第82話 ◇準備完了◇ 01/10
◇準備完了◇ 01/10
さてさて新しい朝が来ましたよ。
朝風呂に入って髪を乾かしてから歯を磨いていたら面倒になったので、執務室に【瞬間移動】したら、秘書官に顔を出して食堂に行くと伝えてから廊下を歩いて食堂に向かった。
今朝は、トースト2枚、スクランブルエッグにウインナソーセージにコーヒーを頼んで食べていたら、匠君たち6人組が、朝食を食べにやって来た。
「おはよう。みんな。」
「「「「「「おはようございます。」」」」」」
「みんなは、この後どうするんだい。」
「俺たち、黒咲さんの所で正式採用されることになったんで、この後は1層の資材管理所に行きます。」
「そうか。よかったな。頑張ってくれよ。俺も午後に顔を出すことになっているから、またな。」
と食べ終わった食器類を下げてから秘書官室に戻ることにした。
「秘書官。今日の午前中は、地上に出て偵察と物品回収してくるから何かあったら【念話】をくれ。」
と頼んで、執務室に戻り、いつもの装備に取り換えてから地上に【瞬間移動】することにした。
黒ちゃんから指輪を頼まれちゃったから、その辺中心に探すことにしよう。
思いつくのは、銀座にあった大小様々な宝飾店なので、チャンスセンターだったところを目指すことにした。
転移してみると、この辺もかなり破壊された跡があるが、不思議なのは俺が探そうと思っていた宝飾店が、酷く破壊されて場所によっては、火がつけられている事だった。
割られてしまった入口の巨大なショーウィンドウ越しに店内を見てみてもショーケースが割られて中身が、全て持ち去られたような形跡がある。
どうやら、地上に残った人間が略奪行為を行ったらしい。そう言えば、地上に残したのは、瘴気を発する人間たちだけだから、自分の命よりも、欲にかられた浅ましい人間が、略奪行為に走ったのだろう。
不思議なのは、自分だけは、大丈夫と思い込んで、犯罪に走ってしまう神経が分からない。きっと瘴気のせいなんだろう。
とは言っても、黒ちゃんとの約束を果たさないとだから、どの店も確認すると奥に貴金属を保管する金庫があったので、【金属変成】で扉を変形させて中を確認しながら中身を【無限蔵】に収めて回っていると、5件目に入った店の金庫から出ようとすると、瘴気まみれの5人が、警官の制服で拳銃を構えて待ち構えていた。
「おい。お前。今、金庫の中から出て来ただろう。中に有った物を俺たちに渡せ。」
なんだか、面白いことになって来た。この辺にも生きている人間が居たんだ。貴金属なんて腹の足しにもならないのに、何でこんなものに執着するんかね。本当に理解に苦しむ。
「金庫の中には、何も無かったぞ。いくらマッポの成れの果てといえども、自分の目で確かめてみたらどうなんだ。」
「嘘をつくな。お前がこの辺の貴金属店に出入りしているのをずっと監視していたんだ。それに、この店の金庫は、災害があってから一度もあけられていないのは、分かっているんだ。何も無かったなんて言い訳が通るとでも思っているのか。」
はい。はい。見られていたのは、分かっていましたともさ。
「そうは言ってもなぁ。見ての通り俺は、手ぶらで何も持っていないだろう。」
「うっ。そう言えば。そこのお前は動くなよ。動いたら撃つ。分かったな。お前、金庫の中を確認してこい。」
「はい。・・・・・・・・・・・・・・・神代さん。本当に何も残っていません。」
「そんなはずはない。もっとしっかりと確認してみろ。」
「そんなこと言っても、本当に何もありません。」
そりゃそうだろ、金狐の中身は、俺がすべて頂いたんだからな。
「ほらな、嘘はついてないだろう。俺が来た時には、何も無かったんだから」
「昨日、見回りに来た時には、金庫の扉は閉まっていたんだ。それが何で壊れて出入りできるようになってるんだ。」
「そんなこと言われても、今日というか、さっき初めてこの店に来た俺が、知る訳ないだろう。それにこんな扉を壊すなら相当大きな音がするはずだろう。」
「それもそうだな。それにしてもお前、ずいぶん身綺麗で、良さそうな装備を持ってるじゃないか。貴金属は諦めるとして行きがけの駄賃としてお前の持っている者を身包み頂こうじゃないか。全部外して置いていけ。」
「そうは言われても、これは俺専用の装備なんで、ゴミになんか渡しても宝の持ち腐れになるだけだから、断る。」
「なんだと、ゴミとは俺たちの事か。」
「他にゴミがどこに居るというんだ。本当に頭が悪い奴らだ。」
と、どんどん煽りを入れてやる。
「腹の足しにもならない貴金属や武器を集める前に、やることがあるんじゃないのか。そんなヒョロヒョロな奴らに言われても何とも思わないぞ。」
そうなんです、現れた5人は瘴気まみれで痩せこけていて、ふらふらとしてまともに立っていることもできないような状態だったのです。
「舐めるんじゃない。俺たちは、日比谷ギルドに所属してるんだぞ。一声かければ、すぐに50や100は集まるんだぞ。」
本当に面倒くさい。けど日比谷ギルドとは、なんだ?
