四十八話目
かなり無理のある展開だと承知の上で、前話からの続き書かせて頂きます。
アルメリアはその発言を聞いて何か言う訳でもなく、ただ固まった。
「……はい?」
俺が困惑の中辛うじて出せた返事は、すぐに国王の返答へとつながる。
「今日も含めて10日後に、シャィオシー王国と戦争することとなった。」
……いきなり過ぎないか?元々この国とシャィオシー王国との間で緊張状態でも続いていたのか?
「…………どういうことなんですか?戦争の経緯からお話しいただきたいのですが。」
「あぁ、そうか。チヒロ君は記憶喪失だったんだっけか。長々と話すわけにもいかんし、少しかいつまんで話そう。シャィオシー王国は海に面している国でな。食に困ることが殆どない。だから、飢え死にする人も少なく、シャィオシー王国の人々は増えに増えている。」
「なるほど。人が増え、土地が足りなくなったと。」
「そういうことだ。10日前に、シャィオシー王国から通告があってな。」
すると国王は懐から、手紙を取り出しこちらに見せた。
ずらずらと長い文だが要約すると、「国土が足りないので分けて欲しい。友好の印だと思って頂きたい。分けてくれた場合、海産物に掛ける税をかける権利を譲る。断った場合、持てる武力の全てを以て侵攻します。国ごと貰い受けることも視野に入れています。良い判断を期待します。」だ。
「しかし、何故俺を頼りにするんです?」
自分を気絶させた奴を有能とでも思っているんだろうか?というか俺、嫌われているとはいえ娘をさらった相手だぞ?
「……その胆力だよ。気絶させた相手に平然と話せる強い精神に、とても期待している。」
少しこめかみが引くついているのを隠せていませんよ陛下。
それを口に出しそうになったところで、アルメリアが声を上げる。
「どうして……どうして、御父様はそこまで楽しそうにチヒロさんと話すんですか!」
アルメリアの目の端には涙が溜まっている。
「楽しそうに見えるか!?怒りを堪えているのだぞ!?」
「私にはそう見えます!怒りを何かに変えて、楽しそうにしているようにしか見えません!」
どうやって収集つければ…………黙らせるか。
数千程度の魔力を二人に叩きつけて、一旦怯ませ……られなかった。
「一旦落ち着い――
「「誰のせいだと思ってる!(んですか!)」
二人が立ち上がって俺に激昂する。
「はぁ…………じゃあ一旦出るから。好きなだけやってくれ。」
親子喧嘩に第三者は邪魔だろう。
俺が出て行くまで、二人は立ったまま睨みあっている様だった。
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「おや?君は誰だい?見ない顔だけれど。」
部屋から出ると、二十歳ぐらいの若々しい、身長180センチ程度の美青年が俺に声を掛けてきた。
「ランクA冒険者のヨシダ・チヒロだ。チヒロとでも呼んでくれ。」
「ランクAでその胆力かぁ……。知っているだろうけれど一応。僕はレスター・フォルスク・デハミッシュ。この国の第一王子で、王位継承権第一位だ。それで、一体どうしてこんなところに?」
一応で自己紹介してくれてありがとう。王子だと分かったし少しだけ口調変えるか。
「アルメリアの護衛として雇われて。さっきまでこの中で、陛下とアルメリアと三人で話してたんだが、親子喧嘩が始まってね。」
「あぁ、戦争の話で呼ばれたんだね。となると、チヒロ君が来てくれたのは都合が良いや。噂はセランディカ王国から飽きる程聞いてるよ?火の鳥を単独討伐したんだってね?」
「ああ、あの時は魔力切れで大変だった。」
「そうだ、忘れられないよ。この王城で、国王とその取り巻きを気絶させて、アルメリアを攫っていった事件は。」
「是非とも忘れて欲しい。」
「まぁまぁ、そういうところが評価されてるんだから。それで、どこまで聞いたんだい?」
「10日後にあるとしか聞かされてないさ。俺は一体どこでどこから出るべきなんだろうか。」
「さぁねぇ。でも、君の召喚魔法を役立ててもらう戦争になることは間違いないよ。」
召喚魔法が使えることが伝わるの早くないか?まさか連絡専用の魔法でも使えるのか?
「そうかぁ。あんまり使いたくは無いんだがなぁ。」
「そう?馬車を引く馬を召喚できるのは羨ましいけどなぁ。」
「そもそも、馬車じゃなくても済むしなぁ。」
「え?普通に走るの?」
「あぁ、普通に走るぞ。」
空をだけどな。
「冒険者って楽しい?」
「人によって違うさ。強い奴だって異形の魔物と戦って辛い思いをするし、弱い奴だって強い奴が狩ってきたでっかい魔物の解体をするだけで金が貰えるっていう楽な思いをするし。人によるよ、なんでも。」
「そういうもんか。」
「そういうもんだよ。」
話が一段落ついたところで、タイミングよくアルメリアが部屋から出てきた。
「お待たせしました…って御兄様?何故ここに?」
「偶々だよ。じゃあねチヒロ君。」
「あぁ。」
レスター王子は、背筋をまっすぐ伸ばしたまま歩いて行った。
「何を話されていたんですか?」
「まぁ、俺がこの国にとって大事だっていうのは分かったよ。」
疑問に首を傾げるアルメリアはほっといて、席に座った。
幾分かスッキリしたようで国王は、曇りのない笑顔になっていた。
読んで下さる皆様の期待を裏切らないよう頑張っていきます……。




