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鬼神王覚醒  作者: 森豆太郎
19/109

第19話 ◇ベクレルクリーナー(1)◇ 08/19

初めての作品投稿で、試行錯誤の毎日ですが、わざわざ探して読んで頂いている皆様が居るという事をアクセス解析で確認するたびに感謝するとともにブックマークと評価★が伸びてこないという現実もあり、このまま進んで良いものなのか、悩む毎日です。


ブックマークと★が欲しくて堪らない作者にワンクリック、ツークリックの応援をお願いいたします。


本日は、第20話 ◇ベクレルクリーナー(2)◇ 08/21も投稿予定です。

お楽しみに。

◇ベクレルクリーナー(1)◇ 08/19


 被災した譜久島原発とその放射能汚染・除染物質の処理が、出口の見えない無限ループに陥っていると知った。

 正直言って”大災厄”が起こるので、放置しても良いのだが、金を大量に売ったので相場が急落してこれ以上、金を売ることも難しい状況になっているのも事実なので、ここは一気に原発関連処理費用から資金を稼ぐこととした。

 やることは簡単、【閉鎖型紅炎】を使って一気に処理してしまおうという事。


 いきなり放射性物質処理と言っても何の伝手も無いので、まずは、東響電力の放射性廃棄物処理に関する窓口に朝一で連絡してみることにした。


 「はい、こちら東響電力お客様相談室 受付:コンノでございます。

  本日はどのようなお問い合わせでしょうか?」


 「私、王我商事代表取締役の早矢刺と申しますが、御社でお困りの放射性廃棄物の処理に関してご提案がございますので、適切なご担当にお取次ぎいただきたいのですが、可能でしょうか?」


 「はい。

  お取次ぎは可能でございますが、どのようなご提案なのでしょうか?」


 「ご指定いただいた放射性物質、処理水から原発本体まで画期的な方法で、放射性物質を一切残さず完全処理が可能です。」


 「ちょっと待ってください。

  上司に確認を取らせていただきますので、一旦保留させていただきます。」


 と保留音が流れるのだった。

 そのまま、5分ほど待っていると


 「大変お待たせして申し訳ございませんでした。

  お電話交代させていただきました、東響電力お客様相談室室長のヤマジと申します。

  先ほど受付のコンノにお話しいただいた『放射性物質を一切残さず完全処理が可能』という事ですが、具体的にどのような処理になるのかお聞かせいただけないでしょうか?」


 「さわりだけお話ししましょう。

  私の技術で作り上げた特殊な空間に対象物を入れて処理することで、一瞬で跡形もなく処分が可能です。」


 「そ、そんな話は聞いたことがありませんが、現実として実現できるのでしょうか?」


 「そうですよね。いきなりそんな話をされても信用できませんよね。」


 「まあ、ええ、正直申しまして、そうですね。」


 「わかりました。

  実際にお見せしますので、何か実験対象となる者と実験場所をご用意いただければ、お見せできますので、時間と場所をご指定下さい。」


 「えっ見せられるんですか?

  でしたら、こちらで準備ができましたら折り返し連絡させていただきますので、ご連絡先を教えていただけますか?」


 「どの位でご連絡いただけるのでしょうか?」


 「車内で確認しなければなりませんので、3時間いただけますか。」


 「わかりました。

  今から3時間後という事は、12時過ぎますから13時頃に連絡いただけますか。」


 「ことらも余裕をいただけるのは助かります。

  では、13時を目途にご連絡させていただきますので、お時間を頂戴します。」


 「連絡先は、03-xxxx-yyyy 王我商事の早矢刺と申しますので、ご連絡をお待ちしております。」


 と一旦、電話が終わった。

 後は相手方からの連絡を待つだけだ。

 ファストフード店でハンバーグセットを買って五反田のレンタルオフィスに入って昼食を食べながら待機していると、13時丁度に事務所の電話に着信があった。


 「王我商事 早矢仕です。」


 「こちら東響電力お客様相談室 ヤマジと申します。

  ただいまお時間大丈夫でしょうか?」


 「はい、大丈夫です。」


 「実験のお話の前に可能であれば本日、私共の新橋にございます東京本社にお越しいただけないでしょうか?

