた。


 「ここに居る人は14人で全員ですか?」


 「そうです。最初は50人程居たのですが、食料調達に出たまま戻れなかったりして今、残っている14人が最後の人間です。

 食料調達も出来なくなってしまい、身動きが取れなくなっていました。

 本当にありがとうございます。

 それで、どちらの部隊が救助に来たのですか?」


 「部隊? 来たのは、この二人だけですよ。」


 「え!!えぇーーー二人だけですかぁーーー!!」


 「そうです。ところで先ほど、”最後の人間”と言うのが、気になったのですが、どう意味なんでしょう?」


 「そ、そんなことより何で!!救助が!!たったの二人なんですかぁ!!二人じゃ奴らに殺られるだけじゃないですか。」


 「まずは、落ち着いてくださいね。

 私は早矢仕と申します。一般人です。そしてこちらは、第6師団の馬頭陸将です。よろしくお願いします。」


 「私は、広報官の広瀬2尉です。こちらこそよろしくお願いします。

 っーて、何で二人なんですか!?」


 「みなさんをこれから練馬駐屯地まで、お連れしますので安心してください。その後は北海道の矢臼別演習場に避難してもらいます。」


 「じゃなくて、どうやってたった二人の救助隊で私たち14人を練馬駐屯地まで移動させるんですか。ヘリで来たんですか?」


 「ヘリじゃありません。ここへは市ヶ谷駅の釣り堀から歩いてきましたから。

 それよりも何で先ほど”最後の人間”とか”奴らに殺られる”と言ったのか、とても大事な事なんで教えてください。」


 「そ、それは、普通の人には見えないものが、私には見えるんです。頭が二つとか三つある犬とか、豚みたいなのとかが!!」


 「そうですか。良い目をしていらっしゃる。」


 「え!笑わないんですか。」


 「笑ませんよ。事実ですからね。」


 「そうなんですよ。そいつらが、年末に襲ってきて必死にここに逃げ込んで隠れていたんです。」


 「そうでしたか。本当に良かった。」


 「それに、奴らには銃撃が効きません。」


 「そうですね。普通の銃弾では殺せませんね。」


 「そうなんです。なんでそんなに詳しいんですか?」


 「あなたなら、クリスマスイブの富士山噴火後のメッセージを聞いてますよね。」


 「はい、聞きました。」


 「あれは、私が送ったメッセージですからね。」


 「そうだったんですね。じゃあ避難所と言うのも本当なんですか。」


 「本当ですよ。何で逃げなかったんですか。」


 「だって、私、自衛隊員ですから自分だけが逃げる事なんて出来ません。」


 やっぱりこの人も自衛隊員なんだ。

 こういう人こそ、生き残ってこれからの未来の為に頑張って欲しいからメッセージを送ったのに、まあ、分かってはいた事なんでしょうがないか。


 「広瀬さん。他の人はどういう人ですか。」


 「この方たちは、一般人の方たちです。見学やお仕事、で偶々(たまたま)市ヶ谷に居た方と周辺住民の方たちです。」


 「そうですか。わかりました。」


 「それでは、そろそろ練馬の方も片付いているころだと思うので、ここから出るんで、前の人の肩につかまってください。」


 馬頭さんを先頭に俺、広瀬さん達と言う感じで、繋がって最後の人が前の人の肩につかまったのを確認して【鬼動】で練馬駐屯地の会議室に転移した。






 そこには、大場さん、相薗さん、十三桜さんと兎山さんに駐屯地内の掃討が終わった獄卒たちが、待っていた。


 「戻りました。市ヶ谷の生存者は、ここに居る14人だけでした。」


 「ちょっ、ちょっと待ってください。ここはどこなんですか。地下壕に居たのになんで、いきなり会議室なんですか。」


 「早矢仕さん、私たちにも説明して欲しい。」と大場さん


 「ですから、これは私の持っている【異能】という力の一つで、私が知っている場所に転移することが出来るんです。この力で各地の駐屯地を矢臼別演習場に集めている最中です。だから、黙って転移に了承してもらえば、安全に皆さんを北海道までお連れします。よろしいですか?」


 「わかった。分かったから少し考えさせてくれ。」


 「せっかく駐屯地内の魑魅魍魎を殲滅したんですから奴らが再び入り込む前にさっさと移動したいんです。YESかNOかはっきりしてください。相薗さんは、どうなんですか?」