「おい、お前。神代とか言ったか。」
「そうだ。俺が神代だ。」
「ここに居る5人のリーダーか?」
「俺が、この神代班のリーダーだ。何か文句あるか。」
「文句なんかないんだがな。さっき言っていた日比谷ギルドって何なんだ?」
「日比谷ギルドも知らないのか。どうりで間抜けた奴なわけだ。日比谷ギルドとは、日比谷公園周辺の企業で、役員や管理職をしていた優秀な人間や警視庁の幹部が、集まってできた集合体だ。今は、こんな状態だが、使えない奴らを使って公園内で、作物を作っているからもう少ししたら収穫して、腹いっぱい食べられるんだ。」
「そうか。分かったよ。ありがとう。やっぱり屑の集まりだったか。あばよ。」
俺たちの間の天井を破壊してガレキを落として注意を引いたタイミングで、【瞬間移動】で日比谷公園が見える法務省の屋上に転移した。
かつては、綺麗に整備されていた日比谷公園が見る影も無く樹木が伐採されて田畑に変わっているではないか。
よく見ると、働いている人間と働いていない人間に分かれているのが分かった。
働いていない人間からは、悉く瘴気が漏れ出していて、働いてい人間は、老若男女問わずまともな人たちだった。
そんな状態を屋上から確認していると後ろから誰何する声が聞こえた。
「おい!!お前。どこのもんだ。」
振り向くとショットガンを構えて瘴気まみれの警察官の制服を着た奴が、ペアで立っていた。ここにもマッポの成れの果てが居ましたか。
「誰だと言われても、個人情報なんで、言いたくないんですが。」
「ふざけているのか。こんな状態になって個人情報なんて守られるわけがないだろう。さっさと所属と氏名を名乗らんか。」
「所属は、煮貝幹事長の知り合い?で、正義の味方所属。名前はまだない。」
すこし、ふざけてみた。
「煮貝幹事長だとぉー。ふざけるな。だったら今すぐ永田町の地下施設に連れて行って面通ししても良いんだぞ。」
「良いですよ。私も久しぶりに煮貝さんの顔を見てみたくなりました。連れて行ってください。」
まだ生きていたんだね。本当にシブトイよな。
「え!おう。そういうなら連れて行ってやろうじゃないか。(先輩、本当に煮貝幹事長の知り合いだったら不味くないですか。そうだな。)」
「何をこそこそ話してるんですかー」
なんて、丸聞こえだけどね。
「いや、お前が煮貝幹事長の知り合いなら、何も言うことは無いんだ。何かの極秘指令を受けているんだろうからな。我々はこれで失礼する。」
と言って去って行ったよ。
上を見て指示されることを待っている奴らって本当に役に立たないよね。
どれどれ、邪魔者も消えたことだしもう少し観察してみましょうか。
【真眼】で確認するとまともな人は、今働いている?働かされている?人たち20人程だという事が、確認できたので、久々に【思念伝達】を使って20人に語り掛けた。
(日比谷公園で働かされている人に伝えます。今の状況に不満がある人は、耕している第二花壇の中央部に集まって手を繋いでください。助けに行きます。今のままで良いという方は、そのまま作業を続けてください。)
と【思念伝達】したら、全員が中央部に集まって手を繋いだんだ。
「お前たち!!サボってないでさっさと畑を耕さないか!!痛い目に遭いたいのか!!」
と警察官の服を着て怒鳴っている奴らが現れた。
よっぽど、酷い目に合っていたのか、つないだ手を放して作業に戻ろうという様子が見えたので、慌てて【瞬間移動】してみんなの体に触れて鹿島基地の病院前に【鬼動】で、連れ帰った。忘れ人は居なかった。
なんだ。何が起きたんだ。と慌てふためていている人たちに向けて
「みなさん。大変でしたね。ここは安全な避難所です。これから皆さんには、この病院に入院してもらって健康診断を受けてもらいます。その後については、順次案内がありますので、今は疲れをいやして体力の回復に専念してください。」
「本当にここは安全なのですか?」
「周りを見てください。ここは安全です。心配いりませんから後についてきてください。」
と病院の受付に行くといつものように
「若森病院長に電話を繋いでいただけますか。」
と頼んで、電話がつながるのを待った。
「若森病院長です。どうぞ」
受付の方から受話器を受取ると
「若森さん。すみません20人程地上から連れ戻ったので、健康診断をお願いできますか。今、受付の所に居ます。」
「わかりました。すぐに手配します。それから、富士山から来た人たちの結果が出ていますが、聞かれますか?」
「何か問題があった人は居ましたか?」
「いえ。幸いなことに皆さん健康でした。」