  担当者が是非お話を伺ってから実験に立ち会いたいと申しております。」


 「良いでしょう。

  場所はどの辺ですか?」


 「新橋駅から有楽町駅に2-3分向かっていただくとございますので、受付で廃炉推進室長のタムラを呼び出していただけますでしょうか。

  受付には連絡しておきますので、よろしくお願いいたします。

  お時間は何時ぐらいに可能でしょうか?」


 「では、15分後の13:20分までに伺いますのでタムラ様にお伝え願います。」


 「15分後ですね。

  承りました。」


 新橋だったらSL広場に行ったことがあるので【瞬間移動】&【隠蔽】で、すぐに移動した。

 SL広場で【隠蔽】を解いて指定された本社に向かって歩いていくと13:15に着いた。

 少し早いが構わないだろうと思い警備の人間に廃炉推進室長のタムラさんと約束があると話して受付に行き


 「私、王我商事の早矢刺と申しますと名刺を差し出して、恐れ入りますが『廃炉推進室長のタムラ』様と13:20にお約束しておりますが、お呼び出しいただけますか。」


 と可愛らしい受付嬢にお願いした。


 「かしこまりました『廃炉推進室長のタムラ』でございますね。

  そちらのテーブルでお待ちください。」


 と言うので、テーブルに座って待っているとエレベーターを降りて受付へ走っていく女性が


 「廃炉推進室長のタムラですが、お客様はどちらに」


 と聞くと受付嬢がこちらに誘導してくれたので、立ち上がって会釈するとこちらに向かって歩いてきました。


 「初めまして。

  わたくしが廃炉推進室長のタムラでございます。

  王我商事の早矢刺様でしょうか。」


 「はい、王我商事の早矢刺と申します。

  本日はよろしくお願いいたします。」


 「前置きは抜きにして本題に入らせていただきますが、お客様相談室のヤマジから『放射性物質を一切残さず完全処理が可能』という話で引き継ぎましたが、どのような技術で実現されたのでしょうか?」


 「タムラさんは、太陽フレアをご存じですか?

  私のご提案は、無害な太陽フレアを利用した処理方法です。

  理論などの難しいお話は、私も苦手なので実際に現場でご確認いただくのが一番だと思います。

  実験に際して御社が、必要と思われる計測器などを準備していただき、実験結果をご確認いただいたうえで、ご判断いただくのが良いと思います。」


 「こちらも世界各地から似たような提案を受けましたが、実運用に耐えるだけのものはありませんでした。

  今回、早矢刺様のご提案頂いた実験ですが、譜久島の処理施設で実験していただく準備をしております。

  いつ頃、実験が可能になりますか?」


 「そちらの準備さえよければ、こちらは明日でも構いませんよ。」


 「えっ、明日ですか?

  そんなに早く実験可能なのですか?

  何か準備しておくご要望はありますか?」


 「そちらにご用意いただきたいものは、放射能汚染物質であれば、何でも構いません。

  あとは、御社が使用される計測器など準備されればよいでしょう。

  それから立ち合いは、最低限の人数に絞っていただきたいので、ご配慮お願いいたします。」


 「譜久島の方は、いつでも実験可能なので、明日13時に譜久島原発最寄りの大野駅東口にお越しいただけないでしょうか。」


 「問題ありません。

  明日13時に大野駅に伺いましょう。」


 という事になった。

 常磐道の大熊ICからから1kmほど離れた神社の避難用出入口が利用可能なので、地図で確認すると4km位で駅に着くことが分かった。



◇検証実験◇ 08/20


 10時過ぎに目が覚めたので、博子に【念話】を飛ばしてみた。


 (いま大丈夫?)


 (びっくりした。

  階段降りてるところだったから危なかったんだからね。)


 (ごめん、ごめん

  今日、この後、譜久島原発の方まで行くことになったんで、知らせておこうと思って。

  それと、【念話】が届く範囲確認がてら譜久島から試してみるというお知らせなんだ。)


 (譜久島原発って放射能とか大丈夫なの?)


