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二十一話目



 ファミレから出た吐瀉物を、アイテムボックスにしまうことによって場を治めた俺は、また東へと進んだ。


 数時間が経ち、今は夕暮れ時になっている。

 

 と、ここで。

 ファミレが俺のことを叩いた。


 空を歩くのを辞めて、ファミレの話を聞く。


 「どうした?」

 「この真下、多分セランディカ王国よ。」

 「あぁ、言われてみればなんか高い建物が建ってたもんな。よし、入るか。」

 「…まさか、このまま王都の中に入るとか言い出さないわよね?」

 「…ちゃんと門から入るぞ?」

 

 そう言って、適当に王都から離れた草原に降りた。


 「…ファミレ?もう離れていいんだぞ?」

 「分かってるわ。ただ、ちょっと腕が固まってて…。」

 「分かった。…どれくらいかかる?」

 「…分からないわ。」

 「そうか。じゃあ、門このまま通るぞ。」

 「あー!急に腕が軽くなったなー!」


 ファミレはそう言うと、元気よく俺から腕を放した。


 「良かったな。じゃあ行くぞ。」

 「……もうちょっとくらい…。」

 「なんか言ったか?」

 「い、いや!何も言って無いわよ!?」

 「そうか。」

 

 ファミレはなんだかんだ言いながら付いてきて、そのまま何事も無く王都の中に入った。

 

 俺は冒険者なので、入国料とかは取られなかった。


 なぜあの門番さんは、ファミレをみて入国料を支払わなくていいと言ったのか分からない。

 理由を考えつつ、とりあえずギルドに向かった。  


 マセルは王都としか言ってないので、どこに行けばいいのか分からないから仕方ない。



 ザッドの街とそんなに変わらない石畳を歩いて、王都の冒険者ギルドに着いた。

 ギルドの扉を開ける。


 「ぎゃっはっは!おい!ガキが来たぞ!」


 …面倒だ。

 斧を持った大男が、俺を見るなり笑った。


 魔力を数千叩きつけて、あとはもう無視した。

  

 そのあとにファミレが入ってくる。

 適当に、受付に話しかけてみる。

  

 「すまない。指名依頼が入って、ザッドの街のギルドマスターからここに来るように言われたんだが……何か聞いて無いか?」

 「え?あぁ、今ギルドマスターに聞いてきますね。」

 

 受付さん。何?俺の後ろに何かいる?

 なんでそんなに顔を引き攣らせているんだ?


 「おうおうおうおう!綺麗なねぇちゃん引き連れて、良い気になってんじゃねぇぞガキ!」


 …さっきの斧持ちか。

 声は大分怒っているようだ。


 「俺より背がでかいだけってだけで強がってんじゃねぇよ。どうせ冒険者ランクC止まりなんだろ?」

 「ああそうだよ!ランクCで何が悪い!」 


 そう言いながら、男は斧を振り回した。


 視界はスローモーションになる。

 斧の刃を、土の剣で切り裂いて、破片をアイテムボックスにしまう。


 「で?その長い棒で俺をどうしようって?」

 「なっ!?俺の斧が!?…てめぇ!何しやがった!」

 「分からないんじゃ、相手にならない。」


 そう言って、魔力を数万叩きつけて気絶させる。


 「おー、君がチヒロ君か。噂は聞いているよ。まさか本当にこの短時間で来るとはね。」

 

 受付と一緒に、奥からスキンヘッドのおっさんが現れた。

 顔の傷が、昔潜り抜けてきた死線を感じさせる。


 多分あれがギルドマスターなんだろう。


 「まぁ、移動手段が特別だからな。で、依頼の内容はなんだ?わざわざ他国から呼び寄せるって相当だぞ。」

 「最近、手の空いている優秀な冒険者がいないんだよ。ここで話すと面倒なことになるし、奥で話そう。」

 「分かった。」

 

 ギルドにいる他の冒険者から並々ならぬ視線を受けながら、ギルドの奥に移動した。

 


 ギルドの喧騒はどこへやら。ギルドマスターの部屋の中は静かだった。

 ギルドマスター、副ギルドマスター、俺、ファミレが、部屋の中にいる。


 「まずは自己紹介からだな。ここのギルドマスターをやっているルットーっていう。よろしく。」

 「ここのギルドの、副ギルドマスターをやっているトッシュだ。…ギルマス、本当に強いんですかこいつ。」


 若くて金髪のチャラチャラしたのが、副ギルドマスターのようだ。

 もちろん男である。


 あれか、やっぱり俺の背が低いのが原因か。


 「冒険者ランクBのヨシダ・チヒロだ。チヒロと呼んでくれでばいい。」

 「えっと、チヒロ君の専属受付のファミレです。案内でここに来ましたが、一応魔法は使えます。」

 

 自己紹介が終わると、ルットーは仕事モードの顔になった。


 「今回指名依頼させてもらったのは、マセルからの、飛んでいるドラゴンと同じ高さまで跳んだという報告を信用したからだ。この情報に間違いはないか?」

 「あぁ、間違いない。聞きたいんだが、マセルとは知り合いなのか?」

 「そうだね。元々マセルは、ここのギルドの受付だったんだ。……いやぁ、冒険者からの人気が凄くってね。猫耳ってのは、ここらに中々いないから。」

 「そうだったのか。ありがとう。」

 「それじゃあ、依頼内容を説明させてもらうよ。」

 「頼む。」

 

 ルットーは一呼吸おいてから、その内容を発表した。 



 「火の鳥の討伐依頼だ。」



 

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