「それだけ聞ければ、満足です。それでは、後のことをお願いしてもよろしいでしょうか。」
「わかりました。受付の娘に替わってもらえますか。」
「若森病院長からお話があるそうです。」
「はい。はい。わかりました。手配します。」
「若森病院長から皆さんの受付と診察準備をするよう指示されましたので、後のことはお任せください。」
「ありがとう。よろしくおねがいします。
皆さーん。これから健康診断の手続きに入りますので、この女性の指示に従って行動してください。」
「「「「「ありがとうございました。」」」」」
そろそろ昼になるから黒ちゃんの所に【瞬間移動】で転移した。
「邪魔するぜ。」
「なに、ふざけてるんですか。それに一体誰の真似してるんですか?」
「ちょっと、顔貸してもらおうか。」
「ちょっと、忙しいんですからいい加減にしてもらえませんか。」
「地上から物を回収してきた。」
「そ!それって!」
「約束の物だ。」
「行きます。行きます。よろこんで。」
「人気のないところに行こうか。」
と言って、普段黒ちゃんが居る場所の奥に12帖位で、屋根付きの四角い部屋を【金属変成】で、作り上げてから、二人で中に入った。
屋根は、ミラーコーティングにしたので、外光が入って明るくなっている。
「悪いけど、店に合ったものを適当に持ってきたから整理も何もできていないから、西原さんに渡したいと思う指輪を自分で、山から探してくれ。サイズとかは、約束通り俺が調整するから指輪が決まったら言ってくれ。」
と言いながら、指輪、ネックレス、ブレスレット・アンクレット、原石、裸石、それ以外と取り出していった。
我ながら、かなりの量を集めてきたので、整理が大変だと思うが、黒ちゃんに丸投げだ。インゴットはそのまま【無限蔵】に残してある。
「早矢仕さん。本当に好きなの選んで良いんですか。」
「西原さんに渡したいと思う物を選びな。但し、欲張るんじゃないぞ。瘴気厳禁だからな。それじゃ、本命の監視カメラセット貰おうかな。」
「そうですね。表に出ましょう。」
二人で表に出てから金属製のスライド式自動ドアを作って【隔離結界(絶)】と霊素をキーとして登録した。
「ここの部屋に出入りするためのキーとして黒ちゃんの持つ霊素をキーとして登録した。今の所出入りできるのは、俺と黒ちゃんだけだ。扉を開けると5秒で閉じるから挟まれないように気を付けろよ。」
「はい。これがWiFi利用の監視カメラ2台と監視用パソコンにWiFi中継器も2台です。監視カメラは、バッテリーで300時間、中継器は250時間、パソコンが、予備バッテリーを使って12時間使えます。それぞれのバッテリー切れに注意してくださいね。それぞれのスイッチは、ここと、ここです。
利用方法は、それぞれの電源を入れてあれば、後はパソコンのデスクトップにあるこのアイコンをクリックすれば、監視カメラの画像が表示されるので、誰でも簡単に使えます。」
「パソコンは、HQ業務開始からで良いから12時間もあれば、十分だ。中継器が250時間という事は、約10日という事か。それくらいなら問題ないだろう。ありがとう。
そう言えば、子供たちを雇ってくれたんだって。」
「あの子たちは、在庫整理なんてつまらない事でも大人顔負けで、本当に一生懸命頑張ってくれるんですよ。本当に助かってます。」
「今後とも、子供たちの事頼んだぞ。」
「任せてください。」
「それじゃ、早速設置してくるよ。」
用意してもらった監視カメラセットを【無限蔵】に収納してからHQルームに【瞬間移動】して来た。
【無限蔵】に入っていた机と椅子を取り出して、パソコンを設置したので、南側にある階段の39階と40階の踊り場に【瞬間移動】でやって来た。
ここから39階から階段を昇って来ようとするものを監視できる位置の壁面に監視カメラを【土石変成】で、固定して電源を入れた。
北側の階段でも同じように39階と40階の踊り場の壁面に監視カメラを【土石変成】で、固定して電源を入れた。
後は、中継器の設置だが、49階南北の非常扉を取り外してそこの天井に【土石変成】で、固定して電源を入れた。
これで、パソコンに画像が届いているはずだ。
HQルームに【瞬間移動】で戻り、パソコンの電源を入れてデスクトップのアイコンをクリックするとそこには、南北の監視カメラ画像が表示されていた。パソコンの電源を落として念のため玄関を点検してみるが、特に変化はなかった。これで、一安心だ。
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