 (今回は、その放射能に汚染されたものを綺麗に掃除するお仕事の契約を取るための出張なんだ。)


 (無理しないでね。

  3階に着いたんで仕事しないとなんで、ごめんね。

  バイバーイ)


 (わかった。

  後で【念話】するね。)


 さてと、板橋-渋谷の9km位まで【念話】が届くことが確認できた。

 まだ、時間はあるので、いわき市に作った譜久島中継所まで【瞬間移動】して、いわき駅近くの避難用出入口へ避難用回廊を使ってみた。


 線路沿いに鎮守の森を持つ女神さんが祀られている神社に出たので、スマホのナビを使って歩くと10分ほどで、いわき駅近くの喫茶店に到着した。

 快晴の中、歩いてきたので、汗ばんでいるため冷房が心地良い。

 注文を聞きに来た店長らしき男性にピザトーストセットを頼んで待っていたら、食パンが塊のままピザトーストになって出てきたので、少し驚いたが、おいしく頂いた。

 WEB小説を読みながらコーヒーを飲んでいると11時を過ぎたので、一応、鉄道案内で時刻表を確認すると、どうやら13時06分に到着する電車しか無いようだ。

 コーヒーをお代わりしながらWEB小説を読んで時間を潰しながら12時を過ぎたので、博子に【念話】を送った。


 (昼休みに入った?)


 (今日の昼は、交換に入ってるよ。)


 (わかった。

  今、譜久島県のいわき市駅の近くに居るんだけど180km位でも届くのが、分かった。

  邪魔してごめんね、また連絡するね。)


 博子との【念話】が終わったので、お会計をして店を出た。

 待ち合わせまでに時間はあるが、【隠蔽】&【瞬間移動】で大熊IC近くの避難用出入口まで移動して、のんびりと駅に向かって歩き始めた。

 意外と時間がかかってしまったが、35分ほどで大野駅西口に到着したので、連絡通路を通って東口に降りるとタムラさんが待っていてびっくりした顔で迎えてくれた。


 「えーっと、早矢刺様は、どうやってこられたのですか?」


 「はい、大熊ICの方から来ましたが、何か?」


 「お車か何かで来られたんですか?」


 「まあ、そんな感じですね。」


 「はぁ。

  申し訳ございません、御挨拶が遅れました。

  本日は、はるばるこんな遠方までお越しいただきありがとうございます。

  それでは、お車をご用意しましたので、実験場へ向かいましょう。

  本日は、お荷物をお持ちではないのですか?」


 「こちらこそ、本日はよろしくお願いいたします。

  荷物はありませんが、実験に支障はありませんのでお楽しみにしていてください。」


 途中、検問ゲートをくぐりしばらく走ると、大きく黒いフレコンパックが、山積みされた広い駐車場に停まると、そこには1個だけ隔離されたように置かれたフレコンパックと、その周りに白衣を着た5名の研究者らしき男女が待っていた。

