第63話 『謎の老人』
武士が俺らにむかって走ってきている。
走っているところを見てすぐにわかった。
あのロリ魔王の兵士と比べたらザコ同然だ。
俺1人で充分だろう。
「エレナ、俺が相手をする。」
「大丈夫?」
「多分ね」
俺は一歩前に出た。
俺1人だけでこいつらと勝負する。
俺はロリ魔王からもらった拘束輪をつけている右手を出して、詠唱をする。
充分に武士たちとは距離が空いているため、詠唱する時間はある。
魔力を流そうとすると、腕から腕輪にかけて紫色のオーラが出る。
「聖なる糸よ。対象を縛り上げ、我が人形とし我の思うがままにその場に打ち付けろ。俺の視界のものの時を止めろ『拘束』」
詠唱をしてわかった。
この腕輪、、、凄まじい。
約10倍ほどの威力が出る。
言い換えれば、いつもの10分の1で同じ呪術を使うことができるのだ。
この腕輪があれば1級呪術もできることだろう。
1級呪術はどんなものだろうか。
俺の詠唱によって武士全員の筋肉が収縮し、動きが止まった。
顔は無表情だが、目から恐怖を感じているような目をしている気がする。
「別に、武士の皆さんを攻撃しようとか、殺そうとするつもりはありません。」
俺は呪術を解かず、かけたままそう言った。
まだ、こいつらは俺らを疑っていそうだから安心はできない。
「ほっほっほっ。なんじゃ、情けないのう。この国の武士もこんなものかのう。わしは悲しい」
そう声が聞こえてきた。
さっきの武士がいた丘の上だ。
俺はその方向を見た。
そこにはだいぶ年老いた人族の老人がいた。
白髪で顔はシワだらけで腰が丸まっている。
そして、目は『ー』みたいな感じだ。
はっきり言って、ヨボヨボだ。
「俺たちには戦うつもりはありません。不運なことに嵐に巻き込まれてしまいまして、、、」
老人は俺を遠くから見てきた。
少し、目が開いたような気がする。
「そんなことは1目見ればわかることよ。だが、なぜ、うちの武士どもはお主らに戦いを挑んだのか。」
老人は俺を疑うような目つきはせずに、様子を見るように見ていた。
てか、この老人、、、
俺らを見て、すぐに事情を悟ったと言うのか?
さすがは年の功と言ったところか。
「まぁ、良い。わしについてまいれ。
あと、勝手で悪いのだが、武士を自由にしてもらえんか?」
俺は武士にかけた呪術を解いた。
「今のは、なんだったのだ。こんなの初めての経験だ。
どんな術なんだ。和泉国では見たことがない。」
呪術を解くと、武士がそう話していた。
もしかして、呪術を知らないのか?
あるかもしれない。
ここは鎖国していると言っていたしな。
周りの国との関係を経っていたから、外の魔術を知らないのだ。
剣を持って、走ってきたため、剣術はありそうだ。
この国の剣は歯が面裏にあり、みねがない。
しかし、さっき持っていた武士の剣は片方にしか刃がない。
まさに日本刀って感じだ。
きっと剣術とかも違うのだろう。
「これは呪術と言って、呪いをかけるものです」
「ほう、外の世界にはそんなものがあるのか」
武士は少し驚いたような表情をした。
ほんとに呪術の存在を知らなかったようだ。
知らないのに、こんな反則みたいな技をかけられたらびっくりだよな。
そんな会話をして、老人について行った。
老人は何者なのだろうか。
30分ほど歩くと、民家があった。
しかし、その民家に立ち寄ることはなく、そのまま歩いた。
それから1時間ほど歩いた。
そこには城があった。
まさに日本の城だ。見た目は安土城にちかいだろうか。
そんな城があった。
「ここが都である。わしにお主らを助けることはできない。
そのため、お主らを帝に話してみようと思うのじゃ。
帝なら助けてくれるかもしれぬからのう」
また、国のトップと話さなければいけないのか?
俺って、なんか、運が悪いのですかね?
ロリ魔王の件と言い、今回と言い、、、
俺って運が悪いのか。
「わかりました。
では、いきましょう」
俺を含め、エレナ、ブルハ、貴族の護衛をしていた6人。
計9人で城にお邪魔することとなった。
今回こそは戦わずに済ませたい。
俺らは城の敷地内へと入った。
『せい!』
『せい!』
『せい!』
ふと、敷地内から覇気のある声が聞こえてきた。
その声の方向を見ると、100人を超える上半身裸の男たちが空中を殴っていた。
よくある、拳法の基本打ちみたいな感じだ。
「あれはなんですか?」
俺はあの、男たちが気になって、老人に聞いた。
「あれは、この国に古くから伝わる『拳法』の稽古じゃ。
この国には魔流拳と闘流拳がある。
今やってるのは闘流拳じゃな。」
ほう、、、
そんなものがあるのか。
一体どう言うものなのだろうかね。
「魔流拳は自らの魔力を外に出させて、相手を攻撃する。
闘流拳は自らの魔力を内にとどめ、気として纏わせ、人知を超える動きをする。
こんなところかのう」
なるほどな。
要するに、魔流拳は魔術で闘流拳は剣術みたいなもんか。
どちらも武器を使わないというところが違うな。
そう話しているうちに、城内へと入っていった。




