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19賢者①


「じゃあまずは、炎ダンジョンに行こうと思う。理由は、英治のメイン火力が火魔法だからだ。その為にもまずは、火の一族の村に向かう。辺境の村とはいえ、彼等は国の南側を守っている英治と同じ賢者だ。彼等の了承は必要不可欠だ」


 勇者、賢者、聖女といった職業はとても珍しい。しかし、稀にこの世界にもこの様な特殊な職業に就く者もいる。火、水、土、風の一族の族長は、全員が賢者に就いていて、魔王軍に万が一にも南側から回り込まれて挟み撃ちに合うのを防ぐ役目を担っている。そんな重要な役割を担っている為、貴族としての爵位も貰っている。

 

 因みに聖女もいて、教会に所属している。戦闘能力が余りにも皆無な為、戦場での治癒は危険すぎて出来ないが、戦後に負傷者の治療などをしているらしい。

 勇者もいたのだが、魔王軍との戦いで殉職している。救う者のスキルを持っていない為、四天王クラスと対峙し、奮闘したが、力及ばなかったらしい。


 そんな俺達とは違う意味での英雄である彼等の村は、魔法の研究も進んでいる。


「そうだな。それに、戦力強化の為に魔法知識の共有もしておきたい。この世界で最先端とも言える魔法使いの村だ。それと俺の現代知識を合わせればもっと強い魔法がつくれるかもしれない」

「私の光魔法はあまり成長を望めないかなー?」

「そうだな。光魔法はそもそも使い手が少ないし、治癒と浄化、状態異常回復とかにしか使わないから改良しようとする人自体が少ないからな。期待は薄いだろう」

「というか、光ってなんか不遇だよねー」


 光魔法の一番の見せどころである治癒は、水属性魔法でも代用出来る。光属性の方が回復効果は高いが、水属性の方が適性がある者が多く、その分研究され進化していく。そして、光属性のその他の役割である浄化と状態異常回復だが、そもそも浄化しなくともこの世界のアンデットは、魔法攻撃で倒すことが出来る。圭の属性魔力エンチャントでもそうだ。状態異常に関しては、非常に優秀だが、そもそもこの世界で状態異常は簡単に付与できるものを使う。例えば毒霧を散布して、継続的に毒に侵されるようにしたり、刃物に毒を塗り、斬りつける度に毒が体内に入ったりと、毒で殺すと言うよりは、毒で動きを阻害する使い方が多い。その為、効果は薄くても簡単に状態異常を付与できる方法を使う事が多く、状態異常を回復してもすぐに状態異常にかかるだなんてことも珍しくない。


「そこは、陽花が頑張って改良していくってことで」

「えー、少しは協力してよー」


 俺と陽花も、もちろん圭も、こんな冗談を言い合えるぐらいには打ち解けることが出来た。陽花は、内向的な性格も治りつつあり、順調にコミニケーションをとる事が出来るようになっていた。


 以上の理由で、炎ダンジョンへ行こうという結論に至り、国王に相談していた。そんな時……

 

「国王様、お早めにお伝えしたいことが……」

「なんだ?」


 国王の部下が国王に耳打ちする。すると、国王の顔が少しばかり歪んだ。しかし、そこは国を担う者。すぐさま表情を取り繕い部下に指示を出した。


「どうしたんだ?」

「どうやら、ドラゴンが現れたらしい」

「っ!そいつはどんな奴だ?」


 あの古代龍だった場合、今の俺達の勝ち目は薄い。というか、ほぼ無いと言っても過言では無い。そんな奴と戦うのは自殺行為に他ならない。


「ワイバーンだ。そこまでの強さでは無いが、それでも竜だ。それに数が多い。10に近い数のワイバーンでは、軍では対処出来ない。悪いが、ダンジョンに行くのは、これが終わってからになりそうだ」

「はぁ、仕方ないか。英治、陽花、行くぞ!」

「「了解」」


 ワイバーンは、風属性の竜だ。風魔法での移動を得意とし、飛行速度は、ユニークモンスター等の特殊な事例を考えなければ、竜の中で随一と言える。その反面、戦闘能力は、他の竜より少し劣り、他の竜が自身の属性の魔法を使い攻撃するのに対し、ワイバーンは風属性魔法での攻撃をすることが無い。その為、自信を風魔法で加速させ、鉤爪で攻撃する事が多い。要するに、遠距離攻撃手段を持っていない。


「ワイバーンなら、俺でも戦えるな」

 相手の方から間合いに来てくれるので、圭にとっては竜の中で最も狩りやすいモンスターだ。だが、

「いや、圭はこの前リザード共と戦っただろ?今回は俺にやらせてくれ。考えている魔法が幾つかあるんだ」

「……分かった。それじゃ俺は万が一の為に城壁で待機している」

「私も城壁で待機して、何時でも結界を張れるようにしておくね」

「頼んだ」


 城壁につく。そこでは、既に3体のワイバーンが討伐されていた。


「1、2、3……残り8体か」

「いけるか?」

「まぁ、魔法の試し打ちには丁度いいかな」


 圭と陽花には城壁に待機してもらうよう言ったが、俺も城壁から離れる訳ではない。後衛がわざわざ城壁から離れる必要などないだろう。


「さて…やるか!」


 俺は魔法を発動する。俺の周囲に、だんだんと鉄の槍が現れる。しかし……

 

「遅いな……やっぱり土や石ではなく、鉱物となると難しい。つくるのに……後5秒程か」


 複数の鉄槍を作ろうとしているので余計に時間がかかっている。そんな俺にワイバーンが向かってくる。それを俺は石製の槍で牽制する。石ならばほぼノータイムで発動できるのに、鉄となると、数秒の時間を要する。


「……よしっ!」


 完成した鉄槍を、ワイバーンに向けて放つ。それらは、俺が完璧に操作し、動くワイバーンに確実に当てた。

 一体は、翼を貫かれ地面に落ちた。更に二体は頭、心臓を貫かれ、飛行もままならず墜落、そのまま死んだ。しかし、他5体が残っている。確実に当たってはいるが、急所を外し、生き残ってしまった。


「うーん、生成速度、生成数に問題あり……とっ」


 残ったワイバーンがこちらに襲い掛かる。俺はそれを石の槍を大量に生成し放つ。それはワイバーンに当たると同時に爆発した。


「これの方が効率良いな。それに……」


 そんな時、ワイバーンが突然苦しみ出した。飛行出来ずに墜落し、地面で暴れ出す。次第に動きが弱くなって、やがて動かなくなった。


「毒だと時間がかかりすぎる」

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