第34話 『依頼完了』
初めての冒険者活動が完了した。
「アキト、ここに倒れているビーストベアーの爪をはげ。
ビーストベアーの爪は高額で取引されている。
要するに、高く売れるのだ」
「了解です」
俺はラクガンから、小さなナイフを渡された。
ラクガンはビーストベアーに近づき、ナイフで爪を剥がした。
「こんな感じだ。
わからなければ、後できけ」
俺らはビーストベアーの爪をそれぞれで採取した。
俺はなかなか慣れないことだったからか、うまくできず、一体分の爪しか採取することができなかった。
エレナとラクガンは慣れた手つきで、残りのビーストベアーの爪を剥がしていた。
「よし、こんなもんか。
エルフ。この魔物の死骸を燃やしておけ。」
「エルフ、、、はぁ。
はいはい。わかったよ」
エレナはエルフと呼ばれて少し悲しげな表情をとり、
無詠唱で火属性魔術を使って、魔物の死骸を燃やし始めた。
「すみません。ラクガンさん
なんで燃やすんですか?」
「あぁ。ゾンビ化するからだ。」
「なるほど」
「そのままにしておくと、魂だけが消え、体が勝手に動き出す。
人間にもこのことは当てはまる。
だから、人間も死んだならばしっかりと火葬しなければならない」
「理解できました」
「ふぅ。疲れた。
こんなもんかな。
まったく、こうも量が多いと大変なんだからね?」
「ありがとう。エレナ」
「ほんとだよ、、、」
エレナがラクガンを頬を膨らましながら睨む。
『僕、怒ってますよ』アピールだ。
かわいい。
「さっさと帰るぞ。」
さらに、エレナの頬が膨らむ。
もう、エレナは諦めると言っておきながら、諦められないのだろう。
俺らは、ビーストベアーの爪とヒプノシスモンキーを俺の呪術にかけたまま持っていき、
森から、でた。
出る時は、特に問題もなく出ることができた。
強いて言うなら、エレナの頬がずっと膨らんでいたことくらいかな。
ーーー
冒険者ギルドに着いた。
ちなみに、森にいた時間は5時間ほどだ。
現在、月が空にかかっている。
時間にして、夜の9時くらいか。
「すみません。
依頼を達成してきました。」
「え?」
そうだ。この人、俺らが出発する前に心配いてくれていた人だ。
きっと、死んでしまうと思っていただろう。
まったく、いらぬ心配だ。
「達成されたんですね。
お疲れ様でした。
えーと、依頼内容は『森に住む魔物の駆除』でしたね。
森に住む魔物とは、どんな魔物だったんですか?
駆除は完了しましたか?」
「もちろんです」
俺は、手で人形のように持っていた、ヒプノシスモンキーをカウンターに出した。
「こいつです」
「これは、、、ヒプノシスモンキーですか?」
「はい」
「なるほど、この魔物ならば納得です。
実は、この依頼、ここ数ヶ月ずっとあったんですよ。
この依頼を受けた冒険者が戻ってこなかったので。
しかし、他の魔物を操るヒプノシスモンキーならば納得です。
本来であるならば、ヒプノシスモンキーはS級冒険者の受ける依頼なのですが、
A級の依頼となっていました。」
「はい」
なんか、あっさりしすぎじゃないか?
人が死んでるんだぞ?
人の命をなんだと思っているんだ。
「本来ならば、S級の依頼となっている依頼なので、
報酬を上げさせてもらいます。
元は金貨15枚のところでしたが、
金貨30枚ほどでいかがでしょうか?」
そういえば、デザーム大陸のお金はアース大陸のお金の価値に比べて低い。
デザーム大陸のお金はアース大陸の10分の1くらいだ。
だから、金貨30枚と言うことは、アース大陸で言うと金貨3枚。
日本円にすると3万円だ。
しかし、デザーム大陸では金貨30枚の価値はある。
日本円だと30万の価値だ。
そう考えると、相当な報酬だ。
俺の3ヶ月のバイト代だ。
3ヶ月のバイト代を5時間で稼いだ。
まぁ、もっとも、ラクガンの鼻があって、なおかつエレナとラクガンという強い人がいたことによって、短単位間でできたのだ。
てか、本当だったら、数日はかかるところを2人のおかげですぐに終わらせれたんだ。
俺の力じゃない。
と言うか、俺の力がなくてもできただろう。
「ほんとですか?」
「ええ。もちろんです。
それに加え、そちら、2人の冒険者ランクもB級にまで上げられますよ」
冒険者ランクは1つ上がる条件として、自分の今のランク帯の依頼を10回完了しなければ、ランクは上がらない。
だが、自分のランクより上のランクの依頼を達成した時は別なのだろう。
EからBまで、大進歩だ。
「ラクガンさん。B級まで上げていいですか?」
「あ、、、ああ。構わん」
んー。
ラクガンは話をわかっていなさそうだ。
まぁ、いいか。
「それでは、お願いします」
「了解しました」
冒険者ギルドの店員は、俺らの冒険者カードに少し魔法を詠唱して、
俺らの前に報酬の金貨を置いた。
「どうぞ、こちらが報酬でございます。
またのご利用、お待ちしております」
そう言って、店員は俺らに報酬を渡した。




