第52話 『ロリ魔王の兵士』
ロリ魔王は俺らを捕らえるつもりで兵に呼びかけた。
剣を持った兵は剣を抜き俺らに飛び込んできて、
後ろの方で、魔術兵たちが詠唱をし始めた。
どうやら、本気で俺らをやるつもりなのだろうか。
「どうする?エレナ」
「戦うしかないでしょ」
俺とエレナは杖を構えて、兵士たちと戦うことにした。
「おい黒髪。俺の力は必要か?」
何言ってんだこいつは。
こいつ、戦えるのだろうか。
「お前、どんだけ強い?」
「俺自体はカス同然ですよ。
でも、この場をくぐり抜ける策が俺には思いついている。」
なんだって?
このピンチをくぐり抜ける策がある?
なんの冗談だ?
こんな危機をくぐり抜ける策なんてないだろうに。
「お前らは俺の頭脳が欲しくて、助けてくれたんだろ?
じゃあ、俺の第二人格が考えた策を教えてやってもいい」
なんでこいつは上から目線なんだ?
今、俺とこいつでは俺の方が上であるはずだ。
だって、助けてあげたんだから。
え?そうだよね?
「エレナ、、、どうする?」
「少年を信用しよう。
これで、信用できるかわかるし。
どのくらいの頭があるのか気になるし」
エレナはそう考えるのか。
くそ、、、どうしようか。
そうこう話しているうちに、俺の間合いの中に兵士が入ってきた。
くそ、判断が遅れた。
やるしかない。
どうする。
5級呪術しか無詠唱で唱えられない。
しかし、5級呪術は1人にしか、かけられない。
「『火壁』」
そうこう考えていると、エレナが俺の1メートル前ほどに高さ30メートルほどの火の壁を発生させた。
3級火属性魔術だ。
その壁によって、兵士の足は止まった。
「魔術兵たちよ。
兵士たちを風魔術で浮かせて、壁をこさせろ」
魔術兵が風属性魔術を詠唱し始める。
ロリ魔王がそんなことを言った。
なるほど、壁をこさせようと、、、
「これで10秒は時間できた。
少年、君の考えた策を簡潔に説明して」
そういうと、ブルハはニヤリと笑った。
「あえて、捕まりましょう」
この気配は、、、
黒髪だ。
現在、ブルハの髪の色が黒へと変わっている。
きっと、第2人格へと変わったのだろう。
だからこそ、敬語へとなったのだ。
「エレナ、、、本当に捕まっていいと思う?」
「わからない。
けど、僕らなら、こんな国の牢屋なんて簡単に抜け出せる。」
確かにその通りだ。
エレナは簡単に鉄格子を溶かせるし、監視も簡単に掻い潜ることはできるだろう。
「わかった。少年の策にのろう。
今から、俺らは捕まる。」
この少年が何を考えているのか、俺には全くわからないが。
今は、こう少年を信じることしかできないの確かだ。
「よし。わざと捕まるんだね。」
よし、策は練った。
この少年を信じて、この後動く。
この結果によって、この少年を信じられるかがわかる。
信じられないと判断された時は、どうやって、エレナとラクガンに謝ればいいのだろうかね。
大丈夫だ。
そんなことは後に考えればいい。
「よし、壁を吹き飛ばすよ」
この壁を作ってから策を聞くまでに、約10秒ほど。
火の壁から、兵士たちの頭が見えてきている。
「ふぁ!!」
エレナがうまいこと、火の壁を破裂させて、壁を登ろうとした兵士たちを吹き飛ばした。
中には火だるまになっている兵士もいる。
大丈夫だ。
この世界の治癒魔術は万能だ。
火傷も跡もなく治してくれるだろう。
何も心配することはない。
てか、このくらいの気持ちでなければ、この世界は生きていけないのだ。
異世界に来たのなら、できるだけ、残酷に。
それでも、優しさは捨てずに。
火の壁を吹き飛ばすと、ロリ魔王がこっちを見ていた。
「まんまとはまってしまったな。
最初から、火の壁に引きつけてから、吹き飛ばして、攻撃するつもりだったのか。
さすがじゃ!見事じゃ」
ロリ魔王は俺らを褒めてくれた。
随分余裕そうだね。
ロリ魔王は勝ちを確信しているんだろう。
ロリ魔王はまだ、ロリ魔王の両翼、親衛隊、ロリ魔王自身が攻めてきていない。
高みの見物だ。
捕まるとしても、最初から捕まってしまっては、怪しまれてしまう。
だからこそ、全力で反抗するように見せるのだ。
これからは演技だ。
エレナだけね。
俺は本気でやっても叶わないのだから。
仕方がない。
本気で呪術を使わせてもらおう。
「エレナ、俺が呪術を唱える時間を作ってくれ。」
「了解」
ちなみに、エレナも余裕そうだ。
エレナの全力を見たことはないが、エレナは1人だけであるならば、こんなのピンチに入らないのだろう。
そのくらいの火力を持っている。
この城を吹き飛ばすくらいの火力はありそうだ。
「さぁ!兵士さんたち!かかっておいで。僕が相手をするよ」
エレナは無数の火の玉を掌からだし、音速を超えるようなスピードで鉄砲のように飛ばす。
あんなん食らったらひとたまりもないな。
というか、あたった兵士の装備があたった部分から溶けている。
なんて、火力だよ。
鉄を一瞬で溶かす温度って、、、、
普通に恐ろしい。
だが、エレナのおかげで、時間はできた。
「聖なる糸よ。対象を縛り上げ、我が人形とし我の思うがままにその場に打ち付けろ。俺の視界のものの時を止めろ『拘束』」
俺の呪術によって、兵士全員の動きが止まった。
兵士以外の強そうな人たちは、俺の呪術に反発し簡単に解いた。
残りはロリ魔王、両翼、親衛隊の総勢13人だ。
よし、これによって、大半は戦闘不能になった。
「どういうことだ。
妾より、あの男の方が強いというのか。
等級が妾より高いというのか、、、」
そういえば、俺、等級を測っていないだよな。
どんなもんなんだろうか。
俺の呪術が特別性と言うわけで、等級が高いわけではないからな。
そんなことはあとだ。
「まぁ、妾たちなら簡単に解けるから、考えんでもよかろう
しかし、不甲斐ないのう。こんな魔力量の呪術によって、動けなくなるとは。
妾の兵士も随分と質が落ちたもんじゃ」
そう、俺は最小限の魔力しか使わずに呪術を使った。
そのため、簡単に解けるのだ。
わざと、4級呪術の必要魔力の数十倍の魔力を使って、解きにくくできたが、それではダメだ。
このあと、わざと捕まるのだから、この後のことを考えて、魔力は温存しておいた方がいい。
「では、次じゃ。行け!親衛隊よ!」
次は親衛隊が相手だそうだ。
「キャリデナ様。ここはあの呪術師を先にやるのが先決かと。
私の呪術で片付けましょう。」
ムーンが持っている杖を構える。
俺に呪術をかけてくるみたいだ。
てか、あの杖かっこいいなぁ。
木の本来の色を基調としていて、魔石も木の色に合っている。
シンプルな見た目だ。
「闇の力によって聞こえざる痛み、感じざる不安、神経を閉ざし、静寂へと導け『閉』」
これは2級呪術だ。
この呪術にかかれば、五感全てが消える。
だが、対象は1人。俺だけだ。
まずい、、、
「・・・」
「・・・」
「・・・」
沈黙が流れる。
何も起きていない。
どう言うことだ?




