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鬼神王覚醒  作者: 森豆太郎
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第76話 ◇偵察完了◇ 01/08

◇偵察完了◇ 01/08


 富士山深層部の避難所に居た91名と偵察部隊の5人で、無事に鹿島基地2層のエレベーターホールに帰って来た。


 帰ってくる方法については、緑川さんとひと悶着があった。


 「それじゃ、鹿島基地への[転移カード]を作るから、それを皆で配って使い方を説明してくれ。」


 「司令。待ってください。[転移カード]で戻るのは良しとしても、無条件で鹿島基地1層と2層に立ち入らせるべきではありません。もしかしたら、この89人の中に奴らのスパイが、混じっているかもしれません。

 ここは、鹿島基地2層それもエレベーターホールにしか行けない限定を付けて、基地に着いたらそのまま病院で、健康観察と言う名目で隔離・監視対象とするべきです。」


 「瑠璃子。そこまで昔の仲間を疑う必要はないんじゃないか。」


 「兄さんは、本当に甘いですね。あの”大災厄”で自分の命に危険が迫って、甘い言葉で惑わされたら転ばない者などいませんよ。」


 「そ。そんな。瑠璃子。」


 「鹿島基地や他の避難所が、今も安全でいられるのは、司令が苦労して準備を怠らなかったからです。”大災厄”から生き残って避難所で、暮らしている人たちを、安易な仲間意識で、危険な目に合わせるわけにはいかないんです。」


 他の二人は・・・・我関せずと刀と小銃の点検をしている。


 「まあ、まあ、二人とも。昔からの仲間を信じたい気持ちと、安全な避難所を危険にさらしたくないというどちらの気持ちも正しいと俺は思う。

 そこで、相談なんだが、二人もこの眼鏡をかけてみて欲しい。」


 と【無限蔵】から取り出した感知眼鏡を手渡した。

 二人とも今更何で?という顔をしていたので、理由を説明することにした。


 「この眼鏡は、瘴気が見えない人間にも瘴気が見えるように【属性付与】して改造した眼鏡だが、体から湧き出す瘴気も見ることが出来るようになっているので、ここに居る人たちを見て欲しいんだ。

 わかるか?ここには瘴気が湧き出している者が一人だけいる。」


 「そ!!そんな馬鹿な!!」


 「え!!まさか、おじさまが・・・・」


 そうなんだよ。ここに入った時に入口近くに居て二人の知り合いだったエルフの新倉(あらくら)さんから瘴気が湧き出しているんだ。


 「残念だが、ここの避難所を見て回った時に一通り確認したが、あの人以外に瘴気が出ている人は居なかったんだ。二人はどうしたい?」


 「え!!おじさまが、なんで。何かの間違いじゃ・・・・ないんですよね。」


 「俺が聞いてくる。」


 「待ってください。私も一緒に行きます。」


 「何があるか分からないから、お前はここで待っていろ。」


 「私も行きます。」


 「今回ばかりは、本当に何があるか分からないんだ。頼むからここに居てくれ。」


 「嫌です!!」


 これじゃ何時までたっても帰れないから助け船を出すことにした。


 「それじゃぁこうしましょう。新倉さんとの話は、真司さんが行って、瑠璃子さんには、私が付いて必ず守りますから三人で話を聞きに行きましょう。」


 「それはそれで、気に入らないところもあるが、瑠璃子が言い出したら聞かないのもわかっているので、それしかないでしょう。お願いします。」


 という事で、三人で新倉さんの所に向かうことになったのだが、緑川さんの顔が赤くなっているのは、なぜだろう。


 「新倉さん。ちょっと良いですか。」


 「おう、真司君じゃないか。なんだその眼鏡は?。逃げる準備は出来たのか。」


 「正直に言いますね。新倉さんの体から瘴気が出ていますよね。何故ですか?」


 「うっ。なぜ。そんなことがわかるんだ。」


 「この眼鏡のおかげです。」


 「瘴気が出ているという事は、奴らに通じているという事で良いんですか?」


 「まっ。待ってくれ。それは・・・・・・・話そう。

 この避難所の中は、一通り見たよな。」


 「「見ました。」」


 「俺の妻と子供を見たか?」


 「まさか!!」


 「二人は奴らに人質として取られて、こっちの情報を渡すよう脅されているんだ。だって、しょうがないだろう。」


 「新倉さん。お話し中にすみません。私たちがここに来たことは、奴らに伝わってますか?」


 「さっき、使いを出した。」


 「そうですか。確認ですが、新倉さんは、奴らにつきたいんですか?」


 「そんな事がある訳ないだろう。俺はエルフだ。妻と子さえ戻ってくれば、こんなことをするわけないだろう。」


 「そうだ。早矢仕さん。新倉さんは、昔から本当に正義感が強い方で、俺たち兄妹のことも娘さんと一緒に厳しく教え導いてくれていたんだ。今でも信じられないくらいだ。」


 「新倉さんに確認です。妻子が戻れば裏切ったりしませんか?」


 「俺の命より大事な詩織と華菜が、無事でいてくれさえすれば、何でもする。」


 「新倉さんは、お二人が監禁されて居る場所に行ったことはありますか?」


 「一度だけ、面会で合わせてもらったことがあるから、場所は分かる。二人を助けに行ってくれるのか!?」


 「再確認です。この富士山深淵部に残っているのは、何人ですか?」


 「正直に言う。ここに居る89名に詩織と華菜を合わせた91名だけで、後の者は、皆殺しされて残っていない。」


 「わかりました。お二人を助けに行きましょう。

 推金さん。一緒に来てもらえますか。」


 「了解。」


 「それじゃ新倉さん。二人が監禁されていた場所を具体的に思い出してもらえますか。」


 「わかった。・・・・・」


 新倉さんが思い出している場所を【思考分析】で、認識した。


 「それじゃ、助けに行きましょう。新倉さんと推金さんは、私の体に触れていてくださいよ。」


 二人が両肩に手をかけたのを確認して先ほど認識した二人の監禁場所に【鬼動】で転移した。


 「きゃぁっ!!」


 「シーーーー。」


 「アウ。アウ。アウ。」


 と口を手で押さえている二人に抱きつく新倉さん


 「お静かに。助けに来ました。推金さんは、表の様子を確認してください。お三人は色々と話したいこともあるでしょうが、即時撤退するので、私の体に触れていてください。」


 「推金さん。表の様子は?」


 「問題ない。」


 「それでは、戻りますから推金さんも私の体に触れてください。」


 全員が触れ合ったことを確認し、【鬼動】でさっきまで居た避難所に戻って来た。


 「華菜ぁー!!」


 「瑠璃子が、何でここに居るの?」


 「助けに来たんだよぉ」


 「ここから出られるの?」


 「そうだよ。ここから安全な所に逃げるんだよ。」


 「母さん。良かったね。」


 「本当に良かった。父さんいつまで抱きついてるんですか!!恥ずかしいでしょ。」


 「二人も無事に戻って来たことですし、91名の皆さんを私の避難所にご招待します。」


 新倉さんの瘴気ですか?二人が戻って来たので、消えましたから安心です。


 「緑川兄妹もこれで、全員を連れて鹿島基地へ戻るという事で良いですね。」


 「「はい。」」


 そうと決まれば、[転移カード]の量産開始だ。転移先は、鹿島基地2層エレベータホール限定で1枚作れば、残りは、倍々コピーで、1枚が2枚、2枚が4枚、4枚が8枚、8枚が16枚、16枚が32枚、32枚が64枚、64枚が128枚は、作り過ぎなんで、もう一度16枚が32枚で、96枚で量産完了だ。


 「これが、新倉さんご家族用の[転移カード]です。現地到着後カードは、回収しますからそれまで、無くさないでくださいね。この後、使い方などを全員に説明しますから、待っていてください。」


 「それじゃ、みんなでここに居る人たちにカードを渡して、こっちに集まるよう伝えてくれ。」


 「私も手伝います。」


 と華菜ちゃんだっけ。良い娘じゃないか。


 「私たちも華菜に負けてられませんよ。」


 と詩織さんと新倉さんも手伝ってくれることになった。

 避難所の人たちは、先ほど怪我人たちを元気にしたこともあって、カードを受取ると素直に集まってきてくれた。


 「みなさーん。手元にカードは届いてますか?貰っていない人は居ませんね。」


 「緑川兄妹は、先に戻って、お兄さんは、エレベータホールに到着した人からカードの回収。瑠璃子さんは、病院に入院できるよう手配をお願いします。」


 「「了解しました。」」


 というと、先に[転移カード]で戻って行った。

 後は、二人が準備出来るようにゆっくりと説明していくだけだ。


 「皆さんに説明しますので、よく聞いて理解してください。

 地上は、年末の”大災厄”で、魑魅魍魎共に占領され壊滅状態なので、皆さんには、これから私の作った基地に転移したのちに、病院で健康診断を受けていただきます。

 健康に問題がないと確認出来次第、順次、退院していただきご希望に合わせて避難所生活を始めてもらいます。

 詳細については、退院時に係りの者から説明があります。

 ここに来ているのは、私を始めとして地上奪還の為に戦う事を決意した魑魅魍魎殲滅軍の隊員です。絶賛隊員募集中ですので、御一考ください。

 それでは、このカードの使い方をご説明します。

 カードを持って、霊素を通して”転移”と念じると、転移できます。

 カードの行き先は、基地のエレベーターホールになっており、そこには緑川 真司さんが、待っていますので、カードを返して病院に向かってください。

 病院には、緑川 瑠璃子さんが待っていますので、粛々と入院手続きを行って病室で、寛いで待機していてください。

 ここまでの説明で、何か質問はありますか?」


 「子供には、無理だと思います。」


 「そうですね。転移の操作が難しい場合は、私が連れて行きますので、ご安心ください。他に?」


 「ここにある荷物は、どうなりますか?」


 「紛失しても我々は、一切関知しませんので、貴重品は、各自で肌身離さず管理してください。

 そのほかの物品に関しては、私が一切合切回収しますので、必要な物があれば、後日、返還手続きを行ってください。

 共有物は、個人への返還は、行いません。他に?」


 ・・・・・・・・・・・・・・」


 「無いようなので、転移の準備が終わった方から、順次基地に向かってください。」


 櫛の歯が抜けるように転移していく人が居る中、子供と親たちが俺の周りに集まって来た。

 集まったのは、乳飲み子を抱いた母子が1組と幼稚園児位の子供と手を繋いだ両親が3組だった。


 「下山さんと推金さん。ご苦労様でした。基地に戻って16:30に幹部会議室へ集合。緑川兄妹にも伝えてください。

 それでは、皆さんを基地へお連れしますので、私の体に触れて繋がってください。」


 残った全員が、繋がったことを確認しエレベーターホールに【鬼動】で移動した。


 「皆さん。到着です。後は緑川君の指示に従ってください。」


 と言って、俺は富士山の避難所に戻って、残っている物品を一切合切【無限蔵】に回収してから、執務室に戻って若森病院長に電話を架けた。


 「若森さん。富士山に残っていた人たちを連れ帰って来たので、健康診断をお願いします。」

 

 「こんな事を言ったら怒られてしまうかもしれないが、久々の患者さんだからしっかりと検査をさせていただきますよ。」


 「よろしくお願いします。退院したら指揮所にある殲滅軍かインフラ事業の受付事務所どちらかに顔を出して住居と仕事を斡旋してもらうよう説明してもらえると助かります。」


 「そのくらいお安い御用です。それではまた。」


 そんな話をしていると16:30になったらので、幹部会議室への扉を開けると塙田副指令と下山さん、推金さん、緑川兄妹が揃っていた。


 「それでは、本日の富士山偵察について報告会を行う。」

この小説を見つけ出して読んでいただけた皆様、ありがとうございます。

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