第66話 『ハヤトの話』
今、ハヤトが今までのことを話そうとしている。
「俺は、アキトを助けようとして、俺も道路に飛び込んだ。
だが、助けることはできずに俺も同じトラックに轢かれてしまったんだ。
だが、アキトと同じで俺もこの世界に転移いてきたんだ。
この世界に来たら、この国にいた。この島に転移してきたんだ。
で、、、ん?ちょっと待てよ」
急にハヤトは喋るを止めて何かを考えるような顔をした。
何か思いついたのだろうか。
この世界に来た理由とか。
てか、ちょっと残念だよな。
この世界に転移してきたのは俺だけかと思っていたんだけどな。
まぁ、現実は異世界系アニメみたいにはいかないよな。
「どうしたんだ?何か思うことがあったのか?」
「いや、、、お前を助けようと思ったのは俺だけじゃないんだ。
あの時、リョウもお前を助けようと道路に飛びこんだはずだ。」
「リョウ、、、って、飯田リョウか?」
俺の思いつくリョウと名前の人間は飯田リョウという人間だ。
俺と一緒にお酒を飲んでいた超頭のいい友達だ。
どのくらい頭がいいのかというと、日本1の大学に主席で合格したほどだ。
でも、あいつも道路に飛び出していたとは驚きだ。
あいつは常に冷静沈着な男だ。
だから、俺が助からないと分かれば絶対に助けに行くような人間ではないと思う。
でも、それだけ愛されていたということかな。わかんないけど。
「ああ。リョウも俺に続いて道路に飛び込んだんだ。
だから、リョウもこの世界に来ているはずだ。アキト、心当たりあるか?」
リョウを見たことはない。
もしかしたら、俺とハヤトとは違い、誰かに助けられなかったのかもしれない。
言葉すらわからないのだから、1人で生きていくことなどできない。
もしかしたら、死んでいるかもしれない。
「いや、それらしき人間にはあっていない」
「そうか」
俺とハヤトが異世界に来るのが8年も違ったから、まだ、リョウも異世界に来ていないかもしれない。
どうしたものか。
リョウをこの大きな世界で探し出すのは難しい。
もし来たとしても死んでしまった可能性が高いだろう。
「いや、すまない。俺とアキトにも転移するのに8年もさがあったからな。まだ、リョウは来ていないかもしれない」
ハヤトも同じことを考えていたようだ。
だって、そうだもんな。
あまり悪い方には考えたくはない。
ポジティブに考えていこう。
「で、話は戻るが、ハヤトはどうやって今まで過ごしてきたんだ?」
「そうだな。俺がこの世界に来たら、この島の海辺に転移したんだ。
そうすると、近くに武士のような人がいて、その人が俺に手を差し伸べてくれたんだ。」
おうおう?俺の時は戦おうとしてきたのに、ハヤトの時は手を差し伸べるのですか?
この差はなんなんですかね?
俺って嫌われ者なんですか?
「俺がこの世界に来たら、なぜだかわからないが、裸でさらには記憶も無くなっていたんだ」
「え!?俺は服もあったし、記憶もちゃんとあったぜ?」
「なに?そんなとこも違うのか、、、」
「てか、記憶は戻ってるんだよな?」
そういうと、ハヤトは罰の悪そうな顔をした。
何かやましいことがある中学生のように。
「まだ、俺の記憶は全部戻りきっていないんだ。
なんとなく、家族のことや、自分はどういう人間なのか、友達のこと思い出すことはできた。
だが、幼少の記憶など覚えていないことが多い。
あと、アキトもわかっていると思うが、この世界に来てから、歳をとっていない」
「はっ、、、」
確かにそうかもしれない。
この異世界に来てから、顔の皺も出てないし、体の成長というものは見られない。
それよか、髪すら伸びていない。
今まで、いっぱいいっぱいで気づかなかったが、俺はどうやら歳をとっていないようだ。
「そう、、、かもしれない。
1つ聞きたいんだが、どうやって記憶を戻したんだ?」
「ああ。助けてもらってから、この国に保護してもらって、衣食住を与えてもらった。
その後、お前らを案内してくれたおじいさんに拳法を習ったんだ。」
「え?案内してくれたって、、、あの老人に?」
確かに、あの老人からは得体の知れない何かを感じ取れた。
こんな素人目でも強いと思わせるような何かを持っているとは感じたが、そういうことだったのか。
「老人って、、、あの人は歴史上初の闘流拳と魔流拳の師範となった男だぞ?」
「そんな、凄い人だったとは、、、知らなかったな」
どのくらい凄いのかはわからないが、相当なのだろう。
歴史上初と言うくらいだからな。
この数万年続いている国での歴史上初は相当なものであろう。
「最初は全くできなかったが、次第に体がみょうに軽くなって、動けるようになったんだ」
ここは俺と同じだろう。
この世界の物を食べて、この世界に順応したのだろう。
「まぁ、その人との稽古中に崖から落とされてな。その時に頭を打ったんだが、その衝撃によって、記憶が少し戻ったんだよ」
「なるほどな。」
そうか。
よくアニメでありがちなやつだな。
普通そんなふうには人間の記憶は戻らない。
『コンコンコン』
「ちょっと、すみません。
その話。私にも聞かせてくれませんか?」
俺とハヤトが話していると、ドアは開いていたため、開いているドアを誰かが叩いたのだ。
ちょっとまずかったな。
こんな異世界で現世の話をするなんて。
しかも、ドアを開けっぱなしにしてしまったのは不注意すぎた。
ただのアホだ。
俺とハヤトはドアのほうをみた。
そこには、黒髪モードのブルハがいた。




