第94話 ◇残念、ブラックでした◇ 01/23
◇残念、ブラックでした◇ 01/23
魑魅魍魎の殲滅は、順調に進んでいるようで、駐屯地のアチコチから銃声が聞こえて来て、【瘴気感知】の反応も順調に減っている様子を監視していると、裏門の方に奴らが、9匹ほど逃げていく反応が現れた。
「馬頭さん。どうやら追い立てられた魑魅魍魎が裏門の方に集まってしまったようだ。このままだと隊員たちが受傷する可能性があるので、始末しに行ってきます。」
と断ってから裏門に向かおうとしたら馬頭さんから声が掛かった。
「早矢仕さん。悪いが早矢仕さんの実力を見させてもらえないだろうか。」
「別に構いませんよ。よく見ておかないと”アッ”と言う間に終わっちゃうんで、目ん玉おっぴろげて見ていてくださいよ。」
と司令部の建物を出て裏門に向けて走り出すと教習コースに集まったようなので、確認すると悪魔犬や双頭犬が2頭居て、吸血蝙蝠が二匹にコボルトが1頭で9匹が、集まったいた。
このままだとフェンスを超えて駐屯地外に逃げ出すかもしれないので、速攻で始末をつけることにした。
まず最初は、吸血蝙蝠を【念動力】で地面に叩き落として固定して残り7匹。
次に残った7匹も【念動力】で動けないようにしてから大包平で一刀両断してから、地面の蝙蝠に止めを刺して9匹の殲滅が完了した。
「早矢仕さんの能力を疑うようなことをして申し訳なかった。それにしても何で、奴らは反撃してこなかったんですか?」
「それは、私の【異能】である【念動力】で動けないようにしていたからですよ。特に蝙蝠とか飛んで逃げちゃいますからね。」
「なるほど、そんな便利な能力があるんですね。うらやましい。」
「ずるしてるみたいで、すみませんね。異能は、私の一族が持つ能力ですから。」
「あのー、倒した死体の処理ですが、どうするのが良いでしょうか。」
「そうですね。奴らの体の中には、集めておくと瘴気の影響を受けた人を回復する材料になる瘴石というものが、腎臓辺りにありますから、それを集めてから、燃やしてください。」
「燃やさないと駄目なんですか?」
「そのまま放置しておくと、ゾンビ化することがあるんで、燃やしてしまうか敷地外に放り出した方が良いですね。」
「ゾンビ化って、映画とかである歩く死体と言う奴ですか。」
「それに近いですね。瘴石を取り出しておけば、ほとんどの場合は大丈夫なんですけど、死体の近くで瘴石化する前の瘴気袋が破壊されると死体に取り込まれてゾンビ化することがありますから、焼却しておくことをお勧めします。」
「なるほどですね。死体のそばで魑魅魍魎の腎臓辺りにある瘴気袋を撃ち抜いたりすると、その死体がゾンビ化するんですね。分かりました。死体は、集めて火炎放射器で燃やすことにします。」
そう言えば、今までの駐屯地で殺した魑魅魍魎の死体ってどうしてたっけ?
「あと、すみませんが、矢臼別の十三桜さんにもこのことを伝えてもらって良いですか。」
「えーーと、という事は、あちらでは、死体がゾンビ化することを知らないという事ですか?」
「そうでうすね。伝え忘れてました。」
「それは危ないじゃないですか。今すぐ無線で連絡します。」
と言って司令部に向かって走って行った。
これで、大丈夫?だよね。十三桜さんガンバ。
やっとこの神町駐屯地の掃除が終わったので、矢臼別に転移してもらうことにした。
司令部で馬頭さんを見つけて、矢臼別行きの了承を貰ったので、サクッと神町駐屯地を矢臼別演習場に転移させて、馬頭さんと一緒に十三桜さんに挨拶に行くことにした。
「馬頭さん、十三桜さんは、旭川の師団司令部に居ると思うんで、俺の腕をつかんでいてもらえますか。」
「なんで、男同士で腕を組まんと行かんのですか?」
「馬頭さん一人で元旭川駐屯地の司令部まで、自力で移動しますか?」
「どういうことですか?」
「私だけなら簡単に【瞬間移動】で移動できるんですけど、それでも良いですか。」
「という事は、私も連れて行ってもらえるんですか?」
「お嫌でなければ、どうぞ。」
「お願いします。」
「それでは、私の腕をつかんでください。」
と二人で十三桜さんの居る師団本部に【鬼動】で転移して面会した。
「十三桜さん、馬頭さんを連れてきましたよ。」
「早矢仕さん、さっき馬頭陸将から無線で聞いたが、魑魅魍魎の死体を放置するとゾンビ化するなんて大事な事を何で今になって言うんですか。お陰で、部下たちが今、必死になって死体処理を始めてます。大事なことは事前に情報共有をお願いしますよ。」
怒られちまったぜ。
馬頭師団長からゾンビ化の知らせを受けた十三桜陸将は、大慌てで部下たちに駐屯地を含めた矢臼別演習場一帯で殺した魑魅魍魎の死体を捜索して、瘴石の取り出しと、死体の焼却が行われ、一体では夜になるとキャンプファイヤーのような焼却作業が進められたのである。
一部の死体は、地中深く埋められていたのだが、それもショベルドーザを使って掘り起こされて、無事に処理された。
「ごめんなさいねぇ。聞かれなかったんで言うのを忘れてました。m(__)m」
「聞かなかったこちらにも非があることは理解していますが、本当にお願いしますよ。」
というやり取りを聞いていた馬頭さんが、
「十三桜さん、流石に北海道の冬は、厳しそうですね。」
「馬頭さんもお疲れでしょう。足りない物があったら言ってください。」
