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三十九話目






 まぁ招集された訳なので、俺とファミレとジェシカは、王城の正門から入って行った。

 前回は馬車で入って行った訳だが、今回は招集ということもあって迎えの馬車等は来ないからである。


 「わぁ…私この国で長らく暮らしてきたけど、王城に入るなんて初めてだわ。」

 「まぁ、まだ王城の敷地内ってところだけどな。」 


 そう呟いたジェシカの恰好は、冒険者として活動している時のような服装とは異なり、黒のブラウスとグレーのワンピースを着ている。

 

 そして、俺の腕を掴みながらそわそわしているファミレは、冒険者ギルドにいる時とおなじ服装をしている。

 

 俺もいつも通りのドラゴンのコートを羽織っている。……そもそもこの世界に来て服を買った記憶が無いな……。

 

 

 王城の敷地内に入った時から思っているのだが、門番以外の人の気配が見受けられない。

 たまたま偶然が重なって人と出会うことが無いだけなのか、それとも何か仕向けられているのか、何かが起きてそこに人が集まっているのか。


 このうちのどれかだとは思うのだが、どれにせよ意味が分からない。

 

 なんてことを思っている間にも足は進み、いよいよ王城内に入る。

  

 「ねぇ…これって勝手に入っていいのかしら?」


 流石に誰もいないときに、王城の扉を開けて入るということに対してジェシカが疑問を抱いた。 


 「…いいんじゃないの?だって私たちは一応、王城に招集されているわけだし。」

 

 ファミレはそう言うと、全く気に留めることも無く扉を躊躇なく開けた。

 

  

 「「「!?」」」


 

 ファミレが観音開きの扉を両手で開けると、王城内から無数の矢と魔法が飛来してきた。


 それと同時に、俺の視界はスローモーションになる。

 

 魔法と矢があまりにも多すぎて、向こう側を見ることができない。状況を確認したいが、諦めて行動に移ることにした。

 いくらスローモーションとはいえ人間の動きと魔法のスピードでは結構な差があるため、剣などによる直接攻撃の時とは違って、冷静考える時間ができない。

 

 目の前に、ちょうど扉程度の大きさの障壁を展開する。

 

 すると視界のスローモーションは解除され、魔法と矢は障壁にぶつかり、消滅したり床に落ちたりしていく。


 そして視界が開けて行くと同時に、呆然と佇んでいる鎧を着た男たちの姿があった。

   

 その奥に、悔しそうな顔をしているドベルズと、何が起きたか把握できていない国王がいた。


 魔法が全て消え、矢が全て落ちたのを確認してから障壁を消す。何が起きたのか分かる筈もなく、場は静寂に包まれる。


 茫然としているファミレとジェシカを横目に俺は、淡々とこう言った。

 

 「……火の鳥の一件に関しては、もうこれ以上報告するつもりはないので。これにて、失礼します。」

 「な!?どういうことだ!」

 

 国王よりも先にドベルズが反応する。国王に関しては何が起きたのか未だに整理ができていないのだろう。

 

 「招集されたので来てみれば、三人相手に一斉に攻撃にされているのですから。当然かと。…では、これにて。」

 「ま、待て!その発言はこの国を相手取るということでいいのだな!?」

 

 俺が踵を返そうとすると、理解が追い付いたのか、帰らせたくはないのか、国王が懸命に俺にそう叫ぶ。


 「…申し訳ありませんが、先に攻撃をしたのはそちらですので。……この意味が分からない訳ではありませんよね?」

 「む…むぅ…それはその通りなのだが…ドベルズの独断で其方らに攻撃をした訳でな……我としては攻撃などしたくなかったのだ……。」

 

 ……面倒くせぇ。

 

 「……分かりました。何も無かったことにしましょう。その上で一つ聞かせて頂きたいことがあります。」

 「貴様ぁ!何も無かったことにしましょう、だと!冒険者風情が何を偉そうに!」


 ドベルズが急に喚き散らす。どうしてこうもプライドだけはあるんだ…。


 「………。陛下、俺達に対して攻撃はなかったし、俺達がそちらに対して不快な思いをさせたことはない。これは正しいですね?」


 ドベルズには魔力をかなり叩きつけて眠らせた上で、そう確認する。


 「…う、うむ。お互いに何も無かった。…正直、こんなに簡単に屈していいものなのかのぉ…。」


 国王の本音は聞かなかったことにして、とりあえず聞きたいことを聞いておこう。

 …ファミレとジェシカはなんでまだ黙ってるんだろう。


 「俺をここで始末するメリットを教えてください。」

  

 俺のこの一言には、ファミレもジェシカも国王も、呆然としていた騎士達も、目を見開いて驚いていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 結局教えてくれることは無かった。「おっと、食事の準備ができていたのを忘れていた!皆の者、散れ!」と言ってその場を濁されお終いだった。

 

 食事は美味しかったものの、いつだかに怒鳴り散らした貴族の娘たちに複雑な目で見られて素直に楽しむことはできなかった。

 

 今はどこにいるかといえば、ザッドの街の冒険者ギルドである。 


 前までと何ら変わりなかったこのギルドだが、一つだけ変わった点がある。


 「ねぇチヒロ君、私何かしたかな?みんなから見られてるんだけど?」

 

 ジェシカがこの街のギルドに活動拠点を移した点だ。


水の塊どうやって処理しよう…。


恒例のネタバレ

















































































































































































































































































 「あー…冒険者って魔物討伐以外にも仕事あったなぁ…。」


 ファミレから知らされた指名依頼。

 『火山の噴火に際しての救護活動とその他』 


 「…火山灰が大分濃いな…。」


 空中を歩いて行くことができないほどの火山灰に驚きつつも、とりあえずその地域を目指して進んで行く。


  


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