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十八話目



 ザッドの街に帰ってから、数分程度で、また王都に向かった。


 本当に、朝食も昼食もなしにずっと動きっぱなしだ。 

 


 さて、出発する前にマセルから聞いたところ、王城の前で馬車を用意しているらしい。

  

 今、王城上空約100メートルにいる訳なのだが、馬車一台を二重三重に、全身鎧が取り囲んでいた。

 

 …成程。護衛って言うのは、こういうことか。

 

 

 一応話して説得をするために、地面から5メートル程度まで、高度を下げた。

 

 当然見つかる訳で。

 

 「貴様!今までどこにいた!」 


 国王が一番先に見つけたようだ。


 「ザッドの街…と言っても、信じないだろうがな。」

 「行ける訳ないだろうが!…何をぼさっとしている!とっととこの者を殺せ!」


 すると、全身鎧達が俺に向かって一斉に攻撃を仕掛けようとする。

 が、持っているのは槍なので、俺には一切届かない。

 

 「えぇい!役立たずどもめ!とっととこの者を殺せ!」

 

 何も言わずに、先程と同様、十数万程度の魔力を国王と全身鎧に叩きつける。

  

 するとあっさり気を失い、地面に倒れた。

 

 それらを適当に片付け、馬車の中に入った。

 

 「護衛に来たぞ。」

 「チヒロさん!?」

 「おぉ…あなたが…。」


 アルメリアと、老年の男がいた。

 多分、馬のあれしてくれる人なんだろう。


 「ほら。早くしないと、また誰か来るぞ。」

 「…では、私(わたくし)はこれにて。」


 男は、馬車の中から出て行こうとする。

 …正直、また丸一日馬車ってのも飽きるんだよな。  


 「あー、アルメリアが良ければ、俺が背負っていくぞ。」

 「…じゃあ、チヒロさん。お願いします。」

 「…失礼ですが、歩いて行かれるのですか?」

 「あぁ、空を歩いて行く。…見れば分かるから。そんな変な人を見る目で見ないでくれ。」

 「これは失礼。いきなりそのようなことを言うものですから。」

 「じゃ、アルメリア。しっかり捕まってないと多分落ちるぞ。」

 「は、はい!」

 

 アルメリアは、元気に返事すると、俺の背中に抱き着いた。

  

 「じゃ、口閉じてろよ。」

 「んん!」

 「別に返事はいいんだけどな…。」

 

 そう言いながら、ジャンプした後に、空気を蹴る。


 「どうだ?これでいいか?」

 「は、はい!では、行ってらっしゃいませ!」

 「じゃあ、行くぞ。」


 そう言って、アルメリアを背負って、空を飛んでザッドの街に帰った。

 あまり高く飛ぶと、アルメリアが危ない気がするので、高度としては30メートル程度の所を飛んだ。


 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 ザッドの街の近くの草原に、適当に降りる。


 …あ、俺が武器作った土のところ窪んだままだ。

 なんかゴブリンの死体捨てられてる。…有効活用されてんだな。


 「さて、着いたぞ。」

 

 そう言って、地面にアルメリアを下ろす。


 「…速かったです。」

 「依頼料は?」

 「あぁ、はい。これになります。」

 

 アルメリアは、どこからか王金貨がたくさん入った袋を取り出した。


 「アイテムボックスか?」

 「えぇ。王家は皆持っています。」

 

 アルメリアはそう言うと、ちょっと悲しそうな顔になった。


 「まぁ、俺もアイテムボックスは持ってるから。」

 

 そう言って、アイテムボックスから剣を取り出した。

 それを見たアルメリアは、嬉しそうだった。


 「おー!チヒロじゃねぇか!何やってんだ!」


 後ろから、聞き覚えのある声が聞こえた。


 「お、セネガル。今、護衛の依頼の真っ最中だ。」

 

 セネガル達だった。

 ジャックがなんか荷車引いている。…何かでかいの取ってきたんだろうな。


 「護衛?…てことは、この女の子はどこかのご令嬢か?」

 「あぁ。」 

 「私(わたくし)、デハミッシュ王国第二王女。アルメリア・デハミッシュです。」

 

 言っちゃった。


 「えぇ!?王女!?なんでここに!?」

 「どうやら、この街の領主がドラゴンの被害に合ってしまったようなので。」


 セネガルは当然驚くが、アルメリアは優雅に一礼してそう言った。


 「そ、そういうもんか。…あれ?なんでチヒロはこの人の護衛やってるんだ?」

 「指名依頼が入ったからな。」

 「そういうもんか?」

 「そういうもんだ。」

 「そういうもんなのかなぁ…。」


 納得してくれてよかった。

 

 さて、セネガルはなんか荷物で引っ掛かったようだし、先に行かせてもらうか。


 


 なんやかんやで、街の中に入った。

 

 そういや、俺腹減ってたんだった。


 「ちょっと腹減ってるから、宿で飯食ってくる。依頼も終わったし、あとは好きにしていいぞ。」

 「あ、あの。一応私の護衛なのですから、私の傍にいてくれませんか?」


 そんな上目づかいで見られましても。

 しっかりと依頼は完了したよ?

 

 「え?依頼は終わっただろ?報酬もしっかり貰ったんだが。」

 「ひ、引き続き、護衛の依頼をします!」

 

 焦ったように、目を(><)みたいにしながら、護衛の依頼をしてきた。

 …なんでこんな必死なんだ?まぁ確かに、知らない街に一人でいたら、誰かと一緒に居たくもなるだろうが。

 俺が戸惑っていると、アルメリアは報酬を言ってきた。


 「ほ、報酬は王金貨100枚です!」

 「あのな?使い切れないから。それにな?王金貨1枚でも、なかなか使い切れない。王金貨1枚で、宿に10年以上泊まれるんだからな?それに、そんなに大声で、お金のことを言うと。」

 「お嬢ちゃん。そんなひ弱そうな奴なんかじゃなく、俺に頼みな!俺だったら王金貨10枚でいいぜ!」

 

 スキンヘッドの身長2メートルを超える大男が、急に現れてそう言った。


 「ほら。こんなこと言い出す奴がいるんだって。」

 「あぁ?やんのかチビ!」

 「図体がデカいだけだろ。調子に乗んな。」

 「うるせぇ!」

 

 大男は、斧を取り出して襲い掛かってきた。


 それと同時に視界がスローモーションになった。


 数千程度の魔力を叩きつける。


 すると男はよろけて、腰を地面に落とした。


 「てんめぇ!何をしやがった!」

 「それも分からない奴が、喧嘩売ってくるんじゃねぇよ。」

 「こんのやろぉ!てm


 大男が腰を下ろしたまま何やら言い出して、周りの視線も集まり始めたので、大男の腰の真横の石畳を、思い切り踏みつける。


 バギャン!!という大きい音と共に、石畳が砕ける。


 「やるか?」

 「ひ、ひいいい!!!」


 大男は、斧をおいて逃げ出した。


 …石畳どうしようか。

  

 



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