第48話 『罪は罪』
少年がかたり出した。
「俺の家は貧乏だった。
父は冒険者だから、この国にいない。
母も男を追っかけてばっか。
いつも、俺1人で生きている。
いや、生きていたんだ」
何やら重い話だ。
元の世界でも親に捨てられた子供の話はよく耳にしていた。
親は子供を捨てちゃいけない。
そんなことは地球ができた日より前から決まっていることだ。
親は子供を愛さなければならない。
自然と愛してしまうものだ。
でも、この子は親の愛を感じることができなかったんだ。
親の愛を感じれなかった子供は非行に走る。
人に迷惑をかけてしまう人間になる。
この子も耐えているのだろう。
誰からも愛されず、愛すこともできず。
人間不信で、、、
「待て」
ロリ魔王が話を遮った。
少年も驚いている。
「まず、貴様の名前を妾に名乗れ」
当然だ。
自分の名前を相手に伝えるのは当たり前のことだ。
社会に出たらやって当然だ。
「すみません。
俺の名前はブルハジャークと申します」
ブルハジャーク、、、、
ブルハと呼ぼう。
「話を戻します。
俺にもう1人の俺が出てきて、俺は1人じゃなくなった。
それが、第2人格と呼ばれるものなのか俺にはわからない。
でも、俺に話し相手ができたんだ」
俺を含めて、ブルハ以外は怪しがっているような、よくわかっていないような顔をした。
つまり、第2人格が現れて、話すようになったと。
友達ができたと。
寂しくなくなったわけだ。
「もう1人の俺はとても頭が良くて、いつも俺を助けてくれたんだ。
そいつは『自分には体がない』と言っていたが、
俺の体はそいつと俺とで文字通り一心同体だ。
だから、最近はあいつにも体を貸すようになった。
あいつが考えたことは全てうまくいく。
こんな俺なんかが、魔王城に盗みに入れるくらいに。
俺は強くなったと思った。」
なるほどな。
そいつの知恵をもらって、魔王城に盗みに入ったのか。
もう、ブルハはその第2人格に頼りきっているようだ。
「ほう、、、なるほどな。
第2人格の〜。
妾には関係ないことじゃな。
この場で大事なのは、どの体がやったかだ。
誰の知恵でやったのか、そんなものはこの場では関係ない。
しかし、妾はその第2人格というものに興味が湧いた。
妾に会わせられるか?」
ロリ魔王は興味を持ったそうだ。
しかし、顔を見る限り、だるそうだ。
「少し待ってください」
ブルハは目を瞑った。
そして、ブルハは少し俯く。
そのまま、20秒ほど、俯き、ゆっくりと、髪色が紅色から黒へと変わる。
あ、、、あれは、俺の前で見せた姿だ。
あれは、第2人格だったのか
「おまたせしました。
私はこの体の第2人格です。
呼ばれたそうなので、やってまいりました。」
全然さっきと雰囲気が違う。
さっきまでは、子供と対峙いていた。
しかし、今は不意義な感覚だ。
さっきより、威圧感や落ち着きはある。
しかし、敵意はまったく感じないし、俺もまったく、嫌な感じがしない。
むしろ、暖かみを感じるくらいだ。
「ほうほう。
なるほどのぅ。
お前が第2人格か。
先ほどまでとは、まるで違う雰囲気だ」
魔王は上から見るように、ブルハを見た。
少し口角が上がったようにも見える。
興味を持っていることは確かなようだ。
「それで、お前は賢いそうだな。
お前だったら、このピンチ、どう切り抜けるんだ?」
ロリ魔王が煽るようにブルハの第2人格に話しかける。
ブルハの第2人格は焦る様子もない。
ずっと、冷静だ。
「ふっ。私にとってはこんなのピンチに入りませんよ」
ロリ魔王が怪しげな表情を作る。
「そうか、そうか。妾から逃げきれるというのか。なーはっはっ」
ロリ魔王は大きな声で笑った。
笑い終わると、椅子から立ち上がり、ブルハの目の前まで飛び、ブルハの顔のスレスレで拳を止めた。
それを、ブルハはもどおじせず、避けることもなかった。
「ほう?今のを避けぬとは、、、」
ロリ魔王はスタッと着地して、ブルハの前に立った。
「なぜ、避けなかった?」
「殺気を感じなかったからです」
おお、、、
あれが強者のみにあたえられた言葉か。
俺も将来是非行ってみたい。
「そうか。なーはっはっ。
面白いやつよのぅ。」
ロリ魔王は踵を返して、もう1度、玉座に座った。
「妾は貴様ら、黒髪2人を気に入ったぞ。
ルシアンも見る感じ、そんなには飲まれておらぬ。
妾は寛大な魔王様だ。
貴様らを許してやろう。」
え、、、?
ということは、、、!
やっと、、、自由に!
解放?
やったー。
「じゃが、罪は罪、罰を与えねばならない。
おい、そこの二重人格よ。
50年だ。
たった、50年で釈放しよう」
「えぇ!?」
50年も!?
『たった』って言わなかったか?
何が『たった』だ。
俺らにとっては50年『も』だ。
確かに、魔王になるような魔族は寿命がとても長い。
数千年生きる魔族もいる。
しかし、みんながみんなそうではない。
可哀想じゃないか。
人生の半分以上を牢屋で暮らすなんて。
「どうした?」
俺の驚いた声に反応して、ロリ魔王が聞いてきた。
「そんな、50年は長すぎるなと思いまして。」
「なんじゃ?妾に口を出すのか?
50年なんぞ、すぐにすぎるわ。
さらに、妾がこの者を気に入っているとしても、罪は罪だ。
罰せなければ、国は統治できなからろう。
さらに、これでもかなり刑を軽くしておる」
確かにその通りだ。
でも、俺からみたら可哀想なんだ。
「そう、、、ですか」
「おい、サン、ムーン。連れていけ。」
『ハッ!』
ブルハは連れて行かれた。
俺はそれを片目で見ることしかできなかった。




