第53話 ◇あけましておめでとう◇ 2020/01/01
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◇あけましておめでとう◇ 2020/01/01
今朝も念話、メールの開封通知も何も反応が返ってこない。
博子が来なくなって[ハウス]が、広く空虚に感じる。
鹿島基地の執務室に【瞬間移動】して秘書官室に顔を出した。
「おはよう。何か報連相はあるかな?」
「明けましておめでとうございます。今朝は特に何もありません。」
「おめでとう。今日は午後からつくばの方に出かけて病院施設を持ってくるんで、医療関係者や元患者等の受け入れがあるから、各避難所に入る希望者がいるかもしれないことと、特別高圧施設への電源引入れ技術をもった人材がいたら、鹿島基地で作業して欲しいと連絡を入れておいてくれ。
午前中は地下で、発電所から地下を通して病院用の電源ケーブルを引く作業をしているから何かあったら【念話】を送ってくれ。
食堂でコーヒーを飲んで、緑川さんの様子を確認してから作業に入るので、よろしく頼む。」
と言って食堂を訪れおばちゃんにコーヒーを貰って一服してから治療スペースに向かった。
「明けましておめでとうございます。緑川さん。調子はどうですか?」
「明けましておめでとうございます。早矢仕さん。昨日、あれから兄からの輸血を受けて体調も良くなりました。
本当にありがとうございます。この避難所が無ければ、私も兄も死んでいました。
あっ!兄は一度死んだんですけど、早矢仕さんのおかげで生き返れたのも本当に感謝してます。」
「ちょっと待っていてくださいね。」
「コン、コン、京町先生居ますか?早矢仕です。」
「ハーイ、空いてるんでどうぞ。」
「緑川さんなんですが、今聞いたら体調も回復したと言っていたのですが、退院可能でしょうか?」
「そうですね、私も今朝診察して、退院許可を出そうと思っていました。」
「ありがとうございます。それでは、秘書官に緑川さんの家まで案内させましょう。」
(秘書官、悪いがエルフの緑川さんが退院することになったので、確保している家に案内を頼みたいので、誰か寄越してくれ。)
(かしこまりました。お兄さんを原宿避難所の22E4N94R1《住宅エリア22の東4北94ルーム1》に案内しましたので、妹さんの方は22E4S3R10《住宅エリア22の東4南3ルーム10》にご案内します。)
(手間をかけるが、よろしく頼む。)
「それでは、先生。色々とありがとうございました。それから、今日の午後にこの並びに800床の病院施設一式を持って来て、1/4から診療後有無を開始しますので、先生たちもそちらで、診察等をお願いしますので、引っ越しの準備をお願いします。」
「早矢仕さん。800床って患者は何人いるんですか?」
「患者は、セロになっているはずです。」
「まっ、まさか!患者を見捨てたりして無いですよね。」
「そんなことはしませんよ。患者だった人達は、鬼の妙薬で全員完治してから連れて来るんで、午後になったんですよ。」
「そうですか。それは良かった。どこの病院なんですか?」
「つくば市の大学病院だったところです。」
「その病院だったら私の知り合いがいたはずだ。陣馬という内科医なんだが、会ってませんか?」
「奇遇ですね。陣馬先生にお会いしましたよ。今日の午後には、こちらに来ますから楽しみにしていてください。
案内が来たようなので、これで失礼します。」
「緑川さん。先生から退院許可を貰いましたので、この者が、緑川さんの住まいまで、ご案内しますから同行してください。私の家も近くですから何かあれば、相談に乗りますし、日中であれば、この鹿島基地に来ていただけば、居るはずなんで、遠慮なく相談してください。」
「あのー、私も殲滅軍に入りたいんですが、ダメでしょうか?」
「人材不足なんで、大歓迎なんですが、戦闘とか出来ますか?」
