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四十九話目




 「最後に聞こう。チヒロ君、戦争に協力してくれるということでいいんだね?」

 「えぇ、構いません。俺が召喚魔法を使って、デハミッシュ王国の強さを認めさせればいいんですね?」

 「そういうことだ。まぁ、チヒロ君個人の強さ。のほうが正確だろうけどね。」

 「まぁ、俺冒険者ですからね。この国の下に属せば別なんでしょうけど。」

 「チヒロさんは、1つの国に置くべきじゃないほどの力を持ってると思いますよ!」

 

 あの短時間でどれだけ打ち解けたんだよこの二人。

 さっきの険悪さが嘘のように、滑らかに話は進んで行く。


 「それじゃあ、確認していこう。10日後にシャィオシー王国との戦争を開始する。」

 「その時に俺は、一つの軍を召喚魔法によって生み出す。」

 「我や、貴族たちが出す軍は左翼に。」

 「俺の召喚した軍は右翼に。」

 「場所は、シャィオシー王国との国境。」

 「最東端のフェルケス領。」

 「成功報酬は、チヒロ君の討伐依頼の取り下げ。かなり簡潔な確認だけど、これでいいだろう。」

 「あぁ、あんまり長々と決めても訳が分からなくなるからな。」

 「それじゃあ、よろしく。」

 「あぁ、よろしく。」


 俺と国王は握手して、部屋から出て行った。アルメリアは、俺が出た後すぐに出てきた。

 

 王城内では基本的に無言で移動するかと思っていたものだったが、アルメリアが話しかけてきた。

 アルメリアからしてみれば実家だから、ついつい口が軽くなってしまうのかもしれない。居心地が良い実家だったかは知らないが。


 「チヒロさん、本当に1人で軍を創るつもりなんですか?」


 さっきの確認の時、不安そうにしていたアルメリアが俺に聞いてきた。


 「軍も何も、一人が百人力になってれば、百人召喚するだけでも一万人分の軍になるんだ。」


 自分でも言ってておかしいとは思う。でも単純計算したらそうなるだろう。


 「俺位の強さを持つ奴を十人召喚すれば、恐ろしい軍が出来上がるだろ?」

 「……はい。よく分かりました。」


 そんな風に即答したアルメリアの顔は、少し青ざめていた。

 貴族は多少の事は顔に出さないと思ってたが、国王とか王子とかが異常なのか?堂々とし過ぎだと思うんだがこの王家。

 

 「まぁ、特に何も心配しなくてもいいだろ。」

 「だといいんですが……。」

  

 本当に、負の感情位相手に悟られないようにするべきだと思うんだけどな。


 

 そんな俺の心内など分かる筈もなく、アルメリアは続ける。


 「いくら土地が少なくなったからと言って、戦争をする必要があるんでしょうか…?」

 「そりゃあ、人が住むところ以外に畑とかも必要だからだろうさ。」

 「それなら……建物の工夫をすれば……。」


 ……この世界でまだ王城やら貴族の館以外に、三階建て四階建ての建物なんて見たこと無いんだが。

 まぁ、海に近いシャィオシー王国は金属を使った工法が難しかったりするのだろう。


 などと考える俺と違い、アルメリアはもっと大きい問題のように感じたようだった。


 「なんというか、王としての力が弱っているように感じるんですよね。」

 「……話が急に飛んだな。」

 「いくら土地が足りなくなったからと言って、わざわざ隣の国にまで土地を貰おうとするんでしょうか。そもそも、標高が低いとはいえ山脈があり、隣接している訳では無いのですから、こちらに許可なく気付かれない範囲で土地を広げればいいのでは?」

 「俺に言われてもな……。」

 

 山脈で分かれていることなんて初めて聞いたぞ。

 俺のそんな思いに関係なくアルメリアは続ける。


 「国土を分けて欲しいとシャィオシー王国は書いてきましたが、それって国王が直々に来て頭を下げに来なければならない内容だと思うんですよね。」

 「わざわざ来るとは思えないけどな。そもそも、そんな事態になる前に内乱が起きるとか、シャィオシー王国が分裂したりするとか、まともな状態じゃないだろう。」

 「……その状態に、シャィオシー王国が陥っているとすれば?」

 「アルメリア、そんなことを考えて――」


 アルメリアは俺の言葉を遮り、考えるためにか下げていた頭を上げて、俺の目を見てはっきりと言った。

 

 「そんなこと、で済むことじゃないですよ。これはきっと、シャィオシー王国に滅んでほしい者たちがいるんですよ。」


 いや、当然だろ。


 「そんなの、どこの国にもいるだろう。全ての国民から、存在し続けて欲しいと思われている国なんて、国家が洗脳でもしない限り、あり得ない。」

 「話をすり替えないでください。私が言いたいのはそういう事じゃありません。……この戦争は、意図的なんです。」

 「意図せず起こる戦争があってたまるか。」

 「一々揚げ足を取らないでくださいよ、チヒロさんらしくもない。」

 

 そういうアルメリアこそ、こんなに深く考えるなんてらしくないだろう。

 そう言おうとも思ったが、また「話をすり替えないでください」と言われるのが読めたので辞めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 その後アルメリアは、馬車に乗り王都を出るまでずっと無言だった。

 

 王都を出た直後、アルメリアはこう言った。


 「チヒロさん、召喚魔法を使う時は人型の生物を召喚してください。」


 どうしてそうなった。

非常にお待たせしてしまいました。申し訳ありません。

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