21賢者③
俺達は勧められるがままにその属性を調べる魔道具らしい、俺たちは順番に無色透明の水晶玉に触れる。
「成程。ケイ様はどうやら火の属性に適性がある様です。そして、エージ様は火、風、土、闇の4属性、さすが賢者の職に就いているだけはあります。ハルカ様は水、光の2属性。治癒特化ですね」
「「「……」」」
俺達は黙ったままだった。数十秒かそこらの間フリーズした後、俺が聞く。
「……失礼だが、その魔道具の性能は確実なのか?」
「えぇ。少なくとも、私たちの村の住人全員で試したところ、全員がその属性を行使することができました。」
「圭はまだ分かる。魔法職じゃ無いから、魔法の特訓を殆どしていないからな」
実際は魔法に憧れて隠れて少し特訓していたのを知っているのだが、それはあくまで遊び程度。それで魔法を使えるようになっていなくても不思議では無い。
「そして俺の闇属性も分かる。光、闇属性は使い手が少ないから、陽花のように使える可能性が高い場合を除いてまず特訓しようとはしない。けど、俺の風と、陽花の水は分からない。国で推奨されている特訓を一定期間行っている俺たちが、なぜこの属性を使えていない?」
「適性があってもそれはあくまで使えるかどうか。火と土の魔法の方が得意なら、それらを覚えて少ししたらそれらの上達に切り替える。なら漏れが出ても仕方が無いのです。それを防ぐ為にこれを作ったのですから」
魔法を覚えるスピードや、扱える練度には、個人差の他にも属性による差もある。俺が火や土を早く覚えたため、他の属性の特訓をその段階で打ち切ってしまったのも事実だ。
そして、今まで2属性で戦ってきたのにさらに2属性が加われば、戦略の幅は大きく広がる。何より、俺と陽花の2人で全属性を使えるというのが大きい。いかなる状況にも対応出来る。
「じゃあ、やっぱり全てのダンジョンを回って出来る限り強くなった方が良いよな?」
俺が、そう提案する。本来は火と土の2つのダンジョンだけの予定だったが、4属性全てを扱えるとなれば、全てのダンジョンを回ることで、更なる力を手に入れることが出来る。
「そうだな。……よしっ、とりあえず英治は王都の連絡係に念話でこの事を伝えてくれ。村長さん達は俺と今後の日程を確認しましょう。陽花は俺に付いてきてくれ」
「「分かった」」
《……という事で、全てのダンジョンを回ることにしました。そちらで確認の上、承認お願いします。》
《承りました。国の決定が下された後、折り返させていただいます。数日かかる可能性もありますのでご了承ください。》
これで王都に俺らの意思が伝わった。しかし、折り返されるまで時間がかかる。やはり政治云々は面倒臭いのだろう。勇者関連も国からしたら重要な存在で、その扱いにも慎重になる。なので、いきなり遠征を延長されても対応出来ないのは予想できていた。
王都への連絡が終わったら、俺の役目は終わりだ。
(……にしても、ここは本当に魔法使いが多いな)
ここの住人は、8割方魔法職であり、魔法職でなくとも、自身の一族が冠する属性に適性がある者、自身の一族が冠する属性に関するスキルを持っている者がほとんどだ。火の一族の剣士なら、そのほとんどが属性魔力エンチャント(火)の魔法系スキルを持っている。称号の『○の一族』の効果だろう。こういう血統に関するスキルや称号もあるのだ。
そんな事を考えていると、圭達の会議が終わったらしく、村長宅から圭達が出てきた。
「終わったか?」
「ああ、結果として、俺達で当初1週間を予定していた魔法の情報交換期間を、5日に短縮。その後順にダンジョンを攻略する。ダンジョンを1つ攻略する毎に3日の休息を取る。村長達には、俺達のダンジョン攻略中、英治の知識を元に魔法の研究を進めてもらい、俺らのダンジョン攻略毎にその成果の共有。これがこれからの予定だ。ダンジョン攻略の成果物は俺らの強化を優先し、その余りを無償で村長達に提供する。会議の結果としてはこんなところだ」
「分かった。こっちは念話したが、国の許可が下りるには数日かかりそうだ」
「分かった。とりあえず、今日は俺達用の家宅を用意してもらっているから今日は休もう。諸々の件は明日からだ」
「確かに、移動し続けて疲れたかもな」
「訓練や戦闘とは別の疲れ方だよねー」
次の日には、昨日居た村人の半数以上がいなくなっていた。俺達が来るということで他の村からも来ていた村人達だったが、俺達が寝ている間に、村長達とその補佐役以外は自分達の村に帰っていた。村長達は俺との情報交換の後、研究をする為、残っている。