「やっぱり戦闘できないと駄目なんでしょうか?兄は戦闘が得意ですが、私は修行させてもらえなかったので得意ではありません。」
「それでは、私の事務官として仕事を覚えながらというのは、如何でしょうか?」
「はい、それなら喜んで参加させていただきます。」
「それでは、1/4から仕事始めなんで、9時に秘書官室に来てください。この前の廊下を右に行くと左側にあります。」
「よろしくお願いします。さようなら。」
さあって、これから発電所に行ってケーブル引きだ。
2時間で地下にケーブルを通すトンネルを掘ってケーブルを引いて準備が、完了したので、食堂に行くと今日は、お雑煮だけしか用意が無いというので、お雑煮を頼んで、席に着いた。
1杯じゃ足りなかったので、2回もお替りをしてしたら、おばちゃんに「成長期だね」と笑われてしまった。
食後のコーヒーを頼んで、執務室に持ち帰って一服していると、約束した13時になったので、病院長室に【瞬間移動】した。
「若森病院長。お邪魔します。」
「早矢仕さん。良いところに来てくれた。展望フロアに居る例の3人組が、早矢仕さんから貰った薬をもっと寄越せと騒ぎだして収拾がつかないんだよ。」
「わかりました。それ以外の準備は出来ていますか?」
「それは、大丈夫だ。」
「では、13:30を目安として、病院内に居る人たちをエレベーターが動くうちに低層階か隣の食堂棟に移動してもらってください。その後、全ての電源を落としてください。私は3人組をK国に強制送還します。」
「えっ、食堂に隔離して残すんじゃないんですか。」
「最初は、そう思っていたのですが、日本に居られても迷惑なんで本国に送り返すことにしました。」
「まあ、私も地上に残すよりも気が楽になります。」
「それでは、13:30までに準備をお願いします。私は12階に行ってきます。」
12階に【瞬間移動】して展望ラウンジに入っていくと、騒ぎ立てている3人に囲まれて白衣の看護師が困っていたので、助けに入ることにした。
「そんなに騒いでも何も解決しませんからお静かに、あなたは戻って結構ですよ。
それから、展望ラウンジに居る皆さんは、エレベーターで1階に降りてください。」
と言っていると館内放送で上層階に居る人は1-3階の低層階に移動するよう案内が流れたので、人が流れ出した。
「オマエハダレダ。カンケイナイヤツハヒッコンデイロ。」
とタドタドシイ日本語で怒鳴り返してきた。
「私の薬が欲しいと騒いでいると聞きましたが、何故ですか」
「あれは、あなたのくすりなんですか。ぜひともわたしにゆずっていただきたい。おかねならいくらでもはらいます。」
「薬が欲しい理由を伺っているんです。あなた方3人は、皆さん健康ですよね。」
「あのくすりをくににもってかえれば、けんりょくしゃや、ざいばつのかねもちたちにうりつけて、おおがねもちになれるじゃないか。だからだよ。」
同国人から金儲けしようなんて、なんと浅ましい奴らなんだろう。
「わかりました。それでは、3人で手を繋いでください。」
と3人が手を繋いだのを確認して一人の体に触れて【鬼動】による強制送還実施して、一瞬で戻って来た。
そんなことをしているうちに約束の13:30が近づいてきたが、今度はビル全体が揺れ始めた。
1階に【瞬間移動】してみると、我妻さんが駆け寄ってきて
「早矢仕さん、奴らがやって来た。」
というので、外を見るとオークが集まって、【結界】を叩いているところだった。
内線電話で病院長に連絡した。
「病院長。表に魑魅魍魎が集まってきました。電源が切れ次第、避難しますが、よろしいですね。」
「これから私が、アナウンスを流すので、電源が切れたタイミングでやってくれ。頼む。」
「わかりました。」
《病院長の若森です。患者の皆さんと職員に連絡します。
皆さんもクリスマスイブに避難しろという声が聞こえたと思いますが、現在、院内に響いている音は、普通の人間には見えない病院外に集まった魑魅魍魎と呼ばれるモノが集まって攻撃している振動で大変危険な状況です。
当病院は、この後、転移に備えて電気が消えますが、安心してください、人や建物がまとめて避難所に転移するための準備です。
どうか、患者だった方やご家族の方たちは、危険はありませんので、電気が消えても冷静な行動をお願いします。
職員は、電気が消えたら懐中電灯を点けて1階にいる人から順序良く外に誘導したら病院に戻ってきて下さい。
それでは、設備担当者は、主電源を切ってください。》
電源が切れた瞬間に【隔離結界】で囲んだ病院施設を【鬼動】でまとめて鹿島基地へ移動した。
1階の出入り口から人々が表に出てきたので、病院前に作っておいた広場に集まるよう誘導した。
「病院から出てきた皆さんにお伝えします。
今から、皆さんが生活するために作った避難所の家にご案内します。
原宿、札幌、熱田、伊勢、霧島の5か所に避難所がありますので、希望する避難所がありましたら腕に係員と書かれた腕章をしている者に希望を伝えてください。移動方法のレクチャーが受けたれます。
移動した先にも同じように係員と書かれた腕章をしたものがいますので、家族構成を伝えていただき案内に従って新しい家でお過ごしください。各避難所には、食堂も用意してありますので、ご利用ください。
1/4になりましたら、改めて今後についてご連絡します。」
と話してから病院の中に入って行くと若森病院長が待っていてくれたので、挨拶しようと近づいたら一斉に照明が点灯した。
頼んでいた電源工事が終わったのだ。
「お見事な避難誘導でした。職員の皆様が日頃から準備されていたからこそですね。」
「私もこれで一安心です。」
「少し職員の皆さんにお話ししても良いですか?」
「どうぞ。この受話器から全館放送できるようになっています。」
「ありがとうございます。
病院職員の皆さん。大変お疲れさまでした。
無事に避難所に到着です。皆さんが住まわれる住居の用意がありますので、この後、係員と書かれた腕章をしている者が、順番にご案内させていただきますので、お待ちください。
皆さんには1/3まで休んでいただき1/4から業務に戻っていただけたらと考えていますので、1/4は8:30までに職場に出勤してください。
なお内科の陣馬先生は、お手数ですがお知り合いの京町先生がお待ちですので、お近くにいる係員の案内で、指揮所内治療スペースにお越しください。」
と言って受話器を戻して秘書官室に顔を出して今日の予定は、すべて終わったので、
「今日は、[ハウス]に戻るので、何かあったら【念話】で教えてくれ。何もなければ、次は1/4に顔を出すので、それまでよろしく頼む。」
と伝えて、【瞬間移動】して帰った。
-----治療スペースでのやり取り-----
京町先生の所に陣馬先生が案内された。
「京町!。こんなところで会うなんて・・・」
「陣馬ぁ。お前こそ元気そうで何よりだ。病院に残って治療し続けたのは、お前らしいが、本当に無事でよかった。」
「お前こそこんなところで、大変だったろう。」
「いやいや、避難所は、安全だし病気やけがが治る安全な薬もあるし、一昨日なんか死んだ人が生き返るような本当にすごい薬があるから、俺なんか聴診器当てて診察するくらいしかやってないよ。」
「生き返る薬って!ここには、そんな薬まであるのか!!」
「それも、これも、早矢仕さんとその仲間のおかげだよ。年明けからは、俺も病棟の方で働くことになったからよろしく頼むよ。」
「おう、俺に任せとけ。」
「陣馬先生。ご歓談中申し訳ありませんが、そろそろお住まいにご案内したいのですが、よろしいでしょうか。」
「そうだった、そうだった、悪かったね。それじゃあ家に案内してもらおうか。落ち着いたら一杯やろうぜ。」
「わかったよ。酒なら俺の家にもあるから1/4の顔合わせが終わったら、俺の家で一杯やろう。」
「「じゃあ、またな。」」
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