五十六話目
「チヒロさん?多分戦争が始まってると思うんですけど、なんでふて寝してるんです?」
「ボーっとしてるだけのように見えるだろうが、俺はいま戦場をちゃんと見てるぞ。」
朝食を食べ終えた頃、日はようやくオレンジの光を消して、青空を見せるようになった。
「スキルに【神眼】があってな、離れててもしっかり見えるんだ。」
「それじゃあ、他の部屋とかも覗けたり……?」
「できるが、する必要がないな。ほかに見るべきものがあるし。」
「例えば?」
「今で言ったら戦場もそうだし、向こうの国王とか、そのバックにいる冒険者とかだな。」
「本当に見えてるんですか?それ。」
「なんなら向こうにいる冒険者の、ステータスでも読み上げるか?」
「…………やってみてくださいよ。」
そうして、チヒロが見た【晴嵐の刃】のメンバーのステータスは、
「はぁっ!?」
いつも落ち着いているチヒロを焦らせる程だった。
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レイクス
性別 男
年齢 21
レベル 77694
HP 2,151,211,545
MP 2,155,212,767
力 2,231,444,979
物理攻撃耐性 2,149,466,266
魔法攻撃耐性 2,258,785,511
精神 545,846,445
運 2,468,445,484
スキル
【神足】
『【韋駄天】の上位互換。また、空を走ることができる』
【レベルアップ率上昇(大)】
『レベルがとても上がりやすくなる』
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「どうしたんです!?」
チヒロが驚いて声を上げることなど無いとおもっていたアルメリアは、若干びくつきながらも聞く。
「……レイクスって奴を知ってるか?」
「心当たりならあるんですが……一体どうしたんです?そんなに慌てて。」
「レイクスって奴のステータスを覗いたらな、異常だった。」
「普通はステータスなんて見れないと思うんですが……まぁチヒロさんですからね。私が知っている限り、レイクスというのは、ランクS冒険者パーティ【晴嵐の刃】のリーダーしかいません。」
「ランクSは伊達じゃないってかぁ…………アルメリア、ちょっと国王に伝言してきてくれ。」
「随分と弱気ですね、というか私を使う気ですか?」
「国民が必死に戦って――――
「分かりましたよ!言ってきますよ!言って来ればいいんでしょう!?で!?内容は!?」
言い方は悪いが、嫌われ者のアルメリアにとって「国民が○○なのに王女たるお前は~~」というセリフは嫌になるほど聞かされてきたものだった。
「……悪い、軽率だった。あー、内容は軍を下げろ。できないなら左右に散れ。」
「正気ですか!?」
「本気なだけだ。早く行った方がいいぞ、劣勢だ。」
「…………これで負けたら許しませんからね!」
アルメリアは、チヒロが何をするのか気にしながらもチヒロの部屋を出て行った。
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「はぁ!?いくらチヒロ君の言う事でも、流石に無茶が過ぎる!」
「でしょう!?父上もそう思うでしょう!?でもチヒロさんったら本気だって言ったんですよ!」
「まぁまぁ……落ち着いてください。何か策があるんでしょう。こちらの兵がいくら強いとはいえ、数で押し負けているのは事実です。兵を引かないにしても、左右に避けさせるだけでもしてみましょう。」
デハミッシュの国王と第二王女が怒りに震え、敵国の第一王子であるダリエスが冷静になって、二人を宥めるという奇妙な構図が出来上がっていた。
この構図ができるのは簡単で、アルメリアがバリドゲニア国王に伝言しただけのことだった。
「…………そうだな。膠着しているように見えるが、実際のところうちの兵は疲弊していて、向こうは
まだ戦ってすらない兵士さえいる。……引かせよう。」
こうして、チヒロが戦場に立つ舞台は整った。
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俺が戦場に徒歩で向かったところ、丁度真昼になり、兵の引き具合も丁度良くなっていた。
デハミッシュ王国側の兵達が向ける視線が、疑問よりも感謝のほうが多いのはなぜなんだ……?
「三倍近く差があるのに、よく持ちこたえてたな……練度の差か。まぁ、そこはいい。思いっきり、目立つとしよう。」
右手を空に掲げ、目を瞑る。
想像するのは、平地を駆け巡る武士。敵を斬り、薙ぎ、突き、投げる。そんな鬼武者。
せっかくだ。髪の色も赤だし、赤鬼そのものにしよう。トラ柄の腰巻じゃ締まらないしな。
信玄よろしく、赤い甲冑でも着せて。
オークだと間違われないように、三メートルを超える巨体にしてっと…………。
昔話に出てくるような、金棒を持った赤鬼達。占めて800人。
「さぁ、姿を見せてくれ。」
手を振り下ろし、目を開けると、鬼たちがシャィオシー王国側に向かって仁王立ちしていた。
偉そうに座ってたし、ドルトスってのが国王だろう。
宣戦布告するんだ、剣を向けたっていいだろう。
「ドルトスゥ!!!いい気になってんじゃぁねぇぞぉ!!!戦争が量だって言うならぁ!!!この鬼どもをぉ倒して見せろぉ!!!!」
次の瞬間、鬼達が一斉に魔力を体中から放出させ、赤いオーラを纏った。
久々のステータスさんの出番




