二十三話目
第20話のセランディカ王国の場所を、東から南に変更しました。
細かいですが、一応報告しておきます。
王都の外に出た。
他の冒険者と同時に、王都の外に出た。
もうすでに日は暮れて、辺りは闇に染まっている。
王都からの微かな光もあるのだが、それでも王都の近くでしかなく、50メートルも離れれば辺りは真っ暗で何も見えなくなる。
…見えない。何も見えない。
この状態でどうやって戦えばいいんだ?
ん?目に頼るからいけないのか?
「目、閉じてみるか。」
目を閉じて、集中する。
視覚を遮断して、聴覚に全神経を集中させる。
そよ風が草を揺らす音。
草と草がぶつかる音。
剣によって草が切れる音。
冒険者の怒号。
靴とは違う、何かが草と擦れる音。
俺の周りを囲む、3つの足音。
これだ!
耳を澄ませ。どこまでも小さい音を拾え。
「ハッハッハッ」
聞こえた!ナイトウルフの呼吸が!
さぁ来い!来るなら来い!
………………………………………………。
「来いよぉお!」
なんで来ると思ったら来ないんだよ。
もういっそこの辺を燃やしてしまおうか。
「ガルルルゥァア!」
そう考えていると、ナイトウルフが俺に襲い掛かってきた。
ナイトウルフが、ようやく俺の視界に入った。
それと同時に、視界はスローモーションになる。
危ないところだった。
この狼俺の頭かみ砕こうとしやがった。
あとコンマ数秒遅れてたらもう、俺の頭はこの狼の口の中だったんだろう。
ナイトウルフの開いた口の中に、手を突っ込む。
そして舌を引っ張る。
訂正。
舌を引きちぎる。
そのままナイトウルフの頭を、土の剣で切り落とした。
「ガゥゥァアアッ!」
「グルゥゥラァア!」
すると、血に反応したのか、残り2匹も俺に襲い掛かってきた。
その2匹のナイトウルフの首も切る。
『レベル『レ『レベルが上がりました』
そして頭に響く声。
「ふぅ…一々これだけ集中するのは面倒だ。」
一息ついていると、どこからか女に話しかけられた。
暗いから何も言えたもんじゃない。
「やー、凄いね。流石はドラゴンスレイヤー、初見で夜のナイトウルフと戦えるなんて。」
「…誰だ?というかどこだ?」
「あー、そっかぁ。見えないか。私【暗視】スキル持ってるから、こういう時困るんだよね。私はこの国で活動してる、冒険者ランクAのジェシカ。以後よろしく。」
「よろしく。聞きたいんだが、【暗視】スキルってどんなものなんだ?」
「まぁ、暗いところでも昼間と同じ位に見えるわ。」
「で、俺に何の用だ?」
「ちょっと手を組まない?私、エルフで弓使いなんだけど、ナイトウルフって耳もいいから、弓だと逃げられちゃうのよ。」
「成程。それじゃあ早速、どこにいるか教えてくれ。」
「…囲まれてるわ。12匹に。」
俺のスキルの【神眼】の中に、【暗視】って入って…なかったな。
【鑑定】と【千里眼】だもんな。
…【千里眼】の中に【暗視】ありそうな気がするけど。
まぁ、考えても仕方ない。
目を閉じて、ジェシカの指示を待つ。
「後ろ!」
「ふっ!」
振り返って剣を捌く。
肉を断ち切る感覚が、剣から伝わる。
『レベルが上がりました』
「そのまま回る!」
ジェシカの指示を信じて、忠実に動く。
ナイトウルフの牙を断ち切っている。
『レベルが上がりました』
「ジャンプして剣を下に!」
ナイトウルフを貫いて、地面に剣が刺さる。
『レベルが上がりました』
「その剣を中心にして足を廻す!」
足に、ナイトウルフの頭蓋骨がぶつかる感覚がする。
『レベルが上がりました』
「剣を離して起き上がる!」
起き上がると、背中にナイトウルフがぶつかる。
『レベルが上がりました』
「屈んで剣を抜く!」
腰を下ろすと、頭の上からナイトウルフの吐息が聞こえる。
「剣を抜いたら上に掲げる!」
土の剣が上にいるナイトウルフを切る。
『レベルが上がりました』
「横に動いてから立ち上がる!…はい…お終い。」
ジェシカがそう言ったので、目を開けて確認する。
「!?」
目を開けると、明るかった。
昼間と同じように見える。
なんでだ?
なんて戸惑っていると、ジェシカは話しかけてきた。
ジェシカとの距離は、3メートル程度しか離れていなかった。
「やー、凄かったなぁ。まさか忠実にこなせるなんて。流石だよ。」
「信頼したまでだ。」
「信頼…ねぇ。普通はできないよ?初見で出会った冒険者の言う事なんて。」
「後ろに一匹いるぞ?」
嘘だが、どう出るか。
「え!?嘘!…いないじゃん。」
「お前も普通じゃないな。」
「な、なんで!…あぁ、そういうこと。まぁ、色々あったからね。」
「色々…ねぇ。…話してる場合じゃなさそうだぞ。」
「その通りね。」
俺とジェシカの周りには、大体20匹のナイトウルフが集まって来ていた。
適当にナイトウルフに近づいて、土の剣で頭を切る。
それと同時に聞こえる『レベルが上がりました』を無視して、俺に襲い掛かってくるナイトウルフを切り裂いていく。
繰り返すこと20数回。
ジェシカはただ茫然と俺を見るだけだった。
「あー終わった。ジェシカ、どうする?他の所にはまだいるみたいだが。…ジェシカ?」
「………今の………何?」
「ドラゴンとの戦闘で身に着けたんだ。……もう数えられないほど囲まれてるんだが。」
一息ついただけで、周りにはナイトウルフが30匹以上いた。
「あぁ面倒だ。…ナイトウルフの死体放置したから、こんなに寄って来てるのか。」
本当に、面倒だ。
呆然と突っ立っているだけのジェシカを守りながら、ナイトウルフを切り捨て続けた。
誤字脱字等があれば報告お願いします。
というか、投稿ができなくなるはずです。
どうか、1月20日までお待ちください。




