↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/67

三十六話目



 そう思考している間にも障壁は収縮を続け、遂に直径10センチの球体になったところで収縮は終わった。火の鳥に止められた、というのが正しいが。

 

 『…人の子よ、二つに一つを選択することを許してやろう。…非常に屈辱的だが、我を従える。もう一つは、ここで我を殺す。賢明な人の子なら』


 急にどうした?……あぁ、死にたくないのか。

 火に特化した存在とかいう、意味不明な自己紹介をしたこの生物かも分からない奴は、多分理解したんだろう。

 このままでは死んでしまうということに。


 まぁ理由は分からないのだけど。


 俺は、何も言わずに障壁を無理矢理収縮させた。


 『な、何故だ!この我が愚かな人の子の下につくというのだぞ!』

 

 とか喚くが気にしない。理由を強いて言うなら、使用用途が見当たらない。

 王都全域を覆えそうな火の鳥をどうやって運用すればいい。 


 障壁はそのまま収縮し、障壁は見えなくなった。

 どこまで小さくなるんだあれ。


 …あれ、なんか凄い眠くなってきたな……あれ、落ちてる。


 なぜか俺は朦朧としだして、落下していることに気付いて俺はそのまま気絶した。  

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ファミレとジェシカは、王都で買い物していた。

 その時丁度、火の鳥が王都上空で確認された。


 「火の鳥だぁああ!!火の鳥がいるぞおおおお!!!」


 という騎士の報告という悲鳴と共に、王都の住民は困惑し、直後悲鳴を上げた。

 人々は慌てて家から出るために、ある家では戸が壊れ、ある家では窓が砕け、ある家では壁が壊れる。


 「あ……あれってチヒロ君!?」 


 人々が逃げ惑っている王都の中で、ファミレは火の鳥を見ようとして跳躍中のチヒロを見つけ、驚愕していた。


 「チヒロ君なんていないから!そんな事より早く逃げるわよ!」


 立ち尽くしているファミレの脇で、ジェシカがそう叫びながら引っ張る。

 

 「そもそも宮廷魔術師さん達が障壁張ってくれてるんだから、こっちに火の鳥なんか来るわけないでしょ!?」

 

 ファミレは、鬱陶しそうにそう叫ぶ。

 その叫び声を聞いた民衆たちは、少しずつ。本当に少しずつだが冷静になっていく。


 そしていつしかファミレの周囲にいた民衆の悲鳴は、チヒロへの声援へと変わっていった。


 それは丁度、チヒロが火の鳥を障壁で包み込んだ頃だった。

 

 「……っえ!?…えぇええ!!??チヒロ君なんて魔力してるの!?普通あのサイズの障壁なんて、私が全力出しても1割張るぐらいしかできないんだけど!?」


 ジェシカがそう叫ぶが、誰の耳にも届かない。 

 誰もが火の鳥の雄大さと、チヒロの圧倒的な強さに見惚れて、視覚以外の感覚を失っていた。

 

 赤い障壁に包まれた火の鳥は、障壁ごと収縮していく。

 

 巨大な火の鳥が段々と小さくなっていく光景に、唖然と、愕然と、毅然と、皆それぞれの反応をしながら、空を見上げる。

 

 そして、目に見えなくなるほど小さくなった障壁と火の鳥と、その隣で平然と立っていチヒロを見て、民衆の内の誰かが呟く。

 

 「勝ったんだ…。」


 と。

 そして、次の瞬間。


 「「「「「「「「「いやぁったあああああああああああ!!!!!!!!!」」」」」」」」


 民衆は歓喜に沸いた。

 それこそ、世界の滅亡から逃れられたかのような大声量で。


 歓喜に湧き上がる民衆の中は、隣にいる人々と嬉しさを分かち合い、興奮を伝え合う。

 だがしかし、ファミレだけは見逃さなかった。チヒロが力尽きて落下している瞬間を。


 ファミレだけは、その瞬間をしっかりと見た。そして、瞬時に理解する。


 「…あんな高さから落ちたら、流石のチヒロ君でも死んじゃう!」


 その叫びは、民衆の歓声にかき消され誰の耳にも入らない。

 どうしようもなく不安な感情に煽られる中、チヒロは障壁に激突した。 

 

 その瞬間をファミレと、ファミレの悲鳴に遅れながら気付いたジェシカは目撃せざるを得なかった。

 思わず2人は目を瞑る。


 止まない歓声の中で恐る恐る目を開け、チヒロがいるであろう場所を見る。


 「嘘……どうして…。」

 

 ファミレが力なくこうつぶやくのも無理はない。

 チヒロは原型を留めるどころか、何事も無く最初からそこで寝ていたかのように、チヒロは障壁の上に倒れていた。


 その光景に驚くのも束の間、障壁が端の方から消えていく。チヒロはその障壁の比較的中央の部分にいる。

 

 障壁が消えていくことに気付いたファミレとジェシカは、すぐさまチヒロの落下地点である王都へと走り出す。

 

 「ちょっとファミレ!走り出したのはもうしょうがないけど、一体どうするのよ!」

 

 冒険者ランクAのジェシカの本気の走りについて行くどころか追い抜いている、ファミレの脚力にジェシカは驚きながらも話しかける。

 まともな答えが返ってくることを信じて。


 「チヒロ君みたいに飛ぶ!」


 ジェシカは耳を疑ったが、ファミレの声のトーンから本気であるということが分かってしまい、困惑する。

 

 「あぁもう!どうなったって知らない!」


 チヒロの落下地点が王城の真上であることと、ファミレが風の魔法を使って浮き出したことに気付いたジェシカが、そう叫ぶと同時に、障壁は全て無くなりチヒロは落下した。


ネタバレは、次回が一週間遅れたらやります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。