「それなら、各種燃料などをいただけないでしょうか。」
「了解した。ガソリン、軽油、灯油に航空燃料は、先ほどから早矢仕さんの仲間に補充してもらっているので、問題ない。」
「ありがとうございます。後で第6後方支援連隊から3トン半燃料タンク車をこちらに進出させればよろしいでしょうか。」
「早矢仕さんどうしたもんかね。」
「今現在の進捗状況はどんな感じですか?」
「航空燃料については、必要な駐屯地も少ないんで、完了したが、ガソリン、軽油、灯油に関しては、一日がかりになりそうだな。」
「そうですか、そうしたら航空燃料輸送していた者に担当させますんで、馬頭さんの所の燃料輸送車は、そのまま駐屯地内で待機していたください。」
(早矢仕です。今日北海道で航空燃料の輸送を担当していた者は、旭川駐屯地師団司令部前に来てください。)
「もうすぐ集まると思いますから、表で待っていましょう。」
司令部から出ると末に紫鬼が5名で整列していた。
「諸君ご苦労。こちらが神町駐屯地と一緒に避難されてきた第6師団師団長の馬頭陸将だ。これから皆で神町駐屯地に向かって移動して必要となる各種燃料を輸送してもらう。本日分の作業が終わっているのに追加残業となり申し訳ないが、今少し諸君の力を貸して欲しい。よろしく頼む。」
「了解しました。」
「それでは、転移するので私と身体の接触を保て。」
「はい。」
と5名が手を繋いだのに馬頭さんが、動かない。
「馬頭さん!行きますよ。」
「は、はい」
と言って私の肩に触れてきたので、【鬼動】で神町駐屯地に転移した。
「ここが神町駐屯地だ。諸君には、ここに鹿島基地から各種燃料を輸送してもらいたい。」
「「「「「了解。」」」」」
「それじゃ、馬頭さん第6後方支援連隊さんの燃料輸送車のあるところまで、この5人を連れて行って、輸送する品目と量を説明して下さい。後のことは、彼らに任せておけば、万事うまくいきます。」
と話していると司令部から兎山さんが、表に出て来た。
「早矢仕さん。私だけ置いてけぼりとは、酷くないかね。」
「別に置いてけぼりにしたわけじゃ・・・」
正直に言うと忘れていました。
「それは、それとして、馬頭陸将、僭越ながら時間も限られているので、私から各駐屯地に第6師団は矢臼別演習場に移動することを説明して納得させたので、後は、早矢刺さんにお任せするのみだ。」
「兎山さん。ありがとうございます。」
「兎山陸将のご配慮。かたじけない。お礼申し上げる。」
「命は何物にも代えがたいものですから、それを考えて行動しただけですから、気になさらないでください。こちらこそ越権行為申し訳なかった。」
それでは、残りの駐屯地を避難させていくんで、後のことはお願いします。
獄卒メンバー10名を集めて次の福島駐屯地へ向かった。
出る場所は、駐屯地前にあるお寺さんの境内にした。
ここからゆっくりと歩いて正門ゲートに歩いていくと、96式装輪装甲車が、左右に2台ずつ横並びで、ゲートを塞いでいた。
そのまま、96式装輪装甲車で封鎖してある正面ゲートに向かって歩いていくといつものように
「誰だ。」
と誰何の声が聞こえる。
「兎山陸将からお話が言ってると思うんですが、北海道の方から来ました早矢仕と申します。こちらの司令の湯山 道三1等陸佐さんにお取次ぎ願います。
ここからは、もう流れ作業になっているので、
・正面ゲート隊員への[感知眼鏡]配布と弾薬への【属性付与】
・隊員の武器への【属性付与】
・隊員50名+獄卒で基地内の魑魅魍魎殲滅
が終われば、矢臼別演習場への転移させて、後の事は十三桜さんたちにお任せして次の駐屯地へ向う繰り返しなのだが、流石に腹が減って来た。
ふと思い出したのが食堂のおばちゃんに貰ったホットサンドを思い出したので、【無限蔵】から取り出して腹ごしらえすることにした。
大量に貰っていたので、獄卒たちに銀紙で包まれたホットサンドを配ると、手元の包みを破いてアッと言う間に食べ終わってしまった。
そんな調子で、郡山駐屯地、霞目駐屯地、仙台駐屯地まで避難を終わったところで、日も暮れてしまったので、残りは明日、休日出勤で終わらせることにして、矢臼別に1度訪問して十三桜さんに今日は、ここまで。
明日、残った大和駐屯地、反町弾薬支処、多賀城駐屯地、船岡駐屯地で作業する旨説明し、現地にも連絡をお願いして獄卒たちと鹿島基地へ戻ることにした。
鹿島基地に戻ってから、獄卒たちに明日も休日出勤で9:00集合と話したら、なんだかよくわからんが喜んでいた。
そんな獄卒たちに
「休日出勤なのに何で喜んでいるんだ?」
と聞いたら、
「休みと言われてもやることもないし体を動かして俺の役に立つのが嬉しい。」
なんて、ワーカホリックな連中だと思ったのだが、気になったので、一応聞いてみた。
「休みなしで俺の役に立ちたいというのは、お前たちだけなのか?」
「何を言われるのですか。我々眷属の全ては、鬼神王たるあなたの為に働くことが、無常の喜びなのです。」
と言い出す始末。
「俺は、ゆっくりと休みながらが、好きだぞ。」
と言ったら
「あなた様こそ、休みなしでずーーと働きっぱなしじゃないですか。」
と返されてしまった。良く考えたら一体いつ休んだのか、思い出せない程、ブラックだったことに驚いた。
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