 「わ、私は矢臼別演習場に行きたいです。隊員たちも避難できるもんなら安全なところに避難したいと言っています。」


 「そうですか。分かりました。大場さんは残りたいならお好きなだけ”お一人で”残るという事で、宜しいですか。」


 「待ってくれ。私も一緒に避難させてくれ。頼みます。」


 「それでは、相薗さん駐屯地内の皆さんに説明をお願いします。準備は何も必要ありません。アッと言う間に矢臼別です。

 大場さんには、残っている大宮と朝霞駐屯地に私と馬頭陸将が、訪問したら指示に従って行動して、避難するよう周知徹底をお願いします。」


 「わ、わかった。これからすぐに連絡を取って指示を出そう。」


 と会議室を出て行った。



 「待ってください。私たちはどうなるんですか。」


 「当然、広瀬さん達も一緒に北海道に避難です。」


 「わかりました。私の家族が、メッセージにあった避難所に居るはずなんですが、無事かどうかわかりますか?」


 「広瀬さん家族の安否については、問合せしますから待っていてください。」


 (武さん。今、大丈夫ですか?)


 (どうしました。)


 (広瀬小百合さんの家族が、そちらの避難所に居るはずなんだけど、確認できますか?)


 (少々、お待ちください。)


 「広瀬さん、今、問い合わせしてるから少し待って(居ました)見つかったそうです。」


 (誰が居たのか教えて)


 (広瀬達治さん、葉子さん、尊君の三人です。)


 (ありがとう。一応、ご家族に小百合さんの無事が確認できたと伝えといて。)


 (かしこまりました。)


 「広瀬さん。広瀬達治さん、葉子さん、尊君の三人で間違いないかな。」


 「そうです。4人家族なんです。だけど、何で名前まで知っているんですか?」


 「ちゃんと避難所の名簿で確認したからですよ。凄いでしょ。」


 「家族に会えますか?」


 「会えるようにするんで、第2師団の十三桜陸将の所に居てください。後で迎えに行きます。」


 「十三桜さん。広瀬2尉をお願いします。」


 「了解した。」


 と話をしていると【瘴気感知】に反応が出たので、獄卒に始末してくるよう指示を出すと、獄卒たちが会議室を飛び出して始末しに行った。


 暫くするとタッタッタッタッタッとMINIMIの発射音が、聞こえて反応が消えた。


 のんびりしていると再び入り込まれるから、さっさと北海道に転移しないと。と思っていると大場さんが帰って来た。


 「大宮と朝霞にお二人の指示に従うよう指示を出したので、よろしくお願いします。」


 「わかりました。それでは転移します。」




 ここは、北海道矢臼別演習場に転移して来た練馬駐屯地。


 「おおーー寒。やっぱり1月の北海道は寒いですね。燃料も含めて練馬駐屯地の面倒は、十三桜さんにお願いしてもよろしいですか。」


 「了解した。」



 それでは、馬頭さん大宮と朝霞まで、お付き合いください。


 「了解。」


 と二人で大宮駐屯地へ転移した。

 大宮駐屯地司令 山中(やまなか) 国治(くにはる)陸将補も

 朝霞駐屯地司令 若木(わかぎ) (まこと)陸将補も素直に従ってくれたので、その後、問題なく矢臼別演習場に転移が完了した。


 これで、残りは中部方面隊の第3師団、第10師団、第13旅団、第14旅団と西部方面隊第4師団と第8師団に第15旅団になった。




 おぉーっと広瀬さんを忘れてた。危ない危ない。


 十三桜さんの所に寄って


 「広瀬さん居ますかー」


 「はい。お待ちしてました。」


 「それじゃ、原宿の避難所に行くんで、手を繋いでもらっても良いですか。」


 と手を繋いで、二人で原宿避難所に【鬼動】で転移した。


 広瀬さんの家族が住んでいるのは、21W24N38《住宅エリア21の西24北38》なので、連れて行って感動の再会となった。


 「早矢仕さん。本当にありがとうございます。」


 「せっかくご家族と会えたんだから、暫くは、のんびりと過ごすと良いよ。」


 「いえ、家族の無事と安全が確認できたので、働きたいと思います。私にも早矢刺さんのお手伝いをさせてください。」


 「と言ってもなぁー、何か考えるんで、とりあえず暫くは休暇という事で、家族と過ごしていてください。」


 「本当に休んでいてよいのでしょうか?」


 「大丈夫です。これからしばらくは、西日本の駐屯地を避難させるだけなんで、問題ありません。」


 「わかりました。」


 「それじゃぁ、お仕事決めたら迎えに来るんで、今日はここで、お暇しますね。」


 と言って[ハウス]に帰って来たのは良いけど、どうしようか。とりあえず西日本の駐屯地避難を片付けてからにしよ。


 さぁーて、何かあったかな。腹減ったぁ。

この小説を見つけ出して読んでいただけた皆様、ありがとうございます。

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