20賢者②
「英治、一体何をしたんだ?」
「土魔法の応用版。土魔法で鉄のような鉱物が生み出せるなら、他の鉱物だって生み出せるだろ?で、鉱物の中には毒性のある物も少なくない。今回は、鉄の槍をその毒を持つ鉱物でコーティングしたんだ」
「成程……けど、なんか不服そうだな」
「そうだね。本当は、刺さった瞬間に効いて、行動に制限がかかってくれたら良かったんだけど……流石に漫画みたいには行かないね。即効性の麻痺毒とかがあればいいんだけど、そもそも俺が知っている毒性の鉱物自体少ないし」
そう、俺は仮にも優秀な学生で、授業で習ったことはだいたい覚えている。しかし、わざわざ授業で毒のある鉱物の授業などやらないだろう。毒のある物質もある為、実験には最大限の注意をはらうこと、程度の注意しかされない。
「もう少し強力な毒をつくらないと使い物にならない」
「この魔法を使い続けてたら、毒に関するスキルでも獲得出来るんじゃないか?」
「そうかもな」
「じゃあじゃあ、爆発したのは?」
陽花も俺の創った魔法が気になるらしい。
「これは、火魔法との複合だよ。石槍とファイア・ボムのね。これなら、メテオ・ストライクの様に詠唱を必要としないからまだ使いやすい」
「そうじゃん!」
「どうした?陽花」
「鉄槍の生成速度は詠唱でイメージの補完をすれば改善するじゃん!」
「あー、それがさ、毒は、詠唱が思いつかなくて……一応なんとなくで創った詠唱文を使ってみたりはしたんだけど、大した変化はなくてさ」
「成程……詠唱速度は知力のステータスの上昇を待つ感じになるのかな?」
「そうだな。ともかく、これでワイバーンも討伐したし、改めてダンジョンに行く準備を進めよう」
そうして、3日後、火の一族の村に行く準備が整った俺達は、早速村に向けて旅立った。
村までは、5日ほどの道のりの予定だ。
村は、大陸の南端にあるダンジョンに合わせて南端につくられている。その為、国の中で王都から最も離れている場所であり、行くのも一苦労だ。
しかし、最近感じている事だが、この大陸は、前世での知識と照らし合わせると少し……いやだいぶ小さい。東西に広い大陸の中心に位置している王国から、1週間程で西端のドワーフの洞窟まで行けた。つまり、2週間もあれば、大陸を横断出来るのだ。まぁ、この狭さのおかげで大陸の端までの移動が楽なので助かってはいるが。
村に向かうこと4日目。俺達は、少し小さめの砂漠地帯を移動していた。この地帯にはサンドワームというモンスターが生息している。Aランクモンスターであり、地面の中に潜る為、発見が遅れやすく、対処が困難な魔物だ。
俺も定期的に探知のスキルを発動してはいるのだが、魔力も有限な為、四六時中発動する訳にはいかず、警戒を緩めることが出来ないでいた。
まぁ、結局モンスターに遭遇する事は無かったのだが。
火の一族の村に着いたのは、5日目の昼前だった。
火の一族の村に着くと、大勢の村人に歓迎された。
予め村に行くことを伝えていたので、この歓迎は予想していたが、意外だったのは、他の村の村長――つまり賢者が全員いた事だ。更に他の村の村人も揃っている。髪色の濃淡は違えど、赤、青、緑、茶と言った自身の一族の属性をイメージさせる色を持った村人達は、まるでアニメの中に迷い込んだ様な錯覚を覚えさせた。
「よくぞいらっしゃいました。勇者御一行様」
「手厚い歓迎感謝する」
基本的な挨拶を済ませ、今回村に来た要件を伝える。
「……という事で、俺らの戦力強化の為にダンジョンに潜りたい。それと、そちらとの魔法知識の共有もしたいと考えている」
「それは願っても無い。聞くと、エージ様は幾つもの魔法を創造しているとの事。その知識、是非ご伝授願いたい。ダンジョンに関しては、ダンジョンコアの破壊のみ遠慮して頂きますが、それさえ了承して頂けましたらダンジョンへの入場を許可します」
「分かった。感謝する」
会話は基本圭と火の賢者で行う。
「ではまず、私達で最近開発した魔道具についてご覧頂いたい」
「どんな魔道具なんだ?」
「魔法適性を調べる魔道具です。これを使う事で、火、水、風、土、光、闇のどの属性に適性があるのか調べる事が出来ます」
「特殊属性は無理なのか?」
「コストの問題です。ステータスを見れば特殊属性の適性があるかは分かりますから、わざわざそれを調べる機能を追加する必要は無かったのです」
「なるほど……」
「ともかく、これで、より効率良く魔法の特訓が出来ます。皆さんはもう既にある程度ご自身の属性を把握していることは存じておりますが、もしかすると別の属性に適性がある可能性もございます。なので一度ご自身の適性を調べて頂こうかと」
俺達は勧められるがままにその属性を調べる魔道具らしい、無色透明の水晶玉に触れる。




