十七話目
本当にどうしたらいいんだ?
抱き着いてるアルメリアを引き剥がして戦ったら、多分回収されるだろうからな。
というよりも、こんな泣きじゃくってる女の子を、無理矢理引き剥がすほど俺は外道ではない。
「何事だ!城内でなぜ騎士が武器を持っておる!」
俺とダンウェズが睨みあっていると、ジャラジャラとやかましい音を立てる服を着ている老年の男が現れた。
…宰相とかだよな?決して国王とかじゃないよな?
「こっ、国王陛下!」
ダンウェズが、後ずさりするほど驚いた。他の全身鎧も少し唖然としている。
……なぜ国王が。
「アルメリアの姿が中々見えんと思って、まだ部屋の案内を終えていないかと思え……アルメリア!?」
国王は部屋の中に入ってきて、俺と目が合って、その後にアルメリアを見て素で叫んでいた。
数秒経って、正気に戻ったようで。
「誰だ貴様!今すぐアルメリアから離れろ!」
「断る。アルメリア本人が望んでこうしているからな。」
「なんだと!?嘘を吐け!どうせ貴様が脅しているのだろう!今すぐアルメリアから離れろ!そうでないと貴様を殺すぞ!」
「殺す?脅しているのはどっちなのやら。」
「きっさまぁ!!!儂が誰だと思っての狼藉だ!」
「権力で脅すことしかで
「ダンウェズ。やれ。」
国王は、何を言っても無駄だと思ったようで、後ろのダンウェズに命令を下した。
アルメリアは、今は恐怖で俺に抱き着いているようだ。
俺のやることは、相変わらず【威圧】の再現だ。
この場にいる全身鎧と国王に、十数万程度の魔力の叩きつける。
「この辺まで叩きつけると、気絶するのか。…アルメリア、もう大丈夫だから。」
全身鎧も国王も、気を失って倒れた。
ならもう、心配はいらないだろう。
「…大丈夫じゃないですよ。国王陛下を気絶させるなど…前代未聞ですよ?」
涙目で、でも笑顔で。上目づかいで、そんなことをアルメリアは言った。
「まぁまず。第二王女が冒険者に泣きついたことの方が、前代未聞の気がするがな。」
「…そうかもしれませんね。…私はこれから、どうしたら良いのでしょう。もうこんなことをしてしまっては、もうどこにも行けません。」
「好きにしたらいい。俺はずっと、そうしている。」
「…では、貴方についていきます。」
何輝いた笑顔で言ってんだ?涙目のくせになんで笑顔が輝いてるんだ?
ちょっと、いや、本当に何を言っているんだ?
「無理だろ。いろんな意味で無理だろ。」
「私は第二王女なんですよ?なんだってできます。」
あれ?なんか吹っ切れて無い?
ちょっと口調変わってない?
「冒険者って危険なんだぞ?」
「ある程度の戦闘訓練はしてあります。」
「今回みたいに、ドラゴンと戦うかもしれないんだぞ?」
「そう何回もドラゴンは来ません。」
そりゃそうだ。
「ダンジョンにこもりっきりになるかもしれないぞ?」
「貴方がいれば安全です。」
「俺が死んだらどうする?」
「貴方が死ぬような敵がいたら、世界は滅んでいます。」
さすがにそれは大げさだろ。
「…私は、お邪魔なのですか?」
だから上目遣いで言うの辞めてくれません?
可愛いから普通に。負けそうになるから。
「邪魔じゃない。ただ面倒なだけだ。」
空を歩く時に、背負うのは些か面倒だ。
「…なら、仕方ありませんね。諦めましょう。」
「最初からそうしてくれ。」
「代わりに、私はザッドの街に移住します。」
大人しく王都に居ろ。
そう言おうとしたが、先ほどの上目遣いなどではなく、決意を固めた目だった。
「…好きにしたらいい。俺はもう帰る。」
「本当に、好きにしているんですね。」
「あぁ。……そういえば、ザッドの街の領主。ドラゴンに殺されてたぞ。ザッドに来るなら、今の内かもしれないな。」
そう言って、俺は部屋の窓から出て行った。
ドラゴン討伐の報酬?
アルメリアに聞いたところ、なんか爵位らしい。
さっきまでは、一応貰っておこうかと思ったけど、国王があれじゃあ嫌な予感がしたので、逃げさせてもらった。
確かザッドの方向って、こっちだよな。
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馬車で丸一日かかっただけあって、30分程度かかってようやくザッドの街に着いた。。
さて、ギルドに入ったら、ファミレがまた受付から飛び出すのだろうか。
ちょっと気になったので、ギルドに入ってみた。
「ええぇえ!?ちょっと!なんで!王都に行ったんじゃなかったの!?」
予想通り、ファミレは受付から飛び出た。
「あぁ、ちょっと面倒なことになったから帰ってきた。」
「帰ってきた!?王都で面倒ごとを起こしたって、何をしてきたの!」
「……国王陛下気絶させてきた。」
「…私が気絶しそうよ。」
随分と上手い事言うのな。
ファミレは頭を抱えていた。
「何か依頼はあるか?」
「今のところ、近くのゴブリンの群れ討伐くらいしか無いわね。」
「あー、チヒロ君ー。たった今指名依頼が入ったよー。」
「ギルマス!?」
マセルが2階から降りてきていた。
「誰からの指名依頼なんだ?」
「それがー、この国のー、第二王女様なんだよねー。」
若干緊張したような面持ちになっている。
「…………俺以外じゃダメなのか?」
「指名依頼の意味分かってるー?」
くそ。すげぇイラっとした。
「依頼内容は?」
「ここに来るまでの護衛だってさー。なんでも護衛騎士が使い物にならなくなったらしいよー。」
「………報酬は?」
「王金貨200枚だってさー。」
王金貨のままじゃ使い辛いということを分かってくれているのだろうか。
「あー、そろそろドラゴンの死体を提出して欲しいんだけど―。」
「大きいから街の外で、それ相応の人数で解体したほうがいいぞ。」
「りょーかーい。じゃあ酒場の暇な連中こき使ってー。」
「いや、死体出したら王都の方に行くよ。解体はそこの冒険者に任せる。」
「信頼してるねー。」
「何とでも言え、化け猫。」
「酷いなー。だから猫被ってるだけだってー。」
ファミレが驚愕で目を見開いていることを放っておいて、酒場にいる冒険者たちに声をかけて、ドラゴンの解体を任せた。
その間に、王都へと移動した。
飯食ってからにしておけばよかったと、後悔しながら。
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