第62話 『和泉国』
「まず、穴を探すぞ」
俺らはできる限り落ちないように気をつけて船の前方を中心に穴を探した。
嵐によって視界は薄暗く周りが見にくい。
さらに、船も揺れているため、まっすぐ歩くことすら難しい。
「あったぞ。ここに大きな穴がある。この岩に当たったからだな。」
そうブルハが言った。
ついさっきまで、黒髪だったのに今では紅髪だ
ちなみに、貴族どもは全くうごかない。
いざって時に動かないのはなんでなんだ。
全く、動きなさいよ。
貴族だからって調子こいてんじゃないぞ?
「よし!僕に任せて。僕がこの穴を塞ぐよ」
エレナは土属性魔術を器用に使って、穴を塞いだ。
火属性魔術ではないので詠唱はしている。
すごく器用なもんだな。
俺も少しは土属性魔術を使うことはできるが、こんなに器用には扱うことはできない。
エレナは土属性魔術で穴を塞ぐためにできるだけ薄く石を形成して貼り付けるように魔術を使った。
俺は土の塊を出して子供が投げるように飛ばすことくらいしかできない。
「よし。これで穴は塞げたな、、と」
ブルハが喋っていると急にブルハは下を向いた。
そうすると髪の毛の色が根本から黒色へと変わっていった。
いきなりだ。
どういう仕組みなのかさっぱりだが、根本から色が変わるのか。
「さて、ここからは水属性魔術で船を進ませましょう。
この穴を土術で塞いでいるだけなので水は染み込んできます。
できるだけ、早く近くの島に行きましょう。
幸運なことに西方向の遠くに島が見えます。そこを目指しましょう」
「了解」
俺とエレナは船の後方にいき水属性魔術で船を進ませる。
俺は水鉄砲程度のものしかないのであまり力にはあまり力にはなっていないが、いないよりはいた方いたほうがいいような気がする。
かの有名なキャラクターも1+1が0より小さくなるとは僕は思わないって言ってたしな。
小さい力でも、ないよりはあった方がいい。
それにしてもエレナはすごいな。
火属性魔術だけかと思いきや、別の属性も魔術も高出力で使ってる。
さすがの三文字だ。
ーーー
そうこうしている間に、近くの島に着いた。
ちなみに、救急ボートに乗った人たちはこの国には来ず、来た道を戻って行った。
この嵐の中、あんなボートで走行するのは得策ではない。
すぐに沈んでしまったことだろう。
視界が悪く、すぐに見えなくなってしまったため、わからないが。
「おい。ここはどこなんだ!」
「俺らもわかりませんが、ここに来るしかなかったですよ」
「なんだと。お前、偉そうだな。この私を誰だと思っている。
かのソラティアの四貴族が1人、オーベール家の党首、コルマット・オーベールぞ!」
かのって、、、
どこだよ。俺はそんな国は知らない。
オーベール家?そんなものは聞いたことないさ。
「すみません。わかりませんね。
ここはそれぞれの意地を張るよりも手を取り合う方が大切だとおもいますが」
そう言うと、貴族は顔を伏せた。
貴族も協力しなければならないって思っているのだろう。
案外、アホなのではないのかもしれない。
が、それは1人だけだ。
残りの2人は終始手伝ってくれるような雰囲気は感じない。
この2人は話しても無駄だろう。
どうせ、たいした力になってくれないだろうしな。
『フュン!』
いきなり、海の反対側、俺らの背から何かが飛んできた。
『フュン!フュン!』
また、どこからか何かが飛んできた。
「うぅ、、、」
俺はうめき声が聞こえ、その声の方向を見た。
そこには、心臓らへんに矢が刺さっている貴族3人がいた。
「おい、、、なんだ、、、、、、これ、、、は、、、」
「おい、、、お前ら、これをどうに、、、、」
3人が倒れた。
なんだ、、、、何が起きているんだ。
この矢はなんだ。
どこから、、、誰が、、、こんなことをしたんだ。
「貴様らのリーダーを打ち倒したり!
貴様らここに何しにきたのだ!」
自分の後ろからそんな声が聞こえてきた。
人語だ。
誰かが叫んでいるのだ。
てか、リーダー?この貴族どもがか?
あぁ、服装を見て判断したのだろう。
俺らはこの貴族たちを守るための護衛に見えたに違いない。
あと、本当の護衛が少し笑みを見せているのはなぜだろうか。
何か闇を感じてしまうな。
俺は声の方向を見た。
そこには、日本の戦国時代のような甲冑を着込んだ武士のような人たちが丘の上にいた。
どうやら、こいつらが矢をいったそうだ。
「俺らは船の事故により、この島に緊急的に立ち寄っただけです」
「なんだと?」
そう俺が言うと、武士たちはお互いの顔を見合った。
そして、再び俺らの方向を見た。
「拙者たちの国は現在、鎖国中である。
そのため、多くの船はこの国を数キロ離れて走行する決まりとなっている。
この国に緊急的に立ち寄ると言うことは信じられない。」
そう言った後、武士たちは丘を降りてきた。
剣を抜いている。
なるほどな。
信じられないから殺してしまえってことか。
魔王の件もあるけど、最近、ほんとに面倒事が多い。
「拙者たちの国、和泉国に侵入したこと、万死に値する!」
この島国は和泉国と言うのか。
そう言って、武士たちは俺らに向かって走ってきた。
またか、、、またこの展開かよ。
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