 その中で一際体格のがっしりした男性から


 「私が本日の実験を検証させていただく廃炉推進技官リーダーのハシモトと申します。

  残りの4人は、私の部下で、本日の検証を担当するスドウ君、ナリタ君、コバヤシさん、フジイさんになります。

  本日は、放射能汚染物質の画期的な処理方法をご提案頂けるという事でしたが、何もご用意が無いようですが、私共をからかわれたのでしょうか!!」


 さすがに、放射能汚染物質の処理実験と言っているのに、手ぶらで来たらそう思ってもしょうがないのだが、いきなりファイティングポーズを取られても困っちゃうぞと。


 「初めまして。

  私、王我商事代表取締役の早矢刺と申します。

  本日の実験は、問題なく執り行いますのでご安心ください。

  さて、処分するのはこのフレコンパックという事でよろしいんでしょうか?」


 「そうですが、一体どうしようというのですか?」


 「こちらの準備はいつでも良いのですが、ハシモトさんたちの検証準備は大丈夫なんですか?」


 「実験するというなら、すぐに準備しますので5分お待ちください。」


 待つこと5分

 フレコンパックの周りに何やら遠くの測定から伸びたケーブルがつながっているマイクのような検知器をスタンドを使って4方に配置したようです。


 「今、現在も極々微量のベクレル値が計測されています。

  このフレコンパックを処分してベクレルが計測できなくなれば、早矢刺さんが言うところの『放射性物質を一切残さず完全処理』という検証が出来たことになります。

  どうぞ、処理して見せてください。」


 後ろに立っていたタムラさんに


 「タムラさん、フレコンパックの処理をしますが、よろしいですか?」


 「はい、お願いします。」 


 「ハシモトさんもよろしいですか?」


 「いつでもどうぞ。」


 フレコンパックの上に[天石]を乗せてから【隔離結界】をフレコンパックの周囲に張り巡らし[天石]に[熱]と[光]の属性を同時追加して【閉鎖型紅炎】を発動したので、一瞬、周囲が真っ白になった後、フレコンパックがあった場所には、きれいさっぱり何もない空間になっていた。

 それを見た6人は、その場で呆然として立ち尽くすだけだったので、


 「ハシモトさん、タムラさん。

  処分が終わったので、検証してくださーい。」


 と声をかけると、白衣の5人が慌てて測定器の所に走っていき計測器を指さしながら話していると、その中の1人がフレコンパックがあった周囲に残っている4個の検知器をフレコンパックがあった場所にこすり付けるように動かし始めた。

 測定器の4人は、顔を横に振るばかりで、今度は山積みのフレコンパックの方を指さし検知器を持っていかせるのだった。

 今度は、4人とも首を縦に頷きながら、検知器が残っている測定器と見比べているようだった。


 (いくら調べても、太陽フレアと同じ紅炎で塵も残さず完全燃焼させたんだから出る訳が無いんだよね。)

 残っているタムラ室長に


 「こんなもんで、どうですかね?

  契約してもらえそうですかね?」


 としらばっくれて聞いてみた。

 すると


 「おーい、ハシモトリーダーどうなんだ!!」


 と声をかけると、ハシモトさんが首をかしげながら戻ってきて


 「放射能は、全く検出されません。

  残っているフレコンパックだと検出されますので、測定機の故障もありません。

  よって、検証結果は『放射性物質を一切残さず完全処理』できた。

  という事になります。

  それにしても、早矢刺さん。

  さっきのあれは、一体何なんですか?

  上に乗せた虹色の石みたいなものに秘密があるんですか?

  真っ白になった瞬間に何が起こっているんですか?

  何で放射能が検出されないんですか?」


 と質問攻めにあってしまった。

 

 「まあ、その辺に関しては契約もしていただいておりませんし、これ以上の技術情報に関しては、守秘義務契約を結んでいただかないとお答えいたしかねます。

  タムラ室長、我が社とご契約いただけますか?」


 「それはもう、こちらからお願いいたします。

  つきましては、正式契約なんですが、本社管轄になりますので大変申し上げにくいのですが、改めて新橋の本社までお越しいただけないでしょうか。

  そちらで正式契約と守秘義務契約について、打ち合わせをお願いいたします。」


 「畏まりました。

  我が社はいつでも問題ございませんが、当方の技術等に関する守秘義務契約も締結していただきたいので、事前に契約内容をメールでお送りしたいと思いますので、室長のメールアドレスにお送りしてもよろしいでしょうか?」


 「はい、メールをお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。

  ご提示いただく守秘義務契約に関しては、当社の法務部門や役員とも報・連・相そして決済を受けないといけませんので、お時間をいただくことになると思いますが、決済が下り次第、こちらからご連絡させていただきます。

  処理費用などについては、どのようにお考えでしょうか?

  見積もり等ございましたら一緒にご提示いただけないでしょうか。」


 「決済待ちの件は、大きなお話になると思うので何ら問題ございません。

  処理費用については、どの程度の対象物を処理するのかにもよりますので、まずは、御社で処理が必要な廃棄物についてご提示いただき、その上でご相談させていただけないでしょうか。

  処理する対象物の大きさや性質については、どのような物であっても処分が可能です。

  例えば、原子炉建屋であったり汚染水であったり山林などでも処理は、可能です。

  但し、我が社の処分は、対象物を消滅させますので、処分対象物に関する一切の権利などは、放棄していただくことになります。」


 「畏まりました。

  詳細については、後日改めて本社で打ち合わせさせていただくということで、よろしくお願いいたします。

  本日は、お疲れさまでした。

  大野の駅までお送りしますが、今からだと14時半過ぎの列車に間に合わないので、16時前までお待ちになることになりますが、どうされますか?」


 「その辺は、どうとでもなるので、駅まで送っていただけますか。」


 という事になって、大野駅東口まで車で送ってもらい、タムラ室長と別れて駅の階段を昇り、改札を通り過ぎて西口階段を下りていくと、後ろからタムラ室長の気配がしていたので、西口階段を降りた壁を回り込んだ瞬間に【隠蔽】&【瞬間移動】で家まで戻ってきた。 

 後は、守秘義務契約書だが素案は自分で考えた物があったので、会社設立で世話になった弁護士事務所に正式文書化を依頼したら喜んで引き受けてくれた。

 急ぐと言ったら特急料金は取られたが、明日の夕方までに引き渡してもらえるというので、原案をメールで送ってから会社の口座からネット振り込みで料金を振り込んだ。


 定時には少し早いが博子に


 (もしもーし)


 (どうしたの?)


 (今日エレクトーンの日だったよね。)


 (そうだけど)


 (じゃあ、エレクトーン終わったらどこかで食事しない)


 (嬉しいけど、本当に良いの?)


 (博子に会いたい気分なんだ。

  終わるの19時だったよね。

  前みたいに下で待ってるよ。) 


 (わかった。)


 と言う感じでデートの約束を取り付けて、五反田まで戻って近くのとんかつ屋に入って夕食を食べながら少し話した。


 「今日、東響電力の譜久島の現場まで行って検証実験をしてきて無事に終わったんで、この後、契約とか廃棄物処理とかをやってお金を稼ごうと思ってる。

  日本の為になる仕事なんでちょっと張り切ってる。」


 「日帰りだったんだね。

  無事に契約とれそうで良かったね。

  これで譜久島の人たちも安全に過ごせるようになるね。」


 「避難所の整備に必要なお金を稼がないといけないんで、しばらくは、平日は廃棄物処理と休みの日に避難所の整備をしていく事になると思うんで、契約できたら前みたいにしばらく忙しくなると思うんだ。

  ごめんね。」


 「ううん、しょうがないよね。

  潤さんにしかできない事なんでしょ。

  寂しいけど、潤さんが頑張るところ好きだから、頑張って欲しい。

  けど、たまには会いたいんだからね。

  ちゃんと私との時間も作ってくださいね。

  そう言えば、ハワイとか梅田とかに連れて行ってもらう時に手を繋いでたけど、そうしないと駄目なの?」


 「そうだね、体が触れていないと移動できないよね。」


 「え~~~そうすると他の(ひと)と移動する時も手を繋ぐんですか!!」


 「そうだけど」


 「それは、何か嫌です!!」


 「えっ、嫌と言われても基本的に一緒に移動するのは、博子ぐらいだよ。

  他に移動できる人は、移動先を共有出来るから、単独で移動するしね。

  博子がそういう気持ちを持っているという事は理解したから気を付けるよ。」


 とお茶を飲みながら話すと理解してくれたらしく


 「遅くなると兄が心配するんで、帰りましょ。」


 と言って、帰り支度を始めて、レジまで行ってデート用財布で博子が支払った。


 「そろそろ財布のお金なくなるよね。

  これ足しといて。」


 と店を出たところで博子に2万円渡して池上線のホームに向かった。

 (放っておくと博子は、お金が足りなくなっても言い出さずに自分のお金を財布に入れてしまうので、渡しておかないと駄目なのだ。)

 今日は洗足池駅で池上線を降りて駅前の通りを歩いて小学校のある交差点を右折してアパートに着くまで腕を組んで、二人で歩いた。

 アパートの門扉を入ったところでキスして博子が部屋に入るのを見届けてから【瞬間移動】で家まで帰った。



次話 ◇ベクレルクリーナー(2)◇ 08/21

 

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