第45話 『少年の謎』
俺の前にルシアンと思われるお酒を持っている少年がいる。
赤い髪の毛でわりと整った顔をした少年だ。
よくアニメに出てくる元気いっぱいの少年って感じだ。
赤い髪の毛というより、濃い赤かな。黒よりの赤だ。
そう、黒に見間違えてもおかしくない。
こう、明るいところだと、しっかりと赤に見えるが、
薄暗いと、黒に見えてもおかしくはない。
まぁ、そんな少年が俺の前に1人で座って、酒を瓶に口をつけて飲んできる。
「で?君はどこの誰なんですか?
そのお酒はどこで手に入れたのですか?」
そう言うと、少年は俺のことを睨んできた。
「俺が誰かだって?
なんで、お前なんかに、答えなきゃいけないんだ。」
予想通りの返答だ。
この子はアレだな。
この世界のヤンキーというやつなのだろう。
まったく、親の顔が見てみたいぜ。
「てか、お前、黒髪だな」
なんだ?
俺の黒髪になんか文句があるのか?
「黒髪がなんか問題でも?」
「いや?珍しいなと思ってよ」
なんだ。そんだけか。
「そうか。もう一度聞くよ?
そのお酒はどこから手に入れたのですか?」
また、俺を睨んできた。
答えたくないアピールだ。
「そのお酒は城の宝物庫にあったものではないのですか?」
少年は俺を睨むのではなく、驚いたような、
芯をつかれたような、表情をした。
「おっ、、、俺は、、、この酒を、、、、」
焦っている。
そうか、こいつか。
なるほどな。
こいつが犯人だ。
なんと、わかりやすい。
そうとわかれば、かまをかけてやろう。
「図星か?」
さらに焦った顔をした。
「この酒は、、、、そう!もらったんだ」
「ほう?誰から?」
嘘というものはすぐにわかる。
少し、足もとをすくえば、すぐにボロが出るからな。
「え、、と、、、、、」
少年の目が泳いでいる。
これは確信犯だな。
俺が真犯人を見つけたと、舞い上がっていると、
俺の前にいる少年の髪色が濃い赤から真っ黒な髪色になるように見えた。
ん?
髪が黒色に、、、、
あれ?
赤色じゃなかったけか?
目の錯覚だったか。
今じゃ、真っ黒だ。
いたな。
こんなところに黒髪の男が。
「あれ?髪色、、、赤色じゃなかったっけ?」
「ん?見間違えてたのではないでしょうか?」
ん?何か違和感がある。
急に雰囲気が変わった。
なんだ?
「あ、、、このお酒の入手口でしたね。」
「あ、、、ああ」
なんだろうか?
さっきの髪色の変化と、急に雰囲気が変わったこと。
なんだろうか、この変な感覚は、、、
「私は、このお酒は先ほども言った通り、もらったんですよ」
「誰からですか?」
なんなんだ。
この違和感は。
さっきは、すごい気が動転していたのに、
いきなり、髪色が変わって、落ち着いた。
「これはある酒屋の店主からもらったんですよ」
「それはいつ、どこで、なんという酒屋ですか?」
俺は詰める。
詰めればボロが出ると思ったからだ。
「半月ほど前に、『スパンスルピース』という酒屋で譲ってもらいました」
やっと、わかった。
この違和感。
こいつ、急に敬語になった。
さっきまで、俺に強い口調で聞きていたのに、
いきなり、下手に出るようになってきた。
この急な変化に俺は違和感を感じているんだ。
変わったやつというか、謎だ。
謎の少年だ。
何か、秘密があるんだろう。
俺の感がそう言ってる。
そして、俺の質問にすらすらと答えてくる。
このまま、連れて行っても、口は割らないだろう。
だが、さっきの焦っていた赤髪の少年を見る限り、
こいつが犯人だ。
二重人格というやつなのだろうか。
「実は、この国の魔王城の宝物庫からルシアンという黒いお酒が盗まれました。
そのお酒はルシアンですね?」
「そうなのですか?
もしそうだとしても、私は犯人ではないですよ」
こいつ、なんだろうか。
さっきから、よくわからん。
「でも、その手に持っているお酒は王城にあったものです。
返しに行きませんか?
返さなければ、きっと、お互いにもデメリットがあると思いますよ」
「私が疑われているというのであれば、私にデメリットがあるのはわかります。
しかし、なんで、あなたにデメリットがあるのですか?」
「今、俺が疑われているので」
そういうと、少し、少年の口角が上がった気がした。
こいつ、、、
絶対、俺になすりつけようって考えてるよな。
クソみたいなやつだな。
「まぁ、とりあえず。俺と一緒についてきてくれませんか?」
「ふふふ。あんたは私が犯人だと思っているのですね。
だが、それこそ、私にメリットのある話じゃない。
私は、ひっそりと生きて行きたいんですよ。
そもおも、城に入り込んで、酒を盗むようなことはいていませんしね」
しらを切り通すつもりか。
そっちが、そのつもりならいいだろう。
無理矢理にでも連れて行ってやる。
「俺はですね。君が犯人だと思っているんですよ。
俺についてきてもらっていいですか?」
「だから、なんで私がついていく必要があるですか?
私が行っても、何にもありませんよっ!」
そう言って、少年は俺にお酒の瓶を投げ、反対方向へ逃げた。
痺れを切らしたのだろうか。
やましいことがあるから、逃げるんだ。
なければ、ついてきても問題はない。
俺はあいつを連行する。
「『束縛』」
俺は、少年を5級呪術で捕らえた。
少年は体の自由が奪われ倒れた。
そのまま、俺は少年を肩に担ぎ、王城まで連れて行った。




