17聖剣③
ロックリザード&メタルリザードを討伐しに行く前に、圭に聖剣を譲ってもらえることになった。早速使ってくれとの事だ。
という事で、今圭は、聖剣の手入れの方法を教えて貰っている。ただの剣とは違い、アーティファクトなので、それ相応の扱い方がある。
「こんな風に、剣の鍔についている魔石に魔力を込めるんだ。そうする事で、その時の自分に合った形に、そして性能に変化する」
「分かった。やってみる」
圭が魔力を込めると、聖剣が光った。形状が変化するのだろうか?しかし、光が収まっても見た目の変化はなかった。
聖剣(圭オリジナル:スタンダードタイプ)
装備制限
勇者系統職業である事。
特殊効果
全ステータス+100%
スタンダードタイプの場合
スキルレベル+1(特殊スキル等一部スキル除外)
概要説明
選ばれし者のみが扱える剣型アーティファクト。この剣に選ばれる事即ち、人類最強へと至ると同義。魔力を用い、変幻自在の力を解放する。
聖剣の効果は凄まじかった。ステータスが2倍になる効果は、救う者と合わせる事で6倍となり、更にスキルレベルは、後半になるほどあがりにくくなるため、強者同士の戦いになる程、1レベルの差が大きな実力の差となる。更には本人のイメージ次第では更なる強化が望めるであろう性能変化。全てにおいてそこらのアーティファクトとは比べ物にならない。
きっと圭は、俺と陽花とは一線を画す力を手に入れたのだろう。勇者として、魔王を倒すに値する実力を得たのだ。
「凄まじいな…」
圭もその力の大きさに気付き、思わずと言った感じで声を漏らす。
「なぁ、ロックリザードらは山の裏手の坑道にいるんだよな。」
圭がイッテツに問いかける。
「あぁ、そうだ。」
「この剣の性能を試してみたい……」
圭が少しわくわくしている。
「じゃ、早速行くか。」
こういうのは早いに超したことはない。俺は2人に声をかけ、準備を始める。もっとも、今回は圭の試し斬りのみで終わりそうではあるが。
「ここか、ロックリザード達が住み着いている坑道っていうのは。」
「まあ、探知した結果、中にある程度のモンスターが2桁以上いることは間違いないな。」
探知範囲がまだそこまで広くないので、群れの全貌は分からないが、それでも10を超えるモンスターを確認できた。
「で?本当に一人でやるのか?」
「あぁ、今ならできる気がする。」
今回、圭は最初は一人でやってみたいと言った。ロックリザードと、メタルリザードという、斬ることがほぼ不可能な相手にだ。相性が悪いのは圭も理解している。その上で1人でやりたいと申請してきたということは、それほどの力が聖剣にはあるのだろう。
坑道の中を進むと、すぐに5体のロックリザードが現れる。硬い岩の鱗を持つロックリザードは、防御力に優れた魔物だった。ちなみに、魔力とステータスの体力の値によって強化されているので、普通の岩よりも硬い。
しかし、まるで豆腐を切るかのようにすんなりと5体全ての首を斬り落とす。5体全てを、スキルを使用せずに、正確に首を斬り一撃だ。今までの圭ならありえない。それ程までに聖剣の力は凄まじかった。
「おぉ!」
圭が驚く。岩の鱗を斬って刃こぼれひとつ無い聖剣は、輝かしい光沢を放っていた。
その後も、圭の独壇場だった。メタルリザードすらも斬ってしまい、本格的に出番が無かった。
坑道の奥深くまで行くと、そこには、強固な鱗を持った龍がいた。
「な!?ドラゴンだと!」
気が緩みかけていた俺達は即座に戦闘態勢に入る。
「ん?人間か、何用じゃ!」
「え、しゃ、しゃべった?!」
「なんじゃ?喋る龍が珍しいか?」
一応知識としてある程度のモンスターともなれば人の言葉を理解し意思の疎通が可能な種もいるというのは知っていた。
「あ、あぁ。それで?そちらに戦う意思は無いということで良いのか?」
「ん?あぁ、お前ら次第じゃ。」
「俺達は君に敵意は無い。君が人間を害しないのであれば戦うつもりは無い。」
「ならここから立ち去れ、さっさとな」
「わ、分かった。」
俺達は、そのまま坑道から出た。
「圭くん、英治くん、あの龍って放置してもいいのかな?」
「まあ、大丈夫じゃないか?」
「どっちにしろ、戦っても勝てないと思う。おそらくあいつ相手には救う者の効果が出ない。それにあいつ、古代龍だった。」
「「古代龍!?」」
古代龍――魔物の中でもとびきりの強さと高い知能を持ち、人の言語も解することが出来る龍種。その中でも始祖の龍達の力を持って産まれた元祖返りで、高い知能と強大な魔力を持っている。Sランクの魔物でも相手にならないほどの力があり、魔王にも匹敵する実力を持つ。もっとも、救う者の効果が発動しない為、魔王以上の脅威とも言える。
「いつの間に鑑定したんだ?」
「最近はなるべく鑑定する様にしてるんだ。魔力の消費も無いからな。ロックリザードや、メタルリザードの時も鑑定してた。でも、詠唱して気付かれて気分を損ねたら不味いからそれ以上は出来なかった。分かったのは古代龍だということと……1部ステータスが6桁までいってることだ。もしかすると10万ギリギリかも知れないし、99万かもしれない。5桁のステータスもあるから、10万位だと思うけど、警戒するに越したことはない。」
突出したステータスを持つ者は少ない。5桁のステータスがある以上、他もそこまで桁外れな数値ではないだろう。もっとも、それは他のステータスも5桁後半だということでもあるが。
「なるほどな、とりあえず、ドワーフの元へ帰ろう。どうするかはそれから決める」
「「分かった」」




