第43話 『情報収集②』
「では、外を見にいってもいいでしょうか?」
「ああ。」
「いいぞ」
サンとムーンは2つ返事だった。
『2つ返事』という言葉通り、サンが『ああ』と言い、
ムーンが『いいぞ』と、順番に言った。
「当然、兵をつける。
貴様ら、逃げようとは思うなよ」
なんとも失礼な。
俺が、逃げようとしているように見えるか?
本気で、真犯人を見つけようとしている。
変に疑ってほしくない。
ーーー
ということで、現在、城の外にいる。
「ラクガンさん、匂いで分かったりしませんか?」
「わからん。
さすがに、知らんやつの匂いなんて知らないからな」
くそう。
この前の依頼で大活躍だった、ラクガンの鼻は使い物にならないのか。
仕方がない。
今は、とにかく、歩いている。
特には当てもない。
当てがあるはずもない。
そういえば、黒いお酒だっけか?
どんなお酒なんだろうか。
ちょっと、酒屋にでも寄ってみるか。
「ちょっと、酒屋に寄ってみてもいいですか?」
「あぁ」
「僕もいいよ〜」
よし、ここから1番近い酒場はっと、、、
いや、俺はこの国の立地なんて知らないよ。
てか、俺のもとには便利なやつがいるじゃないか。
そう、俺らに着いてきた、兵士だ。
「すみません。兵士さん」
「は、はい?」
「この国一の酒屋まで、案内してくれませんか?」
「承知しました」
俺らは、兵士に連れられて、この国一の酒屋まで行った。
しかし、この酒場まで行くのに、数時間かかった。
酒屋が、城のある王都の隣の街だからだ。
兵士は時間がかかることを気にして、城から、どう見てもカメレオンにしか見えない、この国で馬のように使われている生き物を連れてきてくれた。
そのおかげで、だいぶ速く移動することはできたが。
ちなみに、このカメレオン、とてもデカい。
どのくらいかというと、3メートルあるラクガンと、その他3人を楽々に乗せられるほどだ。
すごいなぁ。
デザーム大陸の乗り物も、アース大陸と比べ物にならない。
しかし、乗りごごちは最悪だった。
カメレオンは動く時に、くねくねしながら走る。
そのため、ずっと、左右に揺られるのだ。
カメレオン酔いを起こしてしまう。
兵士の案内してくれた酒屋はこじんまりしたところだった。
田舎にひっそりとある酒屋だといえば、思い浮かぶだろう。
人の気配はない。
店員すらいないんじゃないかと思えるほどに。
「兵士さん。本当に、ここが国1番の酒屋ですか?」
「はい。そのはずです。
取り扱ってる酒の種類はここが1番です。」
「そう、、ですか」
信じられない。
これが国1番?
「すみません。今やってますか?」
俺は暖簾を右手で軽くあげ、中に誰かいないか確認する。
「はぁぁぁいぃぃ」
奥から、魔族の老婆が出てきた。
「なんだい?客かい?珍しいねぇ」
おお。似合うな。
このこじんまりした酒屋に似合う。
こういう婆さんが安心するってもんだ。
って感じの婆さんだ。
「ちょっと、お聞きしたいことがありまして」
「ほう、聞きたいこと?」
婆さんは腰を曲げて、喋っている。
ヨボヨボだ。
何歳なんだろうか。
「ここに黒いお酒はありますか?
名前は『ルシアン』」
「ん、、、ルシアンねぇ。
知ってるよ。でもね、ここにはないよ。」
おお!
この人はルシアンを知ってるのか。
でも、ここにはないのか。
ロリ魔王が盗まれて怒るほどだからな。
「それは貴重なお酒だからですか?」
「うん、、、そうだねぇ。
貴重だねぇ。
わたしゃ、200年ほど生きているが、空き瓶を見たことがある程度だよ。
きっと、相当うまいんだろうね」
『ゴクリ』
相当うまい。
200年あっても飲めなほどのお酒、、、
飲みたい。
気になりすぎる。
いやいや、そんことを考えている場合じゃない。
犯人探しが先だ。
まったく、犯人はどこにいるのやら。
「じゃあ、空き瓶はどんな見た目なんですか?」
「あぁ。今、あるよ。」
「え?」
なんだって?
空き瓶が今ある?
そうか、高価なお酒だから、空瓶だけでもと思って、持っているのか。
「見せてもらえますか?」
「ああ。そこの棚の1番上のやつだよ」
俺は婆さんが指を刺した先を見た。
なるほど、、、
真っ黒な便で、ワインボトルほどの大きさで、ダイヤ型のラベルが貼ってあるのか。
「ありがとうございます」
確かに、国1番かもしれない。
いい情報が得られた。
「よし。戻りましょう。」
「待て、匂いだけ嗅いでいく」
ラクガンはルシアンの空き瓶の匂いを嗅いだ。
「よし。覚えた」
ラクガンはルシアンの匂いを覚えて、カメレオンに乗った。
「では、行きましょう。」
俺らは、巨大カメレオンに乗って、王都まで戻ることにした。




