15聖剣①
あれから1ヶ月と少しが過ぎた。あれ以来、俺達は、モンスターや、魔種との戦いはあったが、四天王や魔王等との戦いは無く、堅実に実力をつけていた。俺達のレベルは、俺と圭が61で、陽花が59だ。陽花と俺達のレベル差が埋まってきた。俺は、アイテムボックスのスキルがレベル5、念話レベル3、炎操作レベル4に上がった。そして、操作系のスキルで分かったことがある。操作系スキルは、土操作なら土、炎操作なら火を操作出来るスキルで、炎を生み出したりは出来ないけれど、それ以外なら意外と万能なスキルだった。例えば、俺が創った土杭なんかは、土操作で更に素早く発動出来た。その分、威力は少し落ちるが、そもそも土杭は、地面から生え、相手に不可避の攻撃をする為に創った物なので、威力の減少は大した問題では無い。詠唱の時間稼ぎに使う、脚を貫き機動力を削ぐ、そういった目的のものだ。炎操作も、本来効果範囲の広い炎魔法を魔力を操作するよりも簡単に精密な射撃が出来るようになった。
圭も成長した。疾走、鎌鼬がレベル3に、身体硬化がレベル5に上がった。
陽花は、解毒、クリティカル、対物理結界、対魔法結界が全てレベル3になった。また、オリジナル魔法も幾つか創っており、射光という、光速の光線を出す魔法を生み出した。ちなみに、光魔法は、回復が専門で、それ以外の魔法は、創ろうとする人自体が居なかったらしい。なので、『ライト』という、光の照明を出す魔法しか光魔法には無い。射光は、一応攻撃能力を有しており、目に当てれば失明ぐらいは運が良ければ出来る。それだけでも、光魔法の常識を塗り替える様な代物だ。
そして、今、俺達は、導きのコンパスというアーティファクトで、聖剣の在処を探していた。
コンパスに魔力を流すと、針が回転し、やがて、停止した。針が指したのは、西北西方面。その方面の大陸の端には、ある程度の規模の鉱山があるという記録があるらしく、ドワーフ達が住んでいてもおかしくないとの事だ。俺達は、早速準備をして、馬車で近くまで向かう。2週間程で鉱山がある場所まで来たが、特に建物らしきものもない。ただ、ここからは、俺の領分だ。探知スキルを発動して、人の気配を探る。鉱山の奥、俺の探知範囲のギリギリに、人の気配があった。
「圭、陽花、人の気配があった。鉱山の中に、数人」
「分かった。念には念を入れて、慎重に行こう」
「「了解!」」
俺達は、鉱山の中へと、足を踏み入れる。松明のようなものはなく、陽花のライトの魔法を頼りに、奥まで進んでいく。そこには、数人のドワーフ達が、採掘作業をしていた。
「すみません、少しいいですか?」
「?!なんだお前達!」
俺達は、近くにいたドワーフに話しかけたが、いきなり、鶴橋を向けられてしまった。
「えっと、俺は、勇者という役職についている、圭と言います」
「そういうことを聞きたいんじゃない。ここにはなんの用で、どのように来た!」
「聖剣を譲っていただくために来ました。」
「聖剣……ああ、あのアーティファクトか」
「はい。俺達は、今、魔王軍と戦っていまして、更なる力を得るために、聖剣が必要なんです」
「……なるほどな。ついてこい」
ドワーフに案内されて、鉱山のさらに深くまでやってくる。ある程度の深さまで来ると、ドワーフが、壁に接している岩を動かした。ある程度のステータスはありそうだ。そして、岩の奥には、鉄の扉があり、その隣に、謎の手型があった。ドワーフの人がその手型に触れると、扉が開いた。
「入れ」
ドワーフの人に言われるがままに、俺達は、その中に入る。扉が閉まると、次第に、何度も感じたことのある浮遊感に呑み込まれた。
「エレベーター……」
「やっぱりそうだよな。なんで、こんなものが。」
「ん?なんじゃ、お主ら、これが気になるか?」
「「「はい!」」」
「これはな、この鉄の箱をロープで吊るして、回転する魔導具を取り付けたんじゃ。ちなみに、その魔導具を作ったのが、このワシで……」
ドワーフの人は、得意気に話し始めた。自分が作った物を語る機会があって、嬉しいのだろうか。
数分の後に、俺達はエレベーターの魔導具から出た。そこには、広大な街があった。木ではなく、石で造られた建物からは、ここの人間の国より幾分か近代的な雰囲気を感じた。
「こっちだ」
ドワーフの人について行くこと数十分、周りの建物の中で一際大きな建物の前に来た。ここの王的な人の家かと思ったが、中からカンカンと言った鉄を打つ音が聞こえるので、鍛冶場のようなものだとわかった。
「親方、客人です」
「ん?分かった。これが終わったら行くから適当にもてなしておれ」
「はあ、分かりました。……ということで、悪いな、待たせることになる」
「いえ、いきなり押しかけたのはこちらなので気にしなくて大丈夫です」
「ちなみに、鍛治が終わるまでだから、おそらく数時間はかかる」
「「「……」」」
長い。
その後数時間後、やっと親方と呼ばれた人はやって来た。




