第74話 ◇偵察開始(2)◇ 01/08
◇偵察開始(2)◇ 01/08
樹海の進むので緑川さんの体力が心配だったのだが、エルフだけあって逆に体力が漲っているようで、スイスイと進んでいく。
迷う事も無く15分ほどで、無事に大室洞穴に到着した。
ここから先は、エルフの二人に道案内で先導してもらうことにする。
「緑川君、ここから富士山深部までは、どのくらいかかるんだ?」
「距離でいえば、11km程ですが、整備してありますから2時間ちょっとで着くと思います。」
と言って暗い洞穴に入って行っくと突き当りになった。
緑川兄妹が左右に分かれて、ザラザラした岩肌を探っていると、目的の場所を見つけたようで、それぞれが、霊素を通すとひと一人が、やっと通れる隙間が現れた。
「早く通ってください。この隙間は1分で元に戻ってしまいます。」
と言われたので、残りの3人で慌てて通り抜けると、1分経った頃に隙間が無くなった。
通り抜けた先は、先ほどまでの溶岩でごつごつした地面と打って変わり、平坦に処理されて歩きやすくなっていた。
「この通路は、鬼神の【隔離結界】により守られているので、奴らが使えないので、安全に富士山深部へ行けます。早く行きましょう。」
「はやる気持ちは分かるが、冷静沈着で行動し、事を起こす時こそ疾風迅雷で行動するんだ。富士山深部に着いた時に、素早く行動できるよう30分程度で1回休憩を入れていく。」
途中、何事も無く進み最後の休憩を取り終えて避難用通路の反対側に到着した。
ここも入口と同じようにザラザラとした岩肌になっており、兄妹が左右に分かれて霊素を通すと、ひと一人が、やっと通れる隙間が現れたので、向こう側を偵察することにした。
壁の手前から【瘴気感知】を使ってみたが、向こう側に瘴気が充満しているためか、ぼんやりとしたイメージしか受け取れなかったため、向こう側の瘴気が薄れた時に、隙間を開けてもらって偵察したのだ。
顔を出してみるとそこは、どん詰まりらしく洞穴が先に続いていた。1分になろうとしたので、【瘴気感知】を使てみたが、この先に奴らの気配は感じられなかったので、通路の方に戻って打ち合わせをした。
「この先に奴らの気配はなかったが、どんな構造になっている?」
「この先は、5m程洞穴が続いて富士山深部で私たちが、暮らしていたエリアに繋がっています。本来なら奴らが入ることが出来ないエリアだったんですが、”大災厄”で奴らが侵入してきました。
恐らく、この先の居住エリアに仲間は残っていないでしょう。避難所は、こことは反対側に設置されていました。脱出できる者はこの避難路を使って地上に逃げて、逃げられない者が避難所に逃げ込むことになっていましたので、この先の居住エリアを突っ切って反対側まで行く必要があります。」
「わかった。避難所への出入りはどうなっている?」
「避難所の出入りは、ここと同じように左右の2か所に霊素を通すと出入口が、現れます。霊素を通し続ければ、出入口も維持できます。」
「そうか。ちょっと待っていてくれ。」
と言って【瞬間移動】を試したが、出来なかった。【瞬間移動】系の能力を持った魑魅魍魎が居るので、【隔離結界(絶)】があるのだろう。面倒なことになった。
同じ鬼神の施したものだから解除は、可能だが・・・・どうしたものか。
「皆に相談がある。この富士山深層部には、【瞬間移動】系の能力を無効化する【隔離結界(絶)】が、施されているので、俺の【異能】も[転移カード]も使えないことが分かった。
恐らくは、限定的な結界だったので、残っているのだと思うが、解除には時間がかかる。
現状のまま避難所まで行くか、時間をかけて【隔離結界(絶)】を解除してから避難所に行くのが良いのか意見を聞きたい。」
「どう考えても【瞬間移動】系の能力が使えないのでは、危険だし、避難所に逃げ込んだ人を助けるためにも【瞬間移動】系の能力で、脱出した方が、安全だと思います。ケガ人や動かせない人が居るかもしれません。」
「ちょっと待ってください。避難所が奴らに攻撃されていたりしたら一刻も早く助け出さないと・・・」
下山さんと緑川さんの意見が割れたので、多数決を取った。
【隔離結界(絶)】を解除が4名で、避難所直行が1名だった。
「緑川さん。貴方の気持ちも理解できるが、ここは避難所に居る人たちを助け出すことも考えて時間をください。」
「わかりたくありませんが、分かりました。」
「それでは、【隔離結界(絶)】を解除しますので、皆さんは休憩していてください。」
鬼神王に覚醒した時に【隔離結界(絶)】に関する知識も受取っていたが、経験もなしに知識を実践すると失敗する可能性もあるので、ここは慎重に解除を進めることにした。自分の張った【結界】なら簡単に解除できるのに、他人の張った【結界】の解除が、なんと面倒な事だろうか。
【結界】の目的は、同じであっても、人により手法に違いが出てくるので、そこの解析から始めないと解除が出来ない。
・結界の範囲⇒深淵部まで含めた富士山全体
・結界の効果⇒【瞬間移動】系の能力阻止
・結界の最小密度⇒1平方cm
・結界の維持方法⇒龍脈から取込み
・結界の属性⇒地、聖、闇、重力、時の5属性
1時間ほど結界を解析した結果、5つの条件が判明した。
後は、並べ順を探し出すのだが、解除の術式で総当たりしていくしかない。
ここでも1時間ほどかかり解除の順番が、維持方法⇒最小密度⇒属性⇒効果⇒範囲で解除できることが判明した。
範囲⇒効果⇒属性⇒最小密度⇒維持方法の順番で作られた【隔離結界(絶)】だったのだ。
流石に、奴らが鈍くても【隔離結界(絶)】がいきなりなくなったら気がついて騒ぎ出すと思うので、先に昼食を食べることにして、おばちゃん特製弁当をみんなに配った。
少しでも早く食べ終わって出ていきたいと焦っている約1名が、詰め込み過ぎて喉に詰まらせたようだが、水筒を持ってこなかったようで、苦しんでいるので、顔の前に一口分くらいの水球を出してやったら、慌てて飲もうとして唇を尖がらせている姿が、面白過ぎて笑っていたら睨まれてしまった。助けたはずなのに何でだ?
推金さんが、物欲しそうな顔でこちらを見ているので、
「推金さんも水飲みますか?」
と聞いてあげたら
「一応、飲ませてもらっても良いだろうか。」
と言うので、推金さんの顔の前に水球を出してあげたら、割り箸を水球に刺して?口へ運んでいた。
え?と思ったので、俺も水球を出して割り箸を刺して動かそうとしてみたが、水球が切れるだけだった。
「推金さん。さっき水球に割り箸刺して動かしてたのは、どうやったの?」
と聞いてみた。
「割り箸に気を通して動くかもと思って試したら出来た。」
というので、割り箸に霊素を纏わせて水球に刺して動かしたら、動かすことが出来るようになった。これはこれで面白い。
「それでは、食事も終わったようなので、深淵部に侵入して偵察と避難所の確認を行う。」
と行動開始を宣言した。
・隔離結界(絶):霊素を元に周囲と隔絶した空間を作り出す。霊素や瘴気を利用した【異能】などの能力を使えなくする結界
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