十六話目
色々やってたら、王都に着いた。
馬車(立派な部屋)を降りると、そこは王城の前だった。
なんというか、門の時点で冒険者ギルドよりも大きい。
「部屋までご案内いたします。」
アルメリアは、俺に一礼した後、普通に王城に入って行った。
さっきまで普通に話してたが、この国の第二王女なんだもんな。
「…やっぱり、住んでる世界が違うんだな。」
俺がそう零した時、先を歩いていたアルメリアの足が少しだけ、止まった。
それに気づいて、声を掛けようとしたが、ダンウェズが余計なことを言った。
「当たり前だ!アルメリア様は、王女であられる!」
「あー、そーだな。わー、嬉しいなー。そんな方に先導させてもらっているなんてー。」
「ようやく気付いたか!」
お前はなんで俺の棒読み加減に気付かないんだ。
アルメリア…心なしか顔が下向いてるような。
そんな違和感を持ちながら、アルメリアの後に続いて歩いた。
数分程度して、着いたようだった。
「着きました。この部屋で待っていてください。謁見の準備が整い次第、お呼びいたします。」
アルメリアは、丁寧な一礼をして立ち去ろうとする。
俺は、それを呼び止めた。
「……なぁ、話があるんだが、部屋の中に入ってくれないか?…ダンウェズはいらない。」
「貴様!我が居ぬ間に、アルメリア様に何かする気であろう!」
やはりというかなんというか、ダンウェズは相変わらずの大きい声を出した。
もうこの際だ。思い切り煽ろう。
「あぁ。何かする気だ。だからお前は要らない。」
俺がそう言い切ると、アルメリアの肩がビクン!と跳ねた。
「貴様!先ほどは馬車の中だから良かったものの、ここがどこだか分かっているのか?!」
「知らないな。鎧を着ないと、侵入者に対応もできないような、ひ弱な人間しか集まっていな所としか知らない。」
「貴様!」
「いい加減にしなさい!」
ダンウェズが逆上したところで、アルメリアが叫んだ。
……普通、こんだけ大声出しておけば使用人の1人でも来そうなところだけどな。
「ダンウェズ!王女として命令します!即刻王城の前で待機していなさい!」
「し、しかし!それではアルメリアさ
「チヒロさんは、その気になれば私たちをいつでも殺せます!」
その通りなんだけどさ?なんかこう、胸に刺さるんですけど。
アルメリアは、ダンウェズの言葉を遮って言った。
「…そう…なのか?」
ダンウェズ?お前、俺に思い切り魔力叩きつけられたこと忘れたか?
「あぁそうだ。いつでも、やろうと思えばやれた。」
「…そうだったのか。」
ダンウェズは、失意の念に駆られたのか、トボトボと今来た道を戻って行った。
「話って、なんですか?」
ダンウェズの後姿を追っていると、アルメリアが不安そうに話しかけてきた。
「まぁ、部屋の中でな。」
そう言って、俺は部屋の中へ入った。
アルメリアは、どうしても不安。といったような足取りで、部屋の中に入ってきた。
部屋の中は、中々値段の高いホテルの部屋。みたいな感じで、ベッドが主なスペースを取っている。
適当な場所に腰掛け、アルメリアには向かい合うように座ってもらった。
「それで…話とは?」
「…そんなに俺と2人きりになるのが怖いのか?」
よく見れば、アルメリアの体中が震えていた。
顔色も少し青い。
「…えぇ。実を言えば。…寝ている時に無理矢理連れてきてしまったのですから、私も無理矢理されてしまっても文句は言えません。…さぁ、どうぞ。」
アルメリアは、諦めたように目を瞑って、両手を広げた。
「一体何を勘違いをしているんだ?俺は最初に言ったろ?話があるって。」
「え?私を無理矢理…するのではなかったのですか?」
…本当に、何を考えているのだろう。
王女に手を出すほど馬鹿では無いのだが。
「なんだ?してほしいのか?俺にその気は無いん
「ち、違います!さぁ、話してください!なんでも話してください!」
急に、アルメリアの顔は赤くなる。
声も大きくなった。…恥ずかしいなら最初からしなければいいのに。
「はぁ…本題に入るぞ。」
「ど、どうぞ。」
「お前、俺がさっき、住んでいる世界が違う、って言ったら、足を止めたろ?」
「…何故、そのようなことを?」
アルメリアの顔色に、赤は無くなり、普通の肌色になった。
いろいろ忙しいな。
「ただ、聞きたかっただけだ。」
「…………。」
アルメリアはただ黙って、俯いているだけだった。
「何故、俺を連れて来た時に、ベッドの横にいたんだ?」
「…………。」
アルメリアは、ワンピースの裾をギュッと握る。
「……何故、今。お前は、泣きそうになっているんだ?」
「泣きそうになど…なっていません。」
なら、何故肩を震わせている。
なら、何故声が鼻声になっている。
何故、零れ落ちた涙を、隠そうとする。
「泣くことぐらい、自由にしたっていいはずだろ?」
「…私は…王女だから…。この国を…守らなきゃだから…。」
アルメリアは、必死に手で涙を拭う。
俺はその手を掴んで、顔を覗き込んだ。
「俺は、王女のお前になんて最初から話しかけてない。最初からずっと、アルメリアとして話しかけてる。…俺の前でくらい、自由に泣いたって許すぞ?」
すると、アルメリアは抑えが効かなくなったように声を出して泣き始めた。
俺に抱き着きながら。
「生まれた時から王女として、ずっと側には誰か一人いました。いて欲しくもないのに、ずっと側には誰かが居ました。わたしには、一緒に話してくれる従者や騎士はいても、一緒に話せる友達はいませんでした。できても、私が王女だと分かると、すぐに離れて行きました。…貴方のベッドの傍にいたのは、仲良く話したかったからです。…友達が…欲しかったからです。」
アルメリアの口から零れてくる言葉に、耳を傾けながら、アルメリアの頭を撫で続けた。
「アルメリア様ぁ!!」
全身鎧が来るまでは。
「貴様ぁああ!!よくもアルメリア様を!」
ダンウェズの後ろにも、全身鎧は何人もいた。
……ここからどうしろと?
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