二十七話目
どうやらスラム街に着いたようだった。
そのスラム街は、大体高さ1メートルぐらいの木の小屋が乱立している訳なんだが、一つだけ3メートルを超える木の家があった。
木の家の前には門番が2人立っていて、男は顔パスで済ませて家の中に入って行った。
俺は、男の連れとして、門番に怪しまれながらも家の中に入った。
家の中では、先ほどの二人が待ち構えていた。
「か、頭ぁ。そ、そいつは。」
「な、なんでここにいるんですかぁ?」
その二人は、若干顔色が悪いように見える。
「あぁ、こいつから金搾り取るために連れてきたんだ。」
…もうネタバラシしていいよな。
「残念だが、その金の代価はお前らの命だ。」
二人に構って男の目がないうちに、土の剣を取り出してそう言った。
「なっ…?お前…戦えないんじゃ…?」
「頭ぁ!そいつは、さっき言ったやつでさぁ!」
「ほら!だから俺頭に言いたくなかったんだよ!」
「…てめぇ!俺を騙しやがったな!」
「騙される方が悪いんだろうが。」
俺はそう言って、さっくりと男の首を切る。
……今回人殺しをしたのは初めてだったんだが、特に罪悪感が湧かない辺り、この思考もこの世界に慣らされているんだろうか。
特に何も思うことは無く、木の家の中にいた人間全員を殺した。
血の匂いが充満した家の中で、何をするでもなく、何を考えるでもなく、数分ただボーっとした。
何もないところから生まれた考えは、 ……いい加減ギルド行かなきゃだな。という社畜のようなことだった。
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ギルドには、何事も無く着いた。
先ほどの女達に追い掛け回されたのはなんだったのだろうかというほどに、何事も無く着いた。
もしかして俺は幻覚を見ていたのかと思うほどに、何事も無く着いた。
もしかすると、あれは全員俺の後ろにいた人を追いかけていたのではないかと思うほどに、何事も無く着いた。
……しつこいね。
ギルドの扉を開ける。
「…どこに行ってたんだい……?…伝えたい…ことがあるんだけど…。」
と、ルットーが力なく、うつ伏せになりながら聞いてきた。
「ちょっと散歩に。…一体何があったんだ?」
「……話せば長く…なるよ。」
とりあえず、あの女たちの事なのだろうから、ルットーの話を聞き始めた。
「とりあえず…君がこの依頼を……受けたことを、王城に伝えに言ったことから……話し始めるよ……。…だから…その、起こしてくれないか?。」
ルットーは、そう言いながら小さく指さしていて、その先には、怒り顔のファミレがいた。
「出入口を塞ぐつもり?」
「い、いえ。」
ファミレに気圧された俺は、そう言うしかなかった。
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「で、話をまとめると、俺が依頼を受けることを、国王に伝えに行った訳だな?」
ルットーの話は本当に長かったので、長々と聞いて、俺が要約することにした。
「あぁ、そうなるよ。いくら冒険者ギルドでも一応、国の危機だからね。」
「国といっても、たかだか一貴族の範囲だろ?」
「それでも十分なんだよ。この国は狭いから。」
「なるほど。…で、国王に話したら、なんでか貴族の娘たちが俺の所に来ると言い出した。」
「そう。多分、そんなに強い冒険者なら、貴族に嫁がなくても食べていけると考えたんだろうね。」
なんでもこの国では、江戸時代の参勤交代のような制度をとっていて、その際に娘などの家族は、王都で暮らすことになるのだそう。
まぁ、貧乏な辺境の領地で暮らすより、王都で暮らせるほうが幸せってこともあるのだろうし、その辺は江戸時代とで別物だったりするのだろう。
「で、その貴族の娘たちは、俺を一目見るために、冒険者ギルドに来たと。」
「そうそう。ギルドの中がてんやわんやして忙しかったよ。」
本当に何というか、貴族って言うのは周りを考えないな。
というか、戦えるのだろうか?
「で、俺がいなかったから、苦肉の策として、パーティーを開くことになった?」
「…そうなるね。」
「一応聞くが、俺が受けた依頼である、火の鳥討伐って言うのは、国の危機なんだよな?」
「…あぁ、そうだよ。」
「そんな時にパーティーなんて、やっていいのか?」
「………貴族様に逆らったら、こっちの首なんてすぐだからね。」
もうどうしようもないなこの国。
…まぁ貴族だけなんだが。
「…しょうがない。気が向かないけど、パーティーに参加させてもらうよ。」
「…ありがとう。」
「まぁ、さっきも聞いたが、一応もう一度聞くぞ?そのパーティーはいつ開くんだ?」
「3日後だね。」
この国なんて、なるようになればいいんじゃないかな。
「俺知らないぞ?このパーティーが原因で火の鳥討伐が遅れたけど、元々は、お前が冒険者ギルドにいなかったからこの国は無くなる羽目になったんだ!とか言われても知らないぞ?」
「僕も知らないよ。…折角だし、時間つぶしに依頼を受けてくれないか?」
「……ギルドマスター直々とか、嫌な予感がしないんだが。」
当たり、と言わんばかりのいい笑顔で、ルットーはこう言った。
「まぁ、近くのオーガの群れの殲滅だよ。どこかの誰かが、ナイトウルフを全部倒してくれたからね。……元々、ナイトウルフとオーガは、それぞれ数を減らし合ってくれていたというのに。」
「安心しろ。オーガも全部倒してやる。」
俺は、そう言うと早速、オーガ討伐に向かった。
「あぁそうそう、言い忘れてたけど、このオーガ殲滅には貴族の娘さん達も参加するよ。」
嫌な予感は、このことだったのかもしれない。
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