第65話 ◇地上偵察と保護活動◇ 01/05
本日、2021年10月7日 22時41分頃、千葉県北西部を震源地とする最大震度:5強の地震がありました。
久々の緊急地震速報と強い揺れに驚きました。皆様が無事に過ごされていることをお祈りしております。
◇地上偵察と保護活動◇ 01/05
緑川さんの武器も決まったし、少しだけ地上の様子を見に行くことにした。
「あと少しで夜になるから今日の所は、引き続き地上に残っている資材の回収だけになるけど良いよね。」
「はい。地上の様子を見たかっただけなので十分です。」
「それじゃ、都心から離れて埼玉県の戸田にある大型ディスカウントスーパーにでも行ってみるか。あそこなら17号バイパスの反対側に家電量販店もあったから両方回ってみよう。手を貸して。」
と言って緑川さんと手を繋いで目的地まで【鬼動】で移動した。
「これから建屋に入るけど、魑魅魍魎だけじゃなく人間にも十分注意してくれ。【瘴気感知】は出来るか?」
「すみません。エルフは【瘴気感知】が出来ません。」
「それなら、これを掛けていてくれ。安物だが瘴気が見えるように安全眼鏡に【属性付与】したものだ。
人間でも瘴気が濃い人間は、危険だから近寄らせるな。」
と注意を与えてから開け放たれた入口から二人で建屋に入って行った。
1階の食料品売場は、かなり荒らされており何も残っていなかった。
電気もついていないので、窓から差し込む光が唯一の光源なので、【瘴気感知】と【真眼】に【思考分析】を重ね掛けして建屋内の気配を探ったところ、危険はなさそうだが、2階に人の気配がしたので、階段を昇って行った。
「2階は日用雑貨や家電などが売られていたはずだから、何か残っているかもしれないからブレスレットに入りそうなら回収してみてくれ。俺は気になるところがあるので、そちらを見てくる。」
「はい。わかりました。ブレスレットが一杯になったらどうしますか?」
「一杯になったら俺の方に移し替えるから呼んでくれ。一応2階に危険な気配はないが、油断せずに行動してくれ。」
「はい。行ってきます。」
俺はと言うと階段の先にある多目的トイレに人の気配があるので、確認しに来たのだが、鍵がかかっていて中に入ることは出来ない。
「コンコン、誰かいますか?」
何も反応は、ないのだが、瘴気の気配もせず一人ではなく数名が息を潜めている気配がする。
【瘴気感知】に反応したら無視していくのだが、助けられるなら助けても良いだろう。
「避難所から来ました。この中に居る人でクリスマスに避難所に逃げろという声が聞こえた人が居たら連れて行くので、出てきてください。」
と声を掛けたら中で、人が言い争い始めたので、ドアに耳を付けて聞いてみると
「避難所から助けが来たから早く出て助けてもらおうよ。」
「待てって、本当に避難所から来たのか怪しいし。前に来た大人に騙されて食料を取り上げられて、殴られたのを忘れたのか。」
「そんなこと言っても、何日も食べてないからもう動けないよ。」
「大人は、信用しないって決めたでしょ。」
どうやら中に居るのは、子供たちで、大人に騙されてひどい目に遭ったようだ。
「中に居るお前たち。今エルフのお姉さんを呼んでくるから待っていろ。」
「「「エルフ!?」」」
「嘘だー。エルフなんて居る訳ないじゃん。」
「ちょっと待ってろ。緑川さーん。ちょっとこっちに来てくれ。」
向こうから明かりが近づいてくる。
「懐中電灯と電池を見つけたんで助かりました。何かありましたか?」
「この中に子供が籠城しているんだが、大人に騙されてひどい目に遭ったようで出てきてくれないんだ。緑川さんからも出てくるように話してもらえないだろうか。」
「わかりました。中に居る子たち聞こえていますか?」
「聞こえてるよ。あんたがエルフの人なのか?」
「そうです。私は、エルフの緑川瑠璃子と言います。今日は避難所から資材を回収するためにここに来ています。良かったら一緒に帰りませんか。」
中から
「どうする。」
「でも」
「だって」
「顔だけでも見ようよ。」
等と言っていたと思ったら”カチャ”と鍵が開く音がして男の子が顔を出した。
「こんにちは。こんなところで随分と頑張っていたのね。出てきても大丈夫よ。」
と緑川さんが声を掛けたら中から6人の子供が出てきたので、
「お腹空いてないか」
と声を掛けたら
「もう2日も何も食べてないから、動けなーい。」
と返って来たので、
「緑川さん、今日はこの辺にして避難所に帰ろうか。」
「そうですね。このまま放っておくわけにもいかないですから、帰りましょうか。」
そんな話をしていると下で人の気配がしたと思ったら、階段を駆け上がって来た瘴気まみれの男たちがいた。
「おい小僧ども。この前みたいに隠している食料があるんだろ。さっさと出しやがれ。さもないとまた痛い目に合わせるぞ。」
どうやら、子供たちの確保していた食料を奪った奴らが来てしまったようだ。
「子供から食料を恵んでもらおうなんて本当に情けない奴らだな。」
と言ってやるとこちらに気が付いたようだ。
「おまえは誰だ。こいつらの食糧は俺らのもんだ。さっさと出て行け。」
とバットや鉄パイプの先を尖らせた槍のようなものを構えて威嚇してきやがったので、頭に来たからホルスターからH&Kを抜いて奴らの足元に”パン”と撃ち込んでやったら跳弾が天井を打ち抜いていた。
「ヒィ。こいつら拳銃を持ってるぞ。気を付けろ。」
「気を付けたって拳銃の弾は避けられないぞ。どうする。尻尾を巻いて逃げかえっても良いぞ。」
「しゃらくせえ。お前らやっちまえ。」
と部下らしい奴らをけしかけてきたリーダーらしき奴の眉間に1発撃ち込んで黙らせた。
「残ったお前らも同じ目に遭いたいなら、まだまだ弾に余裕はあるから一発ずつお見舞いしようか。」
と言ったら腰砕けになって後ずさりし始めたので、
「逃げかえるならそこのゴミも持って帰れよ。」
と言ってやったらゴミの両足を持って階段を引きずり降ろしながら逃げて行った。
「さてと、ゴミ掃除は終わったから晩飯食いに帰ろうか。」
「俺たちも一緒で良いのか?」
「勿論だ。歓迎する。但し、二日も食べてないなら、消化しやすいおかゆとかになると思うけど・・・
そう言えば、お前らの親はどこに居るんだ?」
「イブの大地震の後に避難所に逃げろとか言う声が聞こえたけど、地震も収まって被害も何も無かったんで、予定通りにクリスマス会をやろうという事になったんで、この6人でパーティーグッズとかの買い出しに来て、表に出て帰ろうとしたら、表に見えた大人の人たちが、血まみれになって死んでいくのが見えたんで、慌てて逃げようとしたら、こいつが転んで怪我して動けなくなってしまったんで、逃げられなくなってしまって、2階に逃げてきたら、階段から1階を見たらそこに居た人たちまで血まみれになって死に始めたんで、怖くなって一番大きな多目的トイレに逃げ込んで、鍵をかけて隠れてたから、親たちのことは何も分からない。」
どうやら怪我をしたのは、弟君のようだ。
「そっか。よく頑張ったな。それじゃ帰るから皆で手を繋いでくれ。」
「そんなこと言ったって、さっきの奴らが表で待ち構えてると思うよ。」
「大丈夫だから、手を繋ぐんだ。」
と言ったら男の子は、緑川さんと女の娘は、俺と手を繋いでくれたので、みんなの手がつながったのを確認してから【鬼動】で、鹿島基地の応接室に移動した。
「なっ、なんだ。ここは。」
「心配するな。ここは避難所ではないが、俺の基地だから安全だから安心しろ。それじゃ、食堂に行くぞ。」
と応接室を出て
「秘書官。こいつらを連れて食堂に行くから何かあれば、連絡くれ。それから京町先生に食堂まで来てもらってくれ。」
と6人を引き連れて廊下を歩いて食堂に連れて行った。
「おばちゃん。子供6人なんだけど、2日ほど何も食べていなかったみたいなんで、消化に良いものを頼めるか。」
「あいよー。だったら、たまご雑炊だね。今作るから待ってな。」
6人をテーブルに座らせて話を聞くことにした。
「それじゃ、それぞれの名前と両親を探してみるから両親の名前、他に兄妹が居るならその名前も教えてくれ。」
「それじゃ、俺から。名前は佐藤 匠14歳で中学2年。兄弟はこの佐藤 悟13歳の中学1年で、両親は佐藤 要と佐藤 千早です。電気屋やってます。」
「次は私が、名前は林 綾香で年齢はこいつと同じで中学2年の14歳です。この娘が妹の林 優梨愛で12歳、小学6年です。両親はサラリーマンとパートで林 琢真、林 里です。」
「最後は私、森 里奈と申します。年齢は16歳で高校1年です。妹は森 真由で中学2年の14歳です。父が森 秀一、森 環奈で、サラリーマンと専業主婦です。」
「それじゃあ、今後のことについて、一つずつ説明しとくね。
まず、ここは地上を取り返すための殲滅軍の基地で、茨城県の鹿島にある。家族が見つかるまでは、ここの隊員宿舎を仮住まいして生活してもらうことになるんだけど、兄弟と姉妹ごとに宿舎を手配することもできるし、心配なら6人で暮らす家を手配することもできるが、どうしようか?
そこは、年長者の里奈ちゃんと匠君でみんなの意見を取りまとめてくれるかい。」
「「はい。」」
「次にご両親の事だけど、ここの他には、札幌、原宿、熱田、伊勢、霧島に避難所があるので、皆の家族は、原宿避難所に居るだろうから、そこから、探すことになる。今は家族探しの専門部署を立ち上げているところだから少し時間がかかると思う。」
「よろしくお願いします。」
「はーい。お待たせ。熱いから気を付けて食べるんだよ。」
と、おばちゃんが、ワゴンでたまご雑炊を運んできてくれた。
「火傷しないように、慌てずゆっくり食べるんだぞ。」
「「「「「「いただきまーす。」」」」」」
「あちっ!水、水、」
「はい、これ。兄ちゃん。熱いって言われたのに慌てて食べようとするからだよ。おばちゃんと早矢刺さんから言われたから、振りだと思ったの?」
「そんな訳あるかぁ!。腹が減り過ぎてたからだよ。」
他の5人が笑顔になった。
恐らくは、匠君がみんなの緊張をほぐすために、わざとやったのだろう。
恥ずかしそうに匠君が、俺の方を見てきたので、ウィンクしてやったら、彼も笑顔